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霊能者のシマと狼のローリー

マジックポーション村の最終日の夕暮れの空は燃えるような赤と紫に染まり、村の石畳に長く伸びる影が、集会所の古びた窓に揺れている。夕陽の光は、埃の舞う室内を淡く照らし、残された三人の顔に疲れと緊張を刻み込んでいた。

村人のアツシ、狼のローリー、そして霊能者のシマ――最終日の議論は、この三人に委ねられていた。


シマは、集会所の中央に立つその姿から、クールで冷静沈着な女性に見えた。

だが、その印象は、まるで夕暮れの薄光に浮かぶ幻影のように、脆く、儚いものだった。実は彼女は、初日から混乱の渦に飲み込まれていた。


(だから……アツシとローリーの二人のどちらかが狼で……今日、私が狼に投票したら、村は勝ちなのね……)

シマの頭の中の思考は霧のように絡み合い、形を成さない。

彼女のクールに見える態度は、ただ混乱を隠すための精一杯の強がりだった。


アツシがローリーに向かって叫ぶ。声は鋭く、夕陽の光を切り裂くように響く。ローリーの怪しい点を指摘しているらしいが、シマの耳にはその言葉が届かない。


(何……? 今、なんて言ったの……? えっ……!?)

彼女の心は、まるで夕暮れの薄暗さに飲み込まれるように、さらに混乱を深める。


再び、アツシが叫ぶ。ローリーの行動の矛盾を突いているようだ。だが、シマの耳には届いても、脳には届かない。言葉は空虚に響き、意味を失う。


(んん……? 今、アツシは何を言ったの……? んんっ……?)

シマの混乱は、夕陽が沈むにつれて加速する。彼女の目は、集会所の床に落ちる影を彷徨い、焦点を結ばない。


「ねぇ、シマちゃん! ねぇ!? シマちゃん、聞いてる!?」

突然、ローリーの声が彼女の耳に飛び込む。夕陽の光が彼の顔を赤く染め、その瞳には、まるで純粋な光が宿っているように見えた。


「えっ……? あぁ、うん……聞いてるよ……!?」

シマはかろうじて答える。声は震え、夕暮れの冷気が彼女の心をさらに締め付ける。


「本当!? 大丈夫!? シマちゃん、ずっと上の空のように見えるよ!? 僕、心配だよ!?」

ローリーの声は、まるで夕陽の温もりを運ぶように、シマに向かって響く。

彼は狼――村を欺く存在だ。だが、今この瞬間、彼の言葉には、シマへの純粋な想いが滲んでいる。ローリーはシマに心を奪われ、彼女の混乱を本気で心配していた。


「僕、シマちゃんがわからない所があるなら、そこまで話を戻して大丈夫だから、正直に言って大丈夫だよ!?」

ローリーは必死に続ける。その声は、まるで夕暮れの光に溶け込むように、切実で、熱を帯びていた。彼を突き動かすのは、シマへの想い――たとえそれが、狼と村人の結ばれない物だとしても。


「あの、ごめん……正直に言うわ……私、二日目ぐらいからもう何も覚えてない……」

シマは、俯きながら、か細い声で告白する。夕陽の光が彼女の髪に落ち、まるで彼女の脆弱さを際立たせるように輝く。


「はぁ!? お前、何言っているんだ!? 今、俺、三日目の話をしてるんだぞ!?」

アツシが怒鳴る。声は鋭く、集会所の空気を切り裂く。シマは怖くてアツシの顔を見られない。夕暮れの影が、彼女の心に重くのしかかる。


「オーケー、オーケー! 二日目だね!? 二日目って言ったら、ウジガミの霊結果の白を発表した日だったね!? あの日から、シマちゃんは混乱してたのね!? ウジガミが白で混乱しちゃった?」

ローリーの声は大きく、まるでシマを包み込むように響く。夕陽の光が彼の背に差し込み、彼の影を長く伸ばす。彼は、シマの混乱を解きほぐそうと必死だった。


「そう……私、ウジガミさん白見て、失敗しちゃって混乱しちゃって……」

シマは俯いたまま、か細く答える。彼女の声は、まるで夕暮れの風に消えそうだった。


「ド〜ントマインド! あれは僕の責任! アレ、僕がウジガミを疑ったから、あぁなっちゃったんだよ! シマちゃん、何も悪くない! アレ、悪いのは僕!」

ローリーは叫ぶ。その声は、まるで夕陽の最後の輝きのように、熱く、切実だった。彼の言葉は、シマの心にそっと寄り添う。


「だからいつの話してるんだよ!?」

アツシが苛立って叫ぶ。声は鋭く、シマの心をさらに締め付ける。彼女は怖くて、ますますアツシの顔を見られない。


「僕、あの時、皆にごめんなさいしたよね!? シマちゃん、それは覚えてる!?」

ローリーは、シマに向かってさらに叫ぶ。夕暮れの光が彼の瞳に反射し、まるで純粋な炎が宿っているように見えた。


「……う、うん。それは覚えてる。」

シマは、か細く答える。彼女の目は、ローリーの声に導かれるように、わずかに彼を見つめる。


アツシは、優れた理論を展開していた。論理的で、鋭く、ローリーの怪しい点を突く言葉を並べていた。だが、今のシマには、その言葉はまるで夕暮れの霧のように、掴みどころなく、理解できない。

ローリーの心を掴もうとする言葉――その純粋さと熱量に、シマの心は揺れ動かされていた。夕陽が集会所の床に最後の光を投げかけ、シマの影を揺らす。彼女の心は、混乱と感情の間で、まるで夕暮れの空のように揺れていた。


ローリーの言葉だけが、シマにとって、まるで最後の光のように、彼女の心に届いていた。

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