まだ前世だった
ドンッ
体が悲鳴をあげている。頭がクラクラして、多分骨折もしていると思う。あぁ私は死ぬのかと思った。腕の中にいる男の子は大丈夫だろうか。そう思って俯く。
「僕、大丈夫?」
「…うんっ…でも、っ…お姉ちゃんは?…血だらけだよ?」
男の子は涙を流したながら私を見つめてくる。志穂がフラフラと近づいてくるのが分かる。
「…さっちゃん?」
さっちゃんと呼ぶ声は頼りなく、鼻声だ。
私は志穂への誕生日プレゼントを渡そうと手をバックの中へ突っ込む。
「ね、…私はもう死ぬけど…志穂にね、…これをね…」
「喋っちゃダメだよ!!」
そこで1回息を吸う。
息がしにくくて、言いたい事がちゃんと言えない。
「たん…じょうび…、プレ…ゼントなの…。私と…おそろい…の…。志穂…だい…好き…だ…よ……。」
言い終わるともう声が出なくて少しずつ瞼が下がる。すると暖かい水が落ちてきた。志穂の涙だろうか。あぁ泣かせてしまった…
「嫌だよ…っ死なないでよっ
さっちゃんがいなくなった世界で私はどうやって生きていけばいいの?ねぇ、ねぇってば!」
志穂は私の手を持って泣いている。
私は志穂を安心させようと笑顔を作って、志穂の事を心配しながら深い深い眠りについた。
前世の話終わりです。
次から本編です




