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初実習

「皆さ~ん、席に着いて下さい」


 教室にメイプルさんの可愛らしい声が響く。


(声だけはマジな美少女だよな)


 毎度の事とは分かりつつもつい俺はメイプルさんの姿を見ながら思ってしまう。


「明後日から始まる野外実習の話をします」


 入学してから2ヶ月、町の外での訓練が始まる。


『野外実習:町の外に出ての採取、討伐等の練習。練習場はプロ冒険者が事前に間引きをした場所で行うため危険度は低く元の世界のオリエンテーションの様なもの』


「第1回目の今回は採取です。採取の期間は4日間となっています。チームでいくつかのポイントを目指し、主にポイント毎で採取を行い目的地を目指します」


(4日間か、意外と長い期間やるんだな。一応授業でもヘンリーさん達とも夜営は経験しているが、プロがいない状況でやるのは緊張するな)


 俺が不安に思っている間もメイプルさんの説明は続く。


「まずはこの授業中にチームを組んじゃいましょう。チームは4~5人で組んでもらい、チームを組んだら私の所まで報告に来て下さい。目的地と採取する物を書いた紙を渡します」


 その言葉を聞き俺は驚愕した。


(へ?この時間?話を出来る奴は何人か出来たがチームを組める程に仲良くなった奴なんていないぞ)


 等と思いながらマゴマゴしているうちに周りでチームが次々と出来ていく。


(マズイ、このまま最後まで残ってしまったら......)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あら?フミヤ君あぶれちゃったの?」


 メイプルさんが一人でポツンといる俺に気がついた。


「しょうがないわね~」


 そう言いながら俺の手を引いて教壇の上まで連れてくる。


「は~い、皆~、フミヤ君が一人あぶれちゃったみたいなの、どこかのチームに入れてあげてくれないかな?」


 俺はメイプルさんの言葉を聞きながら教壇の上で俯き地面に視線を落とすのだった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 俺はそこまで想像しブルリと体を震わせた。


(嫌だ!絶対に嫌だ!どこか、どこかに入れそうなチームはないか?)


 急いで周りを見渡すが、同じ様な種族、体格でまとまってチームを作ってしまっている。


(ヤバい、ヤバい、ヤバい、マジでメイプルさんと教壇コースじゃねえかよ)


 そんな真面目に泣きそうになりながらワタワタしている俺に救いの女神が現れる。


「フミヤ」


 声の方を向くと、そこには女神(ルナ)と先日喫茶店で女子会をしていたリザードマンと猫型獣人の子の3人がいた。


「まだフミヤはチーム決まってないでしょ?良かったらボク達のチームに入らないかな?」


「喜んで!」


 過酷な現実(メイプルさんと壇上へ)が目の前に迫っている状況下での救いの手に、ほぼ脊髄反射の勢いでそう返事をしている俺がいるのだった。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「じゃあ、まずは自己紹介しようか」


 そんなルナの言葉と同時にシュピッと元気良く上げられる手、ルナの隣に座っていた猫の獣人の子が我先にと自己紹介を始める。


「私の名前は小林ミャール、ミャールと呼んでね」


(人型ではないが可愛いな。ってあれ?小林?もしかしてハーフなのかな?でも獣型だよな?)


 等と頭に?を浮かべている間にリザードマンの子の自己紹介が始まってしまった。


「私の名前は斉藤リーザと申します。リーザと呼んで下さいね」


(うお、キレイな声だな。良く見ると所作も気品に溢れているし、良い所のお嬢様なのかな?って、それより斉藤?)


「ほら!フミヤの番だよ」


とルナが声をかけてきた。


「お、おう、尾崎文矢です。フミヤと呼んで下さい」


 少し考え事をしていた為かどもってしまった。

恥ずかしい。


「フミヤ固いよ。いつもボクと話しているみたいで良いんだよ」


ああ、ルナの笑顔が眩しい。


 ルナの言葉で少し固さの取れた俺は早速2人に質問をしてみる。


「2人共、名字があるじゃない?もしかしてハーフだったりするの?」


「うん、そうだよ~」


 そんな俺の質問にミャールが人懐っこい笑顔で答えてくれる。

内心で『猫!猫!猫!』とよく分からない事を連呼しつつ、さらには表情って意外と解るものなんだなと変な感心をしながら会話を続ける。


「えっと、でも2人共・・・・その、人型をしてないよね?」


 そう!ルナは犬耳獣人なのに対して2人は二足歩行型の獣、コレはコレで趣があって良いのだが個人的にはやはり人型を推奨したい!特にミャールは!


