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中編 「絶・望・世・界」

瑞樹と別れて、家に戻り、お風呂に入る…湯船に浸かりながら今日を振り返る。

今日も瑞樹といっぱい喋ったな~相変わらずの人見知りで、オドオドしちゃってるけど。

もう高校生なんだから、男らしくビシッとしなきゃ~ビシッと!

明日も色々と指摘して…自信を持ってもらわなきゃ!瑞樹は良い男なんだからね。


「良いお風呂だったよ~気持ちよかった~」


お風呂から上がり、髪を乾かして、部屋に戻るため2階への階段を上がろうとした時に

リビングから私を呼ぶ声がする。


「愛生ー!ちょっと良い?リビングまですぐ来てー!」


ママからだ、何か焦ったような声をしている…どうしたんだろう、何かあったのかな?


「あっ!?うん分かったよ、すぐ行くー」


リビングに行くと…ママが椅子に座って何か考えているようだった…ホントどうしたんだろう?


「どうしたの、ママ…何かあったの?」


「ついさっきね、良美ちゃんから電話があって…瑞樹ちゃん、まだ家に帰ってないって…」


「え!?どういうこと??」


突然なママの言葉に言葉を失った…瑞樹が家に帰ってない?ホントどういうこと??


「…分からないわ、瑞樹ちゃんに何回も電話しても出ないみたいなの」


「愛生、今日は瑞樹ちゃんと一緒に帰ってきてないの?」


「…うん、一緒に帰ろうと誘ったんだけど、用事があるから先に帰ってて言われたよ」


まだ学校にいるのかな?でもこんな遅い時間まで学校は開いてないだろうし…。

他に行く場所なんて思いもしない…瑞樹は外出してウロウロするタイプでもないし。


「とにかく愛生は、電話なりチャットなりで連絡を取ってみて!私は今から探しに行ってくるわ」


「私も行くよ!心配で…家にいられないよ!」


「それはダメ!年頃の女の子をこんな遅い時間に出歩くなんて…危ないから!」


「大丈夫だよ!私は強いんだから」


「…これ以上、ママを心配かけさせないで!」


普段、怒らないママが珍しく怒っている…ママも心配で仕方ないんだ。

瑞樹とは生まれた時から姉弟のように育ってきた…。

ママにとっても瑞樹は…私たちと家族みたいなものだから。


「…ごめんなさい、ママ、家にいるよ」


「分かってくれて良かったわ…あなたの気持ちも分かるけど…ここは我慢してね」


「大丈夫だから…ママに任せてね」


「うん、分かった」


私の返事を聞くと、ママは慌てて外に飛び出していった。

私は…私の出来る事をしよう、とにかく電話してみよう。


『プルルルル…プルルルル…ただいま電話に出ることが出来ません』


だめだ…何回電話をかけても、同じメッセージしか流れない。

チャットアプリならどうかな?メッセージを送ってみる。


『瑞樹?どこにいるの?連絡ちょうだい』


…既読が付かない。何回も何回もメッセージ送るけど、既読が付くことは無かった…。


私は何も出来ないまま…ママの帰りを待つしかなかった。

待ってる間も電話とチャットアプリはやってはみたけど…瑞樹から連絡が来なかった。

心配で心配でいても立ってもいられず、外に出ようと玄関に向かうと…。

ちょうどママが帰ってきた、すごく青ざめた顔をして…。


「ママ!お帰り、どうだったの!?」


「ちょっと待って…水を飲ませて…」


「うん…水持ってくるね!」


慌てて冷蔵庫から、ペットボトルに入った水を持って行く。

玄関先で疲れたように座っているママに水を渡して、すぐさま水を飲みだして…。


「…ありがとう」


水を飲んで一息ついたのか、俯き加減で私に語り掛けてくる。


「…愛生、落ち着いて…話を聞いてね?」


「瑞樹ちゃんはいたわ、学校に…」


「そうなんだ…よかった…」


私はホッと胸を下す…こんな時間まで学校にいたって!?何をしていたんだろう…。


「…瑞樹ちゃん、飛び降り自殺したそうよ、学校の屋上から」


「え!?…どういうこと…ママは何を言っているの!?」


「アハハー!つまらない冗談はやめてよね!?今日は男と話したんだし~」


「愛生!ちゃんと聞いて!!」


ママが真剣な顔して…私の両肩に手を置く。…冗談…じゃ…ないの??


「私の知り合いの刑事さんにお願いして、捜索してもらってたんだけど…」


「その刑事さんから連絡があって…瑞樹ちゃん、学校の敷地内で発見されたそうよ」


「今は市民病院に搬送されて…死亡が確認されたって…良美ちゃんから連絡があって…」


「私は、今からその病院に行くんだけど…愛生はどうする?」


「…私も行く、連れて行って」


私は未だに信じられなかった…今日、一緒に学校に行って、お昼も食べて、いっぱい話して…。

元気な瑞樹を…笑顔の瑞樹をずっと側で見てきた、自分の目で確かめるまでは信じられない!


