村人のチャックと霊能者のフェイゲン
ペグ村、二日目の朝。
集会所の窓から差し込む光はまだ柔らかく、埃の舞う筋が金色に輝いていた。
「まぁ、とりあえず議論を再開しようか?占い師の二人よ、結果報告をくれ。」
フェイゲンが軽く咳払いして口を開く。
「俺はチャックを占いました。チャックの結果は白です。」
バクスターが淡々と告げる。
「あっ、俺もチャック占いなんですよ。チャックは白です。」
パーディも続けて手を挙げた。
「おうおう、いいじゃんいいじゃん!これでチャックは確定白なわけか!? おめでとう!」
ベッカーが嬉しそうに両手を叩く。他の村人も次々に拍手を始める。
カールトンは何が起きたのかまだ半分わかっていないが、皆と同じように手を叩いた。
「うむ。ここからの進行は俺じゃなくて、確定白のチャックにやって貰おうかな?チャック、進行役引き継ぎだ。」
フェイゲンが椅子から身を乗り出して言う。
「嫌です。俺、進行やりません。進行は引き継ぎ、フェイゲンさんが行なって下さい。」
チャックは笑みを浮かべながら、さらりと拒否した。
「……何故だ?」
フェイゲンの眉がピクリと跳ねる。
「俺はフェイゲンさんが、正しい進行を出来るかどうか精査しておきます。まぁ、大丈夫とは思いますけど、フェイゲンさんが『おかしな進行提示』をしたら、進行権を取り上げますよ。フェイゲンさんを泳がせるみたいな形になりますね。」
チャックは笑顔のまま、まるで悪戯する子供のように言った。
「なかなか言ってくれる確定白だねぇ。まだ、俺の信用が足りないのか?よし、わかった。その提案乗ろう。」
フェイゲンも口元を緩めて応じる。
「それじゃあ、フェイゲンさんには『何故、俺が進行役になるか』を説明して貰いましょうかね? 絶対、アイツ、わかってませんよ?」
チャックがカールトンに目を向ける。
(うっ……図星だ……!)
カールトンは一瞬焦ったが、これは疑われているわけじゃないと自分に言い聞かせ、慌てて顔を上げた。
「よし、説明するぞ。最初に霊能者の俺だ。霊能者の俺は偽の可能性がある。俺が狼で、パーマーが村人だった場合、今お前達はまだ一回の失敗は許されると思っているが、実はもう一回のミスも許されない、危険な状況なんだ。ここまではいいな?」
フェイゲンが、カールトンを中心に全員を見回しながら言う。
「い、いや……でも、俺はフェイゲンさんの事を信じてますよ……?」
カールトンは答える。
「一応……の可能性なわけだ。まだ『俺を信じる』『俺を信じない』の択にしなくていいぞ? 『詳しくお聞かせ下さい』でいいんじゃないか?」
フェイゲンはカールトンを真っ直ぐ見つめながら答える。
「あっ、あっ、あっ……そうですよね!?詳しくお聞かせ下さい!」
カールトンが慌てて叫ぶと、
隣のベッカーが机を叩いて大笑いし始めた。
他の村人もそれにつられて笑い出す。
「ハハ、今日は楽しいな!? 続けるぞ? 一方、チャックのが狼の可能性は零なわけだ。カールトンが狼であるのならば、占い欠けになる。バクスターとパーディが狂人・狼の組み合わせになる。」
フェイゲンも笑顔になり、説明を続ける。
「はいはい……うんうん、そうですよね。占い二人がチャックさんに白出してるから、そうなりますよね。」
カールトンは必死で頷きながら聞き入る。
「しかし、占い欠けだった場合は、霊能者の俺は真だ。
俺が出した結果はパーマーが黒だ。だから、占い二人が狂人・狼だった場合でも、残りの狼はパーマーなので、
どのパターンでもカールトンが狼の可能性はないと言う事だ。」
フェイゲンは続ける。
「後、フェイゲンさんは多分、気を使ってくれてるけど、俺が狂人の可能性は一応ある。狼じゃないのは確定してるけどな。」
それにチャックが補足する。
「はいはい。なるほどなるほど……フェイゲンさんには『一応、狼の可能性はある』けど、チャックさんは『絶対に、狼の可能性はないから』って事ですよね?」
カールトンは二人の説明でわかった事を確認する。
「いいねぇ。日々、良くなってるね、君!」
ベッカーが大笑いしながら、カールトンに指を差す。
カールトンは照れ臭そうに頭を掻いた。
「つまり、本来この場合は、まぁ、狂人の可能性は一応あるが、『絶対に狼の可能性がない』チャックに進行して貰うのが、一番リスクの少ない行動なんだが、チャックは敢えて『一応、狼の可能性がある』俺に進行させて、その一応の可能性を探っている……と言った感じだ。
ちょっとした応用進行になるな。」
どうやらフェイゲンの説明は以上のようだ。
「はぁ、なるほど……色々、考えてるんですね……凄いなぁ……」
カールトンは目を丸くして、チャックとフェイゲンを交互に見つめた。
「じゃあ、現在の状況は全員理解出来ましたかね?
それじゃあ次、行きましょう。フェイゲンさん、今日、やる事を昨日のようにまた指示して下さい。」
チャックがにこやかに促す。
「うむ、そうだな。今日行う事は『カールトンとベッカーのどちらを追放するか』になる。」
その瞬間、カールトンの胸がドクンと跳ねた。
また、今日も自分が追放対象……
しかも昨日は四択だったのに、今日は二択。
相手は、ベッカー。
カールトンは思わず目を丸くして、隣のベッカーを見つめた。
朝の陽光が、まるでスポットライトのように二人の顔を照らし出す。
今日も、生き残れるかどうかの戦いが始まろうとしていた。




