オウゴンオニクワガタの思い出
当時僕が幼稚園の園児として無邪気に遊んでいた頃、子供たちに親しまれていたアーケードゲームがありました。「甲虫王者ム◯キング」です。「昆虫」ではなく「甲虫」というところに注意です。
「甲虫王者ム◯キング」は世界各国に存在する昆虫のカードと昆虫が繰り出す技のカードをゲーム機に読み込ませ、2匹の昆虫同士をじゃんけんで戦わせるというゲームです。僕が当時住んでいたまちはアーケードゲームと呼べるものも少なく、「ム◯キング」はその地域で一番大きいデパートのゲームセンターに2台しかなかったとぼんやり記憶しています。娯楽の少ないまちでもこの「ム◯キング」のおかげで楽しい子供時代を送れたのだと今ではそう思っています。
僕は強さ200や180のレアな昆虫カードを当てたいと思って毎週1回程度このゲームにトライしていましたがなかなか当たりませんでした。
そんな中で僕が初めて獲得したレアカードが強さ180、体は金色に輝く「オウゴンオニクワガタ」でした。毎週少ないチャンスの中で獲得したレアカードは園児の自分からしたらとてもうれしいものでした。このカードを見ては頭の中は楽しいことでいっぱいだったような、そんな気がします。
僕が幼稚園年長組の園児の春ごろ、4月ぐらいだったかもしれませんが幼稚園に新しく入園した同期が来ました。僕は彼とすぐに親しくなりました。親しくなって彼と手洗い場で「ム◯キング」の話をしていたときのことです。自分が「ム◯キングのオウゴンオニクワガタのカードを持っているんだ」という話をすると、彼は「ほしいほしい」といいました。「いやだめだよ」と僕は応じましたがそれ以来、ム◯キングの話をするといつもこの話題で持ちきりでした。他の虫の話をすることもありましたが、それを無視して彼とは「オウゴンオニクワガタ」の話ばっかりしていたと思います。「オウゴンオニクワガタ」が好きなかわった男子だなと不思議に思いました。そんな「オウゴンオニクワガタ」男と僕はだんだんとさらに仲を深めていきました。かわっている僕と何か波長が合ったのでしょうか、小学生になって僕が引っ越した後も、彼と一緒に遊んだりしたこともあります。
幼稚園時代から親しい友人がいるという人はなかなか少ないと思います。僕もそうですがこの「オウゴンオニクワガタ」男は僕が知っている中で長く親しい友人の一人だと思っています。
そんな彼は今どうしているのかとても気になります。いつか二人で会ってまたこの「オウゴンオニクワガタ」の話でもしたいと思ったついこの頃です。