タクシーを呼んで、市民病院へと向かう…。車で20分ほどの距離にある、大きな病院。

瑞樹と私が生まれた病院でもある、ここに瑞樹がいるなんて…。

タクシーでの移動中、何も考えられなかった…ママもそうだった。

重い沈黙のまま…タクシーは病院へと向かった。


病院に着き、夜間用出入口から院内へ進む…。夜の病院は暗く、すごく静かだ…。

受付まで行こうとすると…待ち合わせスペースで…來海ちゃんが座っていた。

こちらに気付き、頭を下げてから、こちらに歩いてきた…。


「來海ちゃん!」


「…愛生さん…来てくれたんですね」


「お母さんに言われて、おばさんが来るのを待ってました…」


「來海ちゃん…本当なの?瑞樹は…」


「…お兄ちゃんは…おにい…ちゃ…んは…」


そう言うと來海ちゃんは…今にも泣きだしそうな顔をして…その顔が見られなくて…。

思わず來海ちゃんを抱きしめる…鼻をすする音がする…。


「來海ちゃん…」


「…おにい…ちゃんに…あって…ください」


「…うん、分かったよ」


そう言うと來海ちゃんは私から離れて、廊下を歩きだした…。

私もそれについて行く…。誰も喋ることなく終始無言で、靴音が廊下に響く…。

1つの部屋の前にたどり着く…『死体安置室』…ここに瑞樹が…。

來海ちゃんがドアを開け、中に入るよう促してきた…。


「…こちらです」


中に入ると…中央にベットがあり…誰かが横たわっている、顔に白い布がかぶせられており

誰かは分からない…すぐそばに良美さんが立っていた。


「…愛生ちゃん…来てくれたのね」


「…おばさん」


私たちが来たのを分かると、おばさんは、顔にかかっていた白い布を外した…。

え!?本当に…瑞樹が…うぞでしょ!?

走ってすぐさまベットに近づき、横たわる瑞樹の顔を見る…。

眠っていて、すぐに目を覚ますんじゃないかって思うけど…顔が白い…血の気がない。

顔にそっと触れる…すごく冷たい…ヤダ…うそでしょ…みずきぃぃぃーーー!!


「みずきぃぃぃー!…なんで…なんで…こんな…ことにー!!」


「…うちの子が…みず…きが…」


「おにいぃ…ちゃーんー!」


「…まさか…みずき…ちゃんが…死ぬ…なんて…」


ベットを囲み、それぞれ瑞樹の思いを叫びながら泣き始めた…。

静かな院内に響く泣き声…しばらく止まることはありませんでした…。



『チュン、チュン』


スズメの鳴き声で、朝が来たのを感じる…。

昨日の出来事は、夢…であって欲しかった…。病院で泣き、部屋に帰ってきても泣き…。

泣き疲れて、いつのまにか寝てしまっていた…起きて、学校に行かなきゃ…。

制服に着替え、階段に降りてリビングへ…ママが起きてきていない…。

いつもなら、ママが起きていて、朝食を作って待っているはずだけど…。

ママも相当のショックみたいだ…私もショックが大きすぎて朝食を食べる気にもならなかった…。



「…少し早いけど、学校へ行こう…」


居ても立っても居られない私は、学校へ行くことにした…。



私が家を出る時間を見計らって、瑞樹が家の前を通る。

一緒に学校へ登校するのは、いつもの日常だった…。


『愛生ちゃん、おはようー』


そう言いながら、向こうから瑞樹が走ってきそうだよ…。

いくらその方向を眺めようが…瑞樹の姿はない…私の前から、いなくなってしまった…。


「…瑞樹、なぜ…死んじゃったんだよ…」


「…ボクを…おいて…行っちゃうなんて…ひどい…よ…」


涙が溢れてきた…昨日あんなにも泣いたのに…止めることが出来ない…。

泣きながらトボトボと歩いていると、後ろから声をかけられた。


「…愛生ちゃーん!」


華奈ちゃんだ、泣いてる姿は見せられない…我慢しなきゃ!

そう思い…涙を拭って、後ろを振り返る…笑顔を忘れずに…。


「あ!華奈ちゃん、おはよー!」


「あ…うん…おはよう」


何だか華奈ちゃん…元気がなく…複雑な思いをした顔をしている…どうしたんだろ?


