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魔法その1とおねだり

 この世界の魔法は前にも言ったが魔素を触媒にして現象を起こす事をいうのだが空気中の魔素は薄いため魔石という触媒が必要である。

 しかし魔石を必要としない魔法も存在する、それが肉体強化や治癒魔法だ。


 肉体強化は体内にある魔石から魔力を発生させて自分の腕力を増加させたり言葉通りに体力や知力を強化させる事だ。


 力や体力は分かるが知力というと疑問を持つだろう、説明すると魔石は生物の心臓に結晶化するため魔力を発生させると必然的に血流に乗って魔力は体の中を巡る。


 要するに血=魔力となる。その事を踏まえると脳に魔力を流すという事は脳を活性化する事に繋がるのだ。


 効果を具体的に言うと記憶力や思考力が一時的に上昇したり、認識能力が上昇するという効果が確認されている。

 もちろん他にも効果があるのだろうが脳という精密かつ重要な器官に対しての実験はなかなか難しく調べるにしても安全性を気にしながら最善の注意をしながらでなければいけないので遅々として進まないのが現状である。


 非常に便利な様に聞こえる肉体強化だがデメリットも勿論存在する。

そもそもこの肉体強化とは魔力で脳のリミッターを外し自分の筋肉の力を100%使用する方法なのだ。

 短時間でも体に少なくないダメージを与え、長時間使用などすれば体に深刻なダメージをきたす事になる。


 脳を活性化するのも同じ様にリスクを伴う、一時的に思考力や認識能力を上げられるのは色々な場面で有用だし、記憶力に至っては尚更だろう。


 しかしそもそも脳に負担を掛け続けるなど死を近づけるようなものだ。

 血管が少し切れるだけで脳に深刻なダメージを与えるだろうし、その事で深刻な後遺症が残る可能性もあるのだ。

 よって肉体強化はリスクの事を考えると普段は使用せず切り札として使用するのが正しい運用法と言えるだろう。


 次に治癒魔法だ。

これこそ想像の治癒魔法と全然違うのだ!簡単に言うと治癒魔法とは自分の体が持つ自然治癒能力を魔力により無理やり活性化させて傷や病を治す方法なのだ。


 メリットは短時間で怪我や病気を治せる事、デメリットは体力のない者は回復の最中に疲労で死ぬ!本末転倒である。


 よって体力のない子供や年寄りには少しずつ治癒魔法を使い長い時間をかけなければ危険なのである。

 だからといって治癒魔法が使えないかと言われれば否定しなければならない、上手く運用すればこれ程に便利な魔法はないのである。 


 ちなみにポーション等の魔法薬も大体同じ原理である、違う所はポーション等には栄養分も多分に含まれているため自身の熱量(カロリー)を消費せずに傷を治す事が出来る点だろう。


 無論それは飲んで使う場合だけなので傷口に振り掛けた場合は自身の熱量(カロリー)を消費して回復する事になる。

 だからポーションを使用する時は傷口が酷い所には振り掛け、残りは飲むという使用法が推奨されている。


 余談だが熱量(カロリー)が高いので女性の間ではポーションは飲む物ではなく振り掛けて使う物らしい。

世界が変わっても女性が気にする点は変わらないみたいだ。


「あれ?どうしたのフミヤ、何か微妙そうな顔してるよ」


今日の授業が終わり、帰り支度をしながらルナは俺に聞いてきた。


「いや、異世界なのにトコトン現実的だなと。魔法にはもっと夢が詰まっていると思っていたんだ」


「?」


ルナは不思議そうな表情を浮かべるのであった。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 ある日、仮住居にて。


「ママ~、携帯買って~」


「誰がママだ!」


 俺は部屋で洗濯物を畳んでいる浩司にお願いを口にしていた。


「いや、端から見たら完全に主婦だよな」


「...同意」


 ベッドの上でゴロゴロしているロキと部屋の隅で本を読んでいる蓮が浩司=主婦説を肯定した。


「テメエ等な、それより携帯だと?却下だ!却下!」


『携帯:携帯通信機の略で自動翻訳機能を搭載した魔石電話である。空気中の魔素を使い通信するため搭載されている魔石の大きさや質により性能がバラバラで、そのため普及している携帯は機能が低い物が多く、長距離や環境次第で使えない事も多々ある。ちなみに王家や上流貴族等が使う通信機にはトンでもなく大きく質の良い魔石を使用しているのでかなりの距離が離れていても普通に会話をする事が出来る。勿論お値段もトンでもないが。』


