第5話思いもしなかった言葉
前回までのあらすじ
突然屋敷に連れてこられた亮介。久しぶりに再開した幼馴染に、思いもよらないことを言われるのだが・・・
亮介「決めたって、何を?」
真莉沙「亮ちゃん・・・結婚しよ!!」
・・・は?・・・今、なんていったんだ俺の聞き違いかな?
亮介「ごめん、もう一回言ってくれ」
真莉沙「何度でも言うよ!結婚しよ!!亮ちゃん!!」
なーんだ聞き違えじゃなっかたのかよかったよかったってちょっとまてぇい!!
亮介・ルカ「ほ、本気で言ってるのか(ですか)真莉沙(お嬢様)!!」
突然の言葉に真莉沙と詩夢以外は驚きの声をあげた。驚くのも無理は無い。なにせいきなり結婚しようなんていわれたら驚かない人なんてそうそうにいないだろう
詩夢「ようやく言えたねお姉ちゃん」
亮介「あれ?詩夢知ってたの!?」
詩夢「うん、何回か相談されたから」
なんということだ、いきなりプロポーズされるわ、そのことを彼女の妹はとっくにそのことを知っているわ・・・。
ルカ「お嬢様、本当にあの人でよろしいのですか?
みたところ何か格闘技をなさっているようでも無さそうですし、特別な資格や権力もなさそうな男ですが?」
散々な言われようだな。
真莉沙「いいのよ、亮ちゃんは何度も何度も私を助けてくれたんだから」
ルカ「ですがお嬢様」
詩夢「大丈夫、リョウ兄を信じてあげて」
何か俺が完全に置いてきぼりされてるな、ていうか結婚とかいきなりすぎるだろう!?
・・・確かに真莉沙は可愛いし、俺だって異性として意識しなかったことくらいある。
でも、俺に真莉沙をこれから先支えてあげられるほどの甲斐性なんてない。
その絵画だって、たまたま叔父さんの目利きが当たった結果元手になったに過ぎない。
俺は真莉沙に、自分から何かしてやれてなんか無いんだ。
亮介「・・・。」
真莉沙「・・・どうしたの、亮介?」
真莉沙が懐かしい大きな目で見上げてくる。
その姿はとても可愛く成長してて、こんな子に結婚しようなんて言われたら即OKしたくもなる。
でも・・・
亮介「・・・ごめん、真莉沙。気持ちはすごくうれしいんだけど・・・俺にはその資格なんて無いんだ」
真莉沙「そんな、資格だなんて・・・亮ちゃんは私をたくさん助けてくれたじゃない!資格なら、もう十分にあるよ!」
真莉沙は俺に詰め寄る。
そこにルカさんが毅然とした態度で割り込んできた。
ルカ「お嬢様。亮介様はお嬢様のことを考え言って下さっているのです。
お嬢様は、これからこの家の跡継ぎとして、家を守り育てていく役目があるではないですか?
お気持ちは分かりますが、今回のご要望はそう簡単に通るものでは・・・。」
真莉沙「そんな、そんなことで私は好きな人と一緒になることも許されないの?
そんなの・・・おかしいよっ!ルカは私を助けてくれないの?
応援してくれないの!?」
ルカ「・・・お嬢様、これは最早お嬢様だけの問題ではありません、岩田家全体の問題なのです。
お嬢様はお嬢様のご要望に添えられないこともあることも、これまで岩田家の成長の過程で何度か経験なされたはず。
私の申し上げていることも、ご理解いただけますね?」
ルカさんは淡々と、そしてはっきりと、真莉沙に真莉沙自身の現実を突きつけた。
その言葉は、俺に、そして誰よりも真莉沙に突き刺さった。
真莉沙「・・・。」
真莉沙が肩を震わせて泣きそうになっているのを、俺は見ていることしかできない。
何も、出来ることなんてなかった。
ルカ「・・・肯定と、受け取らせていただきます。」
ルカさんは静かに頭を下げ、こっちを向く。
ルカ「亮介様、突然申し訳ありません。本日のところはここで失礼させていただきます。」
亮介「は、はい・・・。」
それでは、とルカさんは一礼し、すっかり黙った真莉沙をそのままに俺を部屋のドアへ導く。
詩夢ははっと我に返る。
詩夢「ちょ、ちょっとルカ!?リョウ兄!?帰っちゃうの!?」
ルカ「はい、本日はお帰りいただきます。・・・亮介様、今後ともお二人とは仲良くしていただけるよう、お願いいたします。」
詩夢「あ、こらルカ!待ちなさいよ!」
詩夢のあげた抗議の声も取り合わず、ルカさんは歩き始める。
詩夢も何を言っても無駄と悟ったのか、やがて声と共に振り上げた腕をゆっくりと下ろした。
家を出るともう夜だった。
ルカさんは俺を車に乗せて送ってくれた。
あまりにも色んなことがありすぎて、俺は夢みたいに感じていた。
でもそこには確かに現実味があって、どう言い表せばいいかなんて分からなかった。
車から見た帰り道も、本物のメイドさんに送られてるって事も、
頭の中に残りやしなかった。
亮介「[筆者今まで何やってたんだよ、投稿遅れてんじゃないか。]」
K「[スマン、思いっきりバカンスしてた。]」
亮介「[投稿遅れてすいません・・・]」