「あんた…良いの?学校に来ても」


「え!?」


「さっき…泣いてたじゃない…無理しなくて良いんだよ?瑞樹くんの側にいなよ」


「あっそっか…知ってたんだ…瑞樹のこと…」


「あ…ごめん…昨日の夜に、先生から連絡があって…私も未だに信じられなくて…」


「…そう…だったんだ…じゃあ、みんなには、伝わっているのね…」


「…多分、みんなには、伝達されていると思う」


「…そっか」


明るく振る舞おうと思っても…みんなが知っていれば話は別…。

絶対に…みんなから気を使われちゃうな…今は何も考えられないし、ほっといて欲しい…。


「明日、お葬式なんでしょ?なおさら、瑞樹くんの側にいなよ…」


「…信じられなくて、今日もここで待ってたら、来るんじゃないかって…」


「…愛生ちゃん」


「1人でいるよりも…みんなの中にいる方が良いんじゃないかって…そう思ったの」


瑞樹のそばに居たり、1人で部屋にいると…泣く事しか出来ないかもしれない…。

みんなと一緒に入れば…少しは気が紛れるかと…。


「分かったわ…でも無理はしないでね?我慢する必要ないんだから…」


「…うん、分かってる、ありがと…」


華奈ちゃんはいつも優しい…中学時代に出会って、すごく仲良くなって、色んな相談をして…。

瑞樹の事をすごく…応援してもらって…無二の親友になった、ありがとう、華奈ちゃん…。

ぽっかりと胸の中で大きな穴が開いたような…そんな感覚…。

いなくなってしまった瑞樹の存在が…私にとって、どれだけ大きな存在だったか…今更気付く。

ダメだよ…瑞樹が…いなくなったら…私…何も…できないよ…、頑張れないよ…。



学校に着くと…学校内は大騒ぎだった…。

パトカーが何台も来ていて、警察官の方々が、あちこちと走り回っている。

校門前では、何社かマスコミも来ていて、レポーターが中継をしていた。

逃げるように、校門を抜け…教室に向かう。


教室に入り…自分の席に座る…隣にいるはずの…瑞樹がいない…。

ホームルームで担任の先生から、昨日の瑞樹の話があり…体育館へ移動。

緊急集会が行われ、校長先生から話があった…。


クラスメートから色んな励ましの言葉をもらった…なのに、

ボクは…未だに実感がわかなかった…瑞樹が…いなくなったことに…。

でも…今日は学校に来て良かった…みんなといると、泣く事を忘れるから。



複雑な気持ちの中…時間があっという間に過ぎ、いつの間にか放課後になっていた…。

今日の夕方には、瑞樹の家でお通夜がある…ママと一緒に参加する予定で…。

ママが家で私の帰りを待っている…帰る準備をしていたら…。


「夕方から、瑞樹くんのお通夜でしょ?早く帰って準備しなさいよ」


「…うん、私…帰る」


「ホント大丈夫!?ちゃんと帰れるの?着いて行こうか??」


「…うん、大丈夫…じゃあ、また明日…」


「うん、また明日ね」


華奈ちゃんは優しい…それだけに心配をかけたくなかった…。

でも、気持ちがまだ…現実に…追いついてなくて…どう対応して良いか…分からなかった。

いつまでもこの気持ちは続くのだろうか…分からない事だらけで…どうして良いか分からない!

とにかく帰ることにした…華奈ちゃんに手を振って、教室を出た。



「…大丈夫かな…愛生ちゃん」


愛生ちゃんと別れて…教室を出ていく姿を眺めていたら…いつの間にか俊介くんが隣に来ていた。


「あの子…瑞樹くんのことになると…自分のこと見失っちゃうから…心配だわ」


「だよな…一番悲しいのは、愛生ちゃんなのに…俺らには…何もしてやれない…」


愛生ちゃんにかける言葉が見つからない…。ありきたりの言葉なんて…慰めにもならない…。

一緒にいるだけで、精一杯…。何かしてあげたいのに…出来ない…ジレンマだわ…。


「小さい時から…ずっと一緒だったから…あの2人は…」


「いきなり…現実を受け入れろって…無理な話だし…残酷だわ…あの子には荷が重すぎる」


そんな昔から一緒にいる2人…どちらかが、いなくなるって言うことが、

どれだけの衝撃なのか…私たちには計り知れない…。

例えば、自分の家族の誰かが亡くなったらと思うと…気がおかしくなるよ!


「…俺らでさえ…未だに信じられないからな…瑞樹が死んだ…なんて…」


「…うん、私たちの何倍も苦しいはずなのに…あの子…普段通りに、過ごそうとしてた…」


「…だよな…何とも…言えないわ、言葉が見つからね」


あの子の良い所ではあるのだけど…悪い面でもある、だから余計に心配なのだ。

ここでとやかく言っても仕方ない、明日も愛生ちゃんの側に居よう。


「私たちも帰りましょう、明日、瑞樹くんを見送りに行かないとだし」


「…そうだな、じゃあまた明日!」


「また明日ね」


私たちも教室を出た…少しづつでも良い…愛生ちゃんが元気になりますように…。


愛生パートが少し長くなりそうなので中編、後編と分けました。

2部パートで完結できなくて申し訳ありません…。


のんびりと書いていましたが…暗い話を書いていると、気持ちが沈んでしまうのでw

他の明るい話と交互に書いていました。そのおかげで時間がかかってしまいましたw


次の後編で、「…ボクをお嫁さんにして」ゼロの話は、完結となります。

またのんびりと書いていきますので、よろしかったら読んでいただければ幸いです。

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