「でも急にどうしたの?携帯が欲しいなんて今まで言ってこなかったじゃないか」


と祐介が疑問を口にした。


「前から通信手段は確保しておきたかったんだよ。特に初依頼の時なんかは各自バラバラに行動する事が多かっただろ?互いに連絡が取り合えないのは不味いだろ」


と俺が結構マジな考えを皆に話した。


「う、正論だ。しかし家計に余裕がそこまでないのも事実だぞ!6台分の携帯代金だなんてとてもじゃないが払えないぞ!」


と抵抗を試みる浩司に


「前から思ってたけどさ、俺達ってギルドの依頼は受けてないけど日雇いのバイトは今でもたまにやってるじゃん?しかも異世界課からも毎月振り込みがあるし、それほど生活きついか?」


とロキが疑問をぶつけた。


「アホか!何かあった時のために貯金、貯蓄は当たり前!将来に備えてなんぼだ!本当なら各種保険にも入りたいしそれから.......」


と浩司の独白が暫く続いた。


「ま、まあ、それを踏まえても携帯は買っておいた方が良いなと前回の依頼の時に思ったんだ。不測の事態のためにもな、貯金や貯蓄が大切なのも理解はしているがソコを曲げて頼めないか?」


「む、むう」


浩司がかなり揺れてる、もう一息だな。


「情報というのは命に直結する可能性もあるんだ。誰かを失ってから後悔しても遅くないか?」


(まあ、少し物事を誇張してるが嘘は言ってないしな)


浩司は随分と悩んだ挙げ句


「はあ、分かったよ。確かに連絡手段というのは大切だしな」


と折れたのだった。


 場所は変わり商業区にある携帯ショップ。


「いらっしゃいませ~。今日はどのようなご用ですか?」


可愛いショップの店員さんに笑顔で応対される俺達


「携帯を買おうと思って来たんですが」


「はい、ありがとうございます。何か機能に関する要望などはございますか?」


「そうだな」


「安いので!最低限の機能が付いた安いので!」


俺が何かを言う前に、浩司が店員さんに食い気味に答えた。


「え、えっと当店の1番安い品はこちらになります」


少し引きながら店員さんが見せてくれた品は元の世界でいうガラケーみたいな商品だった。


「ちなみにこれはいくらですか?」


「はい、こちらの商品は34000Crになります」


(やっぱり意外といくのな)


と俺が考えていると浩司は話を進めていた。


「団体割引とかはありますか?」


「すみません、割引自体やってないんですよ」


 このままじゃガチな値切りを開始する可能性があった為、ジョンに浩司を拘束してもらいサクッとお金を払い会計を済ませた。


 携帯の使い方を店員さんに習ったので早速実践開始


 この世界では魔力を携帯に注ぐ事で登録する、すると画面には自分の魔力番号が表示される仕組みとなっている。

この魔力番号は指紋と同じで決して同じ番号にはならないそうだ。


「しかし異世界に来て携帯か、違和感がバリバリなんだけど」


という俺の言葉に


「確かにね。でも凄い技術だよね、個人の魔力の揺らぎを番号化するなんて」


「っていうか考え方によっては元の世界よりもスゲエぞ、コレ」


という祐介と浩司の会話を聞きつつ皆で魔力番号を交換した。


「良し。これで全員の番号を登録終了っと、取り敢えず後でカーラさんとシーラさんの番号とギルドの番号を聞きに行こう」


と皆に声をかけた。


(後で通話距離も確認しないとな、凄い技術だが聞いた話じゃ機能は元の世界のよりも劣っているだろうし)


「しかし異世界を多少なりとも舐めてたよな。ヘンリーさん達が外で携帯を使ってなかったから、てっきり連絡手段が原始的なのかと勘違いしたぜ」


「うん、だからカーラさんが僕達の事をシーラさんから聞いたって言った時は魔法的な何かで連絡を取り合ったのかと勘繰っちゃったよ」


(ああ、だからカーラさんと初めて会った時に2人共怪訝そうな顔をしていたのか)


あの時の2人の表情の謎が今更ながら解決した。


(しかしさすがだな、俺なんかは真っ先に髪の色に目が行ったのに)


あれ?もしかして俺ダメな子?イヤイヤ俺は多角的に物事を見ているから......だよね?

悶々としながら俺は皆と商業区を歩いていた。



貨幣を変更しました。

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