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彼女はまさしく傾国の姫  作者: 池中織奈
その姫、まさしく傾国の姫である
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4.彼女はどういう存在なのでしょうか?

本編ラストです。

 学園を乱した少女は彼女の前では何の障害にもならなかった。

 幾ら自信に満ち溢れていたとしても。

 幾ら悪魔付きとして知るはずもない情報を持っていたとしても。

 カイザ国の『至高の姫』を前に、抗う事も出来なかった。

 なぜなら彼女は『至高の姫』だから。

 何人にも代える事などかなわない、そんなお姫様だから。

 魅了の魔法なんてそんなものは関係ない。

 彼女は彼女だからこそ愛される。

 彼女が一心に頑張ってきたからこそ愛される。



 彼女は、『至高の姫』の名にふさわしい。







「ジク様!!」

 その日はマリアローゼ・フィス・カイザの輿入れの日であった。

 少女の起こした学園での動乱の後、特にこれといった問題事は起こる事はなかった。

 彼女を気に食わないものが何かしらちょっかいをかけてくることはあったが、それは全て彼女の幼馴染達に対処された。

 そして学園を卒業した彼女は婚約者の元へ輿入れをする。結婚と同時にジクサード・シン・ディスターニアは皇位を継ぐことにもなっていた。

「ローゼ」

「ジク様……」

 そしてディスターニア帝国にたどり着いた彼女は、ジクサードと見つめ合っていた。

 その様子を、いつも通り幼馴染達が見つめている。

「良かったわ。マリアが幸せそうで」

 リューリがそういって微笑む。

「本当にな。俺も嬉しい」

 アイゼスがそういって口元を上げる。

「本当に好きな人と結婚できてよかったわ。マリアが愛のない政略結婚をするなんて嫌だったもの」

 ミーレアンが微笑みながら見つめている。

「……同感だ」

 シワンがただそう告げる。

「ああ、もうジクサード様と一緒に居るマリア超可愛い!!」

 カルドがそんな風に興奮している。

「本当だな。マリアは可愛い。ジクサード様と一緒のマリアは最高!!」

 ルミダがカルドと同様興奮中である。

「マリア姉様が幸せで私も嬉しいよぉ!」

 ネルがカルドとルミダと共に声を上げている。

「俺も恋人ほしくなってしまうよ」

 ヒートがそんなことを言いながら羨ましそうに見ている。

 幼馴染達八人は、彼女と共に帝国に来ていた。なおかつ、永住する事が取り決められている。

 彼らはマリアローゼ・フィス・カイザの最も信頼する者たちであり、ジクサードとの婚約が決まった段階で、彼らはジクサードに「私もいきたい」「俺達もおいてください」と交渉を粘り強く交渉した結果その権利を勝ち取ったのであった。

 もちろん優秀な彼らがカイザ国から出て行ってしまうのもという事でカイザ国の方で引き留めもあったのだが、それを振り切ってでも彼らはここに来た。

 それだけマリアローゼ・フィス・カイザという彼らの大切なお姫様と離れたくなかったのだろう。

 ジクサードも彼らがどれだけ彼女を好きか理解したのと、彼らが優秀なので、彼らを受け入れる事にしたのだ。

 そういうわけで彼らは帝国でも一緒に居るのである。もちろん、学園に通っていた時ほどずっと一緒というわけではないが。

 結婚式はそれはもう盛大に行われた。大陸の中でも大国のディスターニア帝国の皇太子の結婚式だ。多くの者が訪れ、そして幸せそうに微笑む『至高の姫』の姿を目にした。

 それから『至高の姫』は、ディスターニア帝国の美しき皇妃としてその名を広めていく事になる。

「マリアに手を出す奴は、許さないから」

「マリア、大丈夫か?」

「マリア、何かあったらすぐに言うのよ。相手がだれであろうと、私たちは貴方の味方だから」

「……マリアに手を出すな」

「マリア、マリア! マリアの子供の乳母は絶対私たちのうちの誰かがやるからね! それまでに子づくりしよーね、ルミダ」

「当然! 俺たちの子がマリアの子の幼馴染とか最高すぎるからな」

「マリア姉様に手を出す奴はこうなんだからね」

「マリアを侮辱するような女は排除すべきだろう?」

 美しき姫の傍には、彼女の味方である八人の幼馴染達と、

「ローゼに何かあるのを、俺が許すはずがないだろう?」

 彼女を愛する旦那様が居た。





 彼らは彼女のためなら何をすることも躊躇わない。

 彼女の望みのためなら、なんだって行うだろう。

 彼女に何かあれば、例えば国を揺るがす事だろうとも彼らは動くだろろう。

 彼女はカイザ国の『至高の姫』にして、ディスターニア帝国の美しき皇妃。

 そんな存在に何かがあれば、国が傾くほどの事が起こるだろう。

 というより、彼らが起こすだろう。

 彼女の存在は国を傾ける可能性があるほどに、重要なのである。

 故に、彼女はまさしく傾国の姫である。








というわけでこれで本編完結になります。

基本的に心情を書かずに、いつも書かない雰囲気の作品を書いてみようと挑戦してみた結果こういう物語が出来ました。

突込みどころとかあるかもしれませんが、私としては書きたいものを全てかけたので満足しています。

書いた事ない風に書いてみようとしたので、やはりどういう風に書き進めていくか悩み、更新が止まったりもしていたのですが、完結させることが出来てほっとしております。

何も言わずに分かり合っている関係というのが好きで、何が起こってもぶれない位置にいるお姫様を書きたいなという願望でこういう物語が出来たのですが、読者様的にはいかがだったでしょうか?

感想もあまりもらえていない作品なので、読んでくださっている読者様は何を感じてくれているのだろうと思っていたので、読み終えたら厳しい意見でも構わないので感想をいただければ嬉しいです。

ちなみにこのお話、恋愛系の賞に応募するか悩むのですが、このお話恋愛? みたいな感じなので、悩み中なのです。一気に書いたので誤字があるかもしれません。報告くだされば助かります。

また本編はここで終了ですが、『VS傾国の姫~王子様を手に入れろ』に関する補足の話と、キャラクター紹介をこれから入れますので、よろしければそちらも読んでくださればと思います。


2016年12月30日 池中織奈

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