一般常識4
常識ってなんだろう
「...............。」
「いや、何か喋りましょうよシーラさん」
4回目にしてついに喋る事すら放棄したシーラさんに俺は突っ込みを入れる。
一応これから前回の続きである冒険者についての話をしてもらう予定なのだが、どうしようかなと思っていると
「........んでよ」
「ん?」
「.....なんでよ」
あれ?シーラさんがぷるぷる震えているぞ
「なんでよ!普通自分で調べてこない!?」
ああ、やっぱり面倒になったから自分で調べさせようとしてたんだな。
途中から説明が雑になってたからもしやと思っていたがやはりか。
「大体サービスなんてものは受けるだけで良いのよ!与えるものじゃない!」
俺達への文句からいつの間にかサービス残業に対しての文句にシフトしている。
サービス残業反対!と叫びを上げているシーラさんを無視して浩司の方を向く
「それではお母さん説明よろしく」
「誰がお母さんだ。しかも何で俺が?」
「だって調べてあるんだろ?」
俺の言葉に浩司はイヤそうな顔をする。
浩司のことだからこういう時は大体予習をしているだろうと思って話をふってみたが案の定だったようだな。
「ハァ、それじゃあ説明するぞ」
諦めたような表情でシーラさんに代わり前回の続きから説明を始める。
「まずは冒険者には4つのランクがあって上から特級、上級、普通、仮冒険者と続く」
っていうか仮もランクに入ってんのかよ。仮冒険者って冒険者じゃなくない?
「まあ、フミの思った通り仮冒険者ってのは正式なランクじゃない。近代史のごちゃごちゃした部分の名残みたいなものだ」
「おい!ナチュラルに俺の思考を読んで話を続けるなよ!怖えよ」
そんな俺の突っ込みを無視して浩司は説明を続ける。
「名残とは試験を緩めることは出来ない、しかし登録はさせておきたい。そうだ!なら正式ではないが仮の冒険者として登録しておこうというコンセプトからそのまま今に至るらしい」
コンセプトなんだ
「で、話を戻すが前回シーラさんが言ったように冒険者というのは国営の何でも屋だ。だがそれは普通の冒険者や仮冒険者等の事でその上の上級や特級は意味が違ってくる」
やっとでロキの質問の答えになるわけだな
「上級や特級はいわば国司や国の代表みたいな位置付けになるらしい。だからその前身である冒険者には人格や性格を見る資質判定が組み込まれているみたいだ」
ん?って事は最初の仕事で冒険者になれるかどうかの判断が大まかにされているんじゃね?
「フミの懸念は多分当たりだと思う。あれはふるいではなく仕分けなのかもな」
当たり前の様に内心を読まれた事は置いておいて、じゃあ俺が1人だけ別のクラスに移されたのは仕分けされたから?考えたくない可能性だな
「じゃあフミヤははじかれたわけだ」
ロキの心無い言葉が俺の胸を打つ
「てめ、ロキこのヤロウ。もっと俺を労れよ」
「...そっか、フミヤどんまい」
「てめ、蓮しまいにゃ泣くぞ」
「...................。」
「何か言ってよジョン寂しいじゃん。っていうかお前ら3組は獣人とか人類外のクラスであって別に冒険者になれない組ではないぞ!」
「まあ、フミヤの事はどうでも良いや。それより冒険者の権利って?」
おい、ロキ。話をふっておいてそれかよ
「ああ、何個かあってまずは国境を超えるのに手続きがいらなくなる」
2人に無視されて寂しいじゃん。
しかし国境か、地味にスゴいな。
「え?ショボくね?」
とロキの言、マジかコイツ。
あっ浩司が何か言いたそうにしてる。
俺は面倒だからスルーしろとジェスチャーで浩司に伝えると浩司は俺の方を向いてコクリと頷く
「次に各国の代表者に謁見できる。ちなみにこれは正確に言うと謁見の許可を求める事が出来るという事だな」
これも地味にスゴいな
「え?これもショボくね?」
またかコイツ
スルーだ、スルー!
「最後に冒険者ギルド経由で何かを買えば一割引!!!」
これは普通に助かるな
「これもショボくね?てか全体的にショボくね?」
ショボイショボイうるさいな。
どれも地味にスゴいんだぞと思っているとフッと気付いた。
浩司の体がぷるぷると震えているのに、これは怒っている?しかし何故............あ!
一割引、さっきやけに一割引を力強く言っていたな。
どうやら浩司にとってはかなり重要な部分だったんだな一割引。
ロキはまだ浩司の様子に気が付いていない、俺はそっと他の連中の様子を伺った。
目が合いコクリ
良し!逃げよう。
「ロキ。お前とは話し合う必要があるようだ」
浩司の静かだが響く声、ロキはハッと浩司の方を向く。
事ここに至りようやく異変に気が付くロキ。
だが周りには仲間の姿はなく自分1人。
この後ロキは一割引の素晴らしさを夜遅くまで聞かされる事となる。
「...ねえ、貴族の事を聞かなくて良かったの?」
「ん?」
「...1組の事」
ああ、何で貴族が冒険者を目指すかという事を蓮は言ってるのか。
「おそらくだが、肩書き目当てだろうな。国の代表、国司どちらも国の顔みたいなものだ貴族とかお偉いさんが欲しがりそうなものだろ?」
「...ああ」
どうやら納得してくれたみたいだ。
貴族か、1組とは交流がないからわからないが.....やはりテンプレみたいな貴族なんだろうか。
「...フミヤ、俺達何か忘れてない?」
「?、何を?」
「...う~ん、分からないなら別にどうでも良いことか」
シーラ「あれ?私は?」