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29 神界の現状 1/3

ちょっと文字数がいつも以上に多くなったので三つに分けました。なのでこの回は1500文字ないです。

 ロウ・アリシア・エーゼルジュがヴァーンの執務室に戻るとカムイとシアリスカ・アトリがデスク上の書類の山を片付けているところだった。あの山はやってもやっても終わらない呪いでもかかっているのだろうか。一向に減る気配がない。


「この北区の下水処理は早めにした方がいいけど、こっちの城下での揉め事に対する陳情書はヴァーンのところまで持ってくる必要ある? 酔っ払いの喧嘩だよ?」

「こちらにも小銭レベルの支払いが原因で起こった小競り合いの仲裁ですね。誰ですか、これをこの部屋まで持ってきたの。僕たち四天王ですら出ていくものじゃないですよ。ちゃんと部署を分けているはずなのに、何故?」

「管理が杜撰になってイルナ。道理でヴァーンの仕事が減らないワケダ」


 ロウも加わって口を出すと、二人はようやく顔を上げてロウを見た。

 おかえり、とシアリスカは手を上げる。手を上げ返して、ロウは二人が見下ろしている書類を眺めた。


「申し訳ないけど、今はこれを処理してる場合じゃないんだけどなっ」

「反ヴァーン派……イヤ、反乱軍の改造アーティファクトカ」


 カムイも頷く。


「先程、龍族ノ・ガードの<龍皇>さまより連絡がありました。数点の古アーティファクトが持ち出されている、と。状況証拠により例の彼が持ち出したものと思われるそうです」

「……シンラク・フォート……」


 カムイが顔をしかめる。

 彼にとってはどうしても耳の痛い話だ。たとえそれがカムイではなく■■■■の身内のことであっても。

 ロウは手を伸ばして琥珀色の頭を撫でながら、「アーティアはどウシタ」とシアリスカに尋ねた。

 シアリスカは吹き出しながら外を指差す。


「状況説明したらさっそく視てくれるって。案内しようかと思ったけど、そんな暇あるなら書類片付けた方がいいんじゃない? って言われちゃって、二人で簡単に分類分けしてたとこ」


 なルホド、と頷くと同時にカムイに手を跳ね除けられた。大袈裟に痛がって見せれば、シアリスカが「あー、男子が泣かせたー」と笑う。


「ここにいるの全員男子ですよ。子って年齢ではないですけど」

「子……ああソウダ、あの子どもたちなら無事に龍族の里に辿り着イタゾ」

「……そうですか」

「子どもはいいよねー。なぁーんにも気にせずにただ友達のところに走って行けるんだから」


 その子どもたちの方がシアリスカよりも外見年齢は上だということは黙っておいた。

 ロウも、四天王なんて地位にいなければ、戦争が起こりそうだとか立場や外聞なんて気にせずに真っ直ぐヴァーンを探すことだけに力を注げただろうか。

 あの若さと無鉄砲さと純粋な真っ直ぐさが羨ましいと思ってしまった。

 ロウは執務室の扉を見る。

 それを割って新しい報告が入ってくる気配はなかった。


「サテ、そろそろ俺はニアリーを連れて城下の視察と噂の煙消しに行ってクルカ」

「あ、じゃあついでに最近城下で人気だっていうチーズタルト買ってきて! きっとヴァーンも気に入ると思……う……。……ああ、やだな、ゴメン。ヴァーンいないんだった」

「……買ってきてもらっておいて、食堂の松に保管してもらえばいいのでは」

「――うん。そんでー、消費期限切れる前にヴァーンが帰ってくればいいんだよ。うんっ」


 シアリスカは子どものような顔でえへへと笑った。少しだけ、目に光るものが見えたような気がしたのは気のせいだと思うことにした。


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