ポエムノートと佐藤さん。
自分の名前は、平凡次郎。
帰りのバスで読むweb漫画とラノベだけが唯一の楽しみ。
PC部の活動が終わり午後5時半、ぼーっと住宅街を歩いている。
彼女がいれば楽しいのかもしれないが、家まで急いで帰るだけである。
「エエェー? ピンスタにあげようよぉー」
「ひなきゅんの写真上げちゃおうねぇー」
クッソバカみてえな会話すんなよリア充ども。
絶妙に気持ち悪いんだよ畜生。
その横をなんか黒いフードを被った前かがみのが通り過ぎていく。
そして、ノートを落としていった。
一瞬教えようかと思ったが、なんか怖い。
とりあえず拾ってみる。
なんかめっちゃ黒表紙である。デ〇ノートみたいな感じ。
これはもしや漫画的な展開あるのでは?
恐る恐る開いてみる。
「あなたの側にいる事が私の幸せだったのに。あなたの幸せは、あの子とのこれからなんだね。」
「世界を闇で覆えば学校に行くために起きなくていいのかなあ」
お察しである。
中二病ノートだこれ。
うっわ。
イッタい。
さすがに届けたほうがよいだろうか。
しかしいくらなんでも気まずすぎる。
私は緑黄高校3年、佐藤さくら。成績優秀生徒会長、毎週誰かから告白される。
しかしそんな彼女の唯一といっていいほどの弱点といえば...
彼女が毎日つけている中二病ポエムノートである。
かれこれ5年は中二病を引きずっているので、実は10冊ちかくポエムノートを書き終えているのだ。
「あれっ!?ノート、ノートがないぃっ!」
私の、見られたら死ぬような、あの、あのポエムノートがない!
通学路で落としたかなあ、やばい、やばいよぉぉっぉ!
「あれ、佐藤先輩どうかしましたか?」
彼はPC部の2年で後輩の、平凡くん。
「実はノート落としちゃって...エヘヘ」
「ええ?大変じゃないですか!探すの手伝いますよ!」
彼は、あのー、そのー、親切なんだけども、みられちゃマズいんだよねぇー...。
「そういえば自分、なんか変なポエムノートさっき見つけまして、
なんか黒表紙で変なポエムめっちゃ書いてあるんですよ!w」
といい平凡君がそのノートを見せてきた。
思いっきり自分のノートだ。終わった。
もちろん自分のものだと言い出せるはずもなく、ポエムノート【失恋編】が一冊減った。