占い師のウエンディ
ブッチャベビ村の朝は、柔らかな朝日が村の石畳を優しく照らし、霧が薄く立ち込めていた。集会所の古びた窓から差し込む光は、埃の舞う室内をぼんやりと浮かび上がらせ、少女の顔に微かな影を落とす。
この村には、一人の少女がいた――占い師のウエンディ。彼女は、幼い頃からその能力を有効に使い熟せるよう、大切に育てられた。熱心に皆の教えを聞き、村の守護者として成長してきたはずだった。
だが、今朝のウエンディは、集会所の片隅に座り、朝の光を浴びながら、過去の教えを次々とフラッシュバックのように思い浮かべていた。彼女の瞳は、混乱の渦に飲み込まれ、焦点を失っている。
『占い師は積極的に発言する人間を占え』
幼い頃の記憶が、朝の霧のように蘇る。村人達が、厳しく教えてくれた理論だ。
狼は議論のコントロールを狙うから、そういった人間を占うのが有効的だ。仮にこの占った人間が村人なら、頼りになる仲間だと確認出来る事になる。
ウエンディは熱心に頷き、その言葉を刻み込む。だが、次に別の村人が言った言葉が、記憶の連鎖を呼び起こす。
『占い師は発言をしていない存在感のない人間を占え』
これは、人狼は目立たないように潜むパターンが多いかららしい。
仮にもしこの占った人間が村人なら、「心配しないでいい。私は味方だよ」と安心感を遅れるメッセージになるから、有効的だそうだ。
どちらの理論も正しい。
朝の光がウエンディの顔に落ち、彼女の心は揺らぐ。
(でも、それって、どっちを占えばいいの?)
過去の教えの記憶止まらない。次に思い浮かぶのは、別の場面――他の村人が、熱く語った言葉。
『一番の投票先を集めようとしてる人間を占え』
これは、投票先に影響を与えそうな人物が狼だった場合、既に村は狼のコントロール下にあるという事。
仮にその自分が白だったら、村のコントロールは村人によって行われている事が確認出来る。』
この理論も正しい。
だが、ウエンディの心は、朝の霧のように曖昧になる。
(私は、結局誰を占えばいいの?)
教えられた記憶さらに続く。記憶の渦が深まる中、別の村人の声が響く。
『自分に敵意を向けている人間を占え』
狼は真占い師の印象下げを行なってくる可能性がある。そういった人間は真っ先に色を確認しろとの理論だった。
また、仮にこの人間が白だった場合、それは和解の為の行動になるとの理論だ。
もうウエンディは何も理解出来てなかった。教えられば教えられるだけ、選択肢が増えて行く。完全にウエンディは思考の沼に溺れていた。
朝の光が彼女の髪に落ち、まるで彼女の混乱を優しく包むように輝くが、心の中は嵐だった。
そして、昨日、ブッチャベビ村に狼が忍び込んだ。
思考の沼に溺れているウエンディの戦いが、これから始まる……




