霊能者のフェイゲン
ペグ村、二日目の朝。
集会所の古い木の床に、朝の陽光が縞模様を描いていた。
フェイゲンがゆっくりと、皆を見回した。
「これは、パターン1進行だ。何故、お前とベッカーの二択になるかと言うと、お前とベッカーの二人は占い師に白結果を出されていないからだ。」
声は静かだったが、室内にしっかりと響く。
カールトンを中心に、皆の視線が集まる。
「パターン1って事は……パターン2とかもあるんですね……?まぁ、とりあえずパターン1を理解します。もっと『詳しく聞かせて下さい』」
カールトンは真剣な目でフェイゲンを見つめた。
その素直さに、フェイゲンの口元がわずかに緩む。
「そうだな。パターン1の完全理解からだ。これは、占い師に白を出されていない、お前とベッカーは『狼の可能性がある』ではない。『占い結果による村証明がされていない』という理由で、本日の追放対象になる、というわけだ。」
フェイゲンはカールトンを見つめながら続ける。
「なるほど。俺とベッカーさんが『狼と疑われてる』わけじゃないんですね?あくまで『占い結果による村証明がされていない』って理由なんですね?」
カールトンが再確認するように問い返す。
「その通りだ。残酷な結果にはなるが、お前とベッカーが村人同士だった場合は 『今後、より村に貢献出来る人間はどちらだ?』と、オーディションのような形になる進行だ。」
フェイゲンの瞳が真剣さを増す。
カールトンは苦笑いを漏らし、横目でベッカーを見た。
ベッカーも同じように笑って肩をすくめている。
「パターン1の進行は以上だ。わからない事があれば追加質問してくれて構わないが、どうする?」
フェイゲンはカールトンに問いかける。
「いえ、パターン1は大丈夫です。次はパターン2を聞かせて下さい。」
カールトンは即答した。
フェイゲンは小さく頷き、
バクスターとパーディをちらりと見てから口を開いた。
「パターン2はこのまま占い師二人を追放してしまうという進行だ。偽占い師が狼である場合・占い師が両方共偽、狼占い師と狂人占い師の場合、この選択をした時点で俺達村の勝ちだ。」
フェイゲンが説明を始める。
カールトンも自然と占い師二人に視線を向ける。
「ただし、この進行は偽占い師が狂人だった場合には対応していない。だから、パターン2を選んだ場合は、占い師の組み合わせは真狂だとの前提で、騙りをしていない潜伏狼を探していく議論となる。」
フェイゲンは続ける。
「なるほど……パターン2もわかりました…… パターン3とかもあるんですか?」
カールトンは少し考え込みながら、フェイゲンに問いかけた。
「あぁ、パターン3もある。これで最後だ。パターン3は俺を追放する事だ。」
フェイゲンは辺りを見回しながら口を開いた。
「えっ……? フェイゲンさんを追放……なんで……!?」
カールトンが目を丸くする。
「さっき説明したパターン1もパターン2も、俺が真霊能者で、パーマーが狼であるという前提の元に成り立っている。だが俺が偽で、パーマーが村人の可能性もあるわけだ。 実はこのパターン3をするかしないかが一番重要なポイントなんだ。」
フェイゲンは静かに、だが力強い言葉で言う。
「あぁ……は、はい……」
カールトンはかろうじて頷く。
「今日、俺が追放すれば、パーマーが狼であれ、村人であれ『昨日・今日で確実に人外を1始末した』という結果がお前達には残る。実はパターン3の俺の追放が一番の安全な進行で、パターン1、パターン2共に『俺を真として認める』の上に成り立った攻めた進行という事になるな。」
どうやら、フェイゲンの説明は終わったようだ。
「いやぁ、ややこしいですねぇ……」
カールトンは頭をかいて苦笑いした。
「案外、そうでもないよ?」
チャックが穏やかな声で割り込む。
「えっ……? そうなんですか?」
カールトンが顔を上げる。
「君は、パターン1・パターン2・パターン3。この中のどれがやりたい? 直感でいいよ?さぁ、やりたいのはどれ!?」
チャックは優しく、しかし確実に背中を押すように微笑んだ。
「なるほど。直感でいいのか…… じゃあ、俺は……」
カールトンは一度目を閉じて、小さく息を吸い、そして口を開いた。
朝の陽光が、彼の横顔を静かに照らし、 まるで「答えを待っている」と言うように、 集会所の空気を優しく震わせていた。