 そんな俺の疑問にリザードマンのリーザは丁寧に説明してくれた。

曰く、前にルナは人型をハーフと言っていたが正確にはハーフは人型と獣型の両方の形態を取ることが出来るらしい。


 と言っても意識して形態変化が出来る人は稀で現にルナ達は人型や獣型になる事が出来ないそうだ。


 形態変化は肉体強化の魔法に分類されるらしく、理論的には使おうと思えば誰でも使える魔法らしいが実際は使える人は殆どいない。

何故なら身体=精神、身体と精神(こころ)は常にセットだからだ。

形態変化を成功させるには、この姿は自分なんだ!という強い意思と変化した先の明確なイメージが必要になってくる。

 普通の人達は意思はともかく変化した先のイメージがついてこない。

しかしハーフは種族の違う両親を見て育って来たので変化した先のイメージがしやすいため形態変化を比較的にしやすい土壌が出来ているのだ。


 ちなみに姿が人型と獣型に別れる理由は端的に言って家庭環境だそうで、両親がどっち寄りの生活をしているかで子供は無意識に姿を決めるのだそうだ。


 ファンタジーと現実が微妙に混ざり合ったような理由を聞いてしまったな。

とにかく多少は打ち解けたようで少し安心する、男が俺1人という状況だとハーレム気分を味わうよりも先に居心地の悪さを感じてしまっていたからな。

とにかく俺達はメイプルさんの所へ行きチーム報告を済ませたのだった。




-場所は変わり3人のいきつけの喫茶店-


 俺達は渡された地図や採取リストを見ながら作戦会議を開いていた。


「う~ん、中々にハードな日程になりそうだね」


ルナの呟きを聞きつつ俺は地図を見ていた。


 アームズの町から少し離れたマグナチェスの森という森が野外実習の舞台のようで、地図には第1から第4ポイントとスタート地点とゴール地点が画かれていた。

 採取するもの自体は簡単な薬草なのだが問題は距離だった。

第1ポイントはスタート地点から北に大体20㎞位の距離にあり、次の第2ポイントは南に15㎞位、第3ポイントは東に20㎞位で最後の第4ポイントは西に15㎞位の位置にある。


 確かに移動や採取の時間を考えるとルナの言う通り、かなりギリギリの日程になるだろう。


(しかしかなり距離に作為的なものを感じるな。まるで....)


俺が地図を見ながら考えていると


「ねえ、ねえ、これ2手に分かれるのはどうかな?ポイントは4つだし各チーム2つずつ担当してさ」


「そうですね。日程的に考えると2手に分かれないと間に合わないかもしれないでしょうし」


「うん、ボクもそう思う。2手に分かれて採取してゴールの前位で合流、日程的に余裕も出来るしそれでいこうか」


(どうやら3人の意見が出揃ったみたいだな。しかし2手か....)


「フミヤはそれで良い?」


とルナが俺にも最終確認をしてきた。

さてどう答えるか、俺としては何点か気になる事がある。

しかし所詮は可能性の話であり、3人を説得出来るかどうか分からない。

だけど


「情けない話だけど、俺ってば森歩きが苦手で不安なんだ。だから第1ポイントまでは4人で移動してもらえないかな?」


 俺の弱気な発言を聞いてミャールは呆れた様な顔をし、リーザは多分だが残念な人を見るような感じの表情をしている。

だよね~、普通はそういう反応だよね~。

もう少しマシな言い訳を思い付けなかったのかよ!等と思いながら、さてルナはどんな表情をしているかな?と見てみると驚いた事に真っ直ぐ真剣な目で俺を見つめているのだった。


「うん、分かったよ。4人で第1ポイントまで行こう」


 バカにしたり、呆れたりではなく俺の情けない意見を真剣に聞いてくれるだけでも驚きなのに採用までしてくれるなんて思わなかった。

そんなルナの台詞を聞いてミャールとリーザも驚いた顔をしている、言い出しっぺの俺も驚いているのだから当然だろう。


「え?良いの?ルナ」


 ミャールの当たり前の疑問に対して


「だって私達は仲間だよ。仲間なら助け合わないと、不安を抱いてるなら解消してあげなきゃ!それに4人で第1ポイントに行った後から2手に分かれても十分に間に合うよ」


 ルナの言葉に2人もしょうがないなという表情をしながら俺のわがままを聞いてくれたのだった。



文章力が欲しい。やはり書くのは慣れもあるのかな?少しずつ頑張ります

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