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ある書き手の独白

作者: 葛城 壱

 私は「書く」ということにとりつかれたんだ、と彼女は笑った。



「子供のころから本が好きだった私が「書く」ことを始めたのは、自然だったんだと思う。

 と、いうか「本好き」と自称する人間ならば、誰だって一度は「創作」に手をだすもんだろう?文でも絵でも、いやそもそも考えただけでもいい、やったことがないなんてやつはいないさ、絶対にね。

 ただ、肝心なのはそっからってこと。

 そのまま小説家になることに情熱を、すべてを注いでなってみせるか。途中で自分にはムリだなんてかっこつけてあきらめるか。はたまた、ただ私みたいに書き続けるか。

 ん?あきらめてないのかって?

 いいや、あきらめてるよ。

 正直なところ、私にはなれるだけのもんが足りていない。

 情熱があってすべてを、それこそ生活を削ってでもやれば手に入ったかもしれないが……それができなかった。

 むしろ、そこまでできるかどうかこそが「才能」の有無、なんてものなのかもしれない。

 親にムリだと、夢みたいなことを言うな、とか言い訳はいくらでもあるけれど、

 でもさ、親の反対を押し切ることも、アルバイトで食っていきながら書き続けることもできないわけじゃない。むしろ、できるはずなんだ……情熱さえあれば。

 けど、私にはそのそもそもがなかった。なかったんだ。

 夢をかなえることよりも、私は普通に食っていけるような職に就くことを望んだ。

 そう、自覚したとたん、はっきりあきらめがついちまった。私には、情熱がない、だからムリなんだって。

 そりゃぁ、悲しかったさ。

 あっさりあきらめられた自分と、すとん、と納得しちまった自分に。

 大事だと、大切だと思っていたのに……いざあきらめてみるとそんなに落ち込めなかった。

 そんな、自分の空っぽさが、泣きたくなるくらい悲しかった。



 なのに、なんで今も書き続けているのかって?

 笑っちゃう話なんだが、それがもう当たり前になってんだよ。

 食べたり寝たり、いや呼吸するのと同じくらい「当たり前」のことになっている。

 気がつけば、私は書いてる。

 それに、まぁ……今は個人サイトとかで書いたものを見てもらえるからね。ありがたいことに、さ。

 ほんと、自分でも嫌になるんだけど、いつかもしかしたらデビューできるかも、なんて甘ったるい期待も抱いてないわけじゃない。馬鹿だ、って言われてもそれでも。

 書いてなかったにしても、私の頭はちょっとした空白の間にも物語を考えてしまう。

 いい話を読めば、書きたくてたまらなくなる。

 そんな風になっちまってるのさ。もう、救いようがないくらいに、どっぷりとさ。



 だから、きっと私は「書く」ということにとりつかれちまってるのさ。

 


 もっとも、そんな自分も嫌いじゃないってのが、一番救いようのない話だがね」

まぁ、ぶっちゃけ、私自身の話です。

あくまでも、私自身の考え方・とらえ方なので「これは違うんじゃないか」等の意見の方もいるとは思いますが、言わないでもらえるとありがたいです。

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