狩人のレイヴァン
昼の議論が終わって、僕は自宅の静かな闇に帰ってきた。木製のテーブルに、酒を満たしたグラスをそっと置く。月光がグラスに映り、冷たい光を湛える。
これは、今日散った仲間への弔いの酒だ。絶対に敵なんかじゃなかった。あいつは…絶対に俺の仲間だったはずだ…。
月光が僕の瞳に、沈黙の哀しみを刻む。
あいつの言葉が、まだ頭から離れない。胸が締め付けられる。
酒を飲みたい衝動を抑え、僕はティーポットからカップに紅茶を注ぐ。茶葉の深い香りが、静かな夜の空気を柔らかく撫でる。
今夜は酔ってる場合じゃない。狩人としての仕事が待ってる。
月光がカップの湯気を照らし、僕の心を少し落ち着かせる。
今夜、狼が来る。誰かを守らなきゃ…。
僕は深く息を吐き、胸の痛みをそっと抑える。
僕は壁の古びた槍掛けに立て掛けられた槍をじっと見つめる。月光が槍の刃に冷たく反射する。
村の唯一の狩人として、今夜は寝ずの番だ。
狼から仲間を守るため、誰かを選ばなきゃならない。誰を守るべきか…これ以上の犠牲は、もう…。
僕は拳を握り、月光の下で決意を固める。
僕はカップを手に、背もたれにもたれかかり、紅茶の香りで心を落ち着ける。月光がテーブルの木目を照らし、静寂が頭を整理してくれる。
「順々に考えていくか…この村には占い師が二人いたな…。」
僕は頬杖をつき、月光を見つめる。
「まぁ、どっちかは狼だが…。」
指で机に軽くリズムを刻みながら、今日の議論を思い出す。あいつの声が、胸の奥でまだ響いてる。
腕を組み、椅子の背に体を預けて、僕は呟く。
「クルト…あいつは強気で攻撃的だったな…。」
月光が僕の額に淡い影を落とす。
「もし、クルトが本物の占い師なら、シルビアはあいつを襲って信用勝負を避ける可能性は十分ある…。」
指先でカップの縁をなぞりながら、考える。僕は目を閉じ、静かに息を整える。
椅子の背から身を起こし、テーブルに肘をついて、僕は続ける。
「シルビア…あいつは控えめだったな…。」
月光がカップの紅茶に揺れる。
「シルビアが本物なら、強気なクルトは襲わなくても明日議論で勝負するんじゃないか…?」
僕は眉を寄せ、頬杖をつく。
「いや、クルトだけの思考で考えるのは間違いか…? 『クルトともう一人の狼』の思考を考えなきゃ…。」
指で机を軽く叩き、声を低くする。
「控えめなシルビアに護衛は来なさそうと考える可能性もある…もう一人の狼が冷酷なら、クルトを切り捨ててでもシルビアを襲う可能性が十分あるな…。」
月光が僕の握った拳を照らす。
僕は背もたれに深くもたれ、目を閉じる。
「霊能者のブランド…どうするか…。」
月光が部屋の静寂を深める。
「ブランドが生きてれば、あいつが仲間だったのか、敵だったのかの結果が出てくる…ただ、正直それは僕には必要ない…。」
僕は小さく首を振る。
「だって、僕はあいつが仲間だって確信してるから。結果報告がなくても、僕があいつのことを皆に伝えればいい…。」
一瞬、瞳が揺れ、指で机にリズムを刻む。
「…違う。そうじゃない。僕の考えじゃない。狼たちの考えだ。」
僕は目を細め、声に出しながら整理する。
「狼が霊能者を襲うってことは、僕のこの主張で村の混乱を加速させる狙いで来るってことだよな…重要なのはそっちだ…狼の狙いを読むことだよな…。」
月光が俺の僕に、決意の影を刻む。
僕は深いため息をつき、ゆっくり立ち上がる。
「…悩んでても仕方ない。結局は直感だ。」
槍掛けから古びた槍を手に取り、刃に映る月光を見つめる。静かな足音が木の床に響き、ドアへ向かう。
肩越しに振り返り、酒のグラスに目をやる。あいつの声が、心の奥で響く。
ドアの前で、僕は酒のグラスに静かに視線を投げる。
「それじゃあ、行ってくるよ。俺の直感が正しいことを願っていてくれ。」
一瞬立ち止まり、強く槍を握る。月光が俺の背中に冷たく降り注ぐ。
「ごめんな。もう誰も犠牲者は出さないよ。」




