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殺人罪

作者: 森咲 となり

私の作品に少しでも興味を持って頂き、ありがとうございます。

初投稿の作品になります。

よろしくお願い致します。

振り返ってみれば

全てから目を背けて生きてきた

自分に才能が無いこと

努力出来るほどの要領がないこと

嘘をついて全てから目を背けてきた

いや、逸らしてきた

私はずっと、現実という生き物の存在に

気付いていながらも、気付いていないふりをしていたのだ

そして今日私は

一番重い罪である、殺人を犯した

私にとっては、一番軽い罪であるが。

人の命というものは、世界で一番重く

世界で一番軽いものである。

これを今読んでいるあなたは、何を言っているんだと思っているだろう。

しかし、よく考えてみてほしい。

あなたに大事な人はいるだろうか

例えば、一般的には家族、恋人、友人、上司や部下、出そうと思えばまだあるだろう。

その人の命と、赤の他人の命だと釣り合わないはずだ

そんな事は当たり前だと今思っただろうか?

しかし、同じ命だろう?なぜ重さが変わるのだ?

これは情があるからという一つだけの理由である。

命が一番大切だと思うか?

私は、他人の命よりも自分の財布の中に入っている1000円札の方が大事だ。

こういう価値観の人は多いと私は思っている。

まぁもちろん、高所得者であったり余裕がある人間は違うのかもしれない。

しかし、低所得者であったり、自分自身の生活に余裕が無い人間はどうだろうか?

そして、その命が嫌いだったとしたら?

状況や立場によって意見は変わるものだ。


こんな前置きなのかあらすじなのか

ただの嫌味なのかも分からないものはどうでもいい。

きっと知りたい事、知りたかった事はそんな事ではない。

私が殺人を犯した事についてだ

しかも、一番軽い罪として犯した殺人について。

彼はいつも、過去を悔いては変化しようと決心していた。

何度も。

彼はいつも、自分こそが現実の中で一番輝いていると思っていた。

いつだってそうだった。

彼には、とても大きな夢があった。

その夢はやはり彼らしく、叶うはずのない大きな夢だった。

努力しているふりを続け、誰も興味がないと分かっていながらも

彼はそのふりを続けた。

誰かに認められたい、誰でもいいから気付いてほしい。

ただのわがままで、なんとも浅ましく、滑稽であった。

そんな彼の事を、いつしか私は可哀想だと思うようになっていた。

とてもじゃないが見ていられない。

彼の本心を、本性を知っているのはきっと私だけだった。

いや、私だけなのだ。

他の人には見えるはずがなかった。

時として彼の周りは、興味がないはずの彼の事を見て言った。

「いやー、すごいよね。

とてもじゃないけど、俺はそこまで努力出来ないよ。」

そうやって言われる事だけが、気持ち良かった。

肉体的な、性欲的な快楽に近く、偽物だと分かっていても抜け出せなかった。

彼は、認められるという麻薬に依存していたのだ。


そんなものに価値はない事は彼自身が一番知っていたはずなのに。


そこそこ恵まれた環境に身を置き、そこそこの学を持ち

なんとなくで付き合っている友達と

直感で選んだ恋人と

ただ最初に就職出来たからという理由で働いている職場。

別に人以上に幸せという事もなく、不幸ではなかった。


振り返ってみれば

そんな人生だった。

一番軽いものだった。

誰かの命より、自分の財布の中にある100円玉より

軽い命だったのだ。

だから私は、人を殺した。

罪は、一番軽かったはずである。

読んで頂き、ありがとうございました。

これから過ごす時間において、少しでもスパイスの一つになれば嬉しいです。

よければ、感想など頂けると、幸いです。

何卒、これからもよろしくお願い致します。

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