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脳内にメスガキが住み着いている。

作者: かわ

脳内にメスガキが住み着いている。


何を言っているのか、と思うかもしれないが俺の脳内にはメスガキが住み着いている。


本当に脳内にメスガキが存在するわけじゃない。「メスガキ」という単語が時折フラッシュバックするのだ。


例えば、食事している最中には「肉メスガキ」という単語や「メスガキ美味い」と言った単語が脳内に浮かんではしばらく居座りやがる。数学の勉強をしている時には「メスガキ因数分解」って単語がよく浮かぶ。このフラッシュバックはだいたい5,6分に一度起こる。何もしていない時でも、「メスガキングダム」とか「メスガキゴブレット」と言ったわけのわからない単語が浮かんでは消える症状がここ5年ほど続いていた。


こいつのおかげで最近は夜もなかなか寝付けない。つい先日には、とうとう夢の中でまでこいつは追いかけてきた。こいつについて考えれば考えるほどこいつは頻度を上げて俺の脳内で暴れだす。誰かに相談しようにも、「最近俺の脳内にメスガキが住み着いてるんだ」なんて誰にも相談することはできない。


こいつを脳内から消すために俺は様々な方法を試した。わざわざ寺に出向いて修行体験をしたり、考える暇がないほど忙しい生活をしてみたり、しまいには家中にお札を貼ったりもした。しかしどれも実感できるような効果はなかった。


こいつは呪いだ。一生俺に付き纏う呪いだ。こいつが俺の脳内に住み着いて5年経つ。俺の精神は限界だった。もうこんな生活を続けるのは無理だ。


俺は線路に身を投げた。


─────────────────────


「先生、患者さんが目を覚ましました。」

若い看護師が丁度回診に来たドクターに言った。


「そりゃあ良かった。それで様子は?」


看護師が少し口籠もりながら言った。


「それが…少し意識が混濁しているようなんです…」


目を覚ましたばかりの男は窓の外を眺めながら延々と呟いていた。


「メスガキ…メスガキ…メスガキ…メスガキ…」


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