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狼のワンダーと占い師のマーヴィン

ワツゴイオン村の初日に話を戻る。

占い師が二人、霊能者が二人現れ、村は「2-2盤面」だ


議論の初日から、占い師を名乗る二人の男は、静かな戦いを繰り広げていた。

真の占い師、マーヴィンは、冷静な目で場を見渡し、言葉を選びながら村人たちの反応を窺う。一方、偽の占い師――狼のワンダーは、まるで別世界にいるかのように、両眼を閉じて議論に参加していた。

マーヴィンはその異様な姿に目を留め、内心で策略を巡らせていた。ワンダーの決定的な『ボロ』をそこから掴めるか?

パストリアスの騒々しい声が集会所を支配する中、マーヴィンは静かに仕掛けを試みる。


「両眼を瞑って、何のつもりなんだい? そんな事で狼を見つけられるのか?」

マーヴィンの声は、朝の霧のように静かだが、鋭くワンダーを突いた。これは彼の『仕掛け』だった。ワンダーが違和感のある返答をすれば、そこから糸を引くように追求できる――マーヴィンはそう計算していた。


しかし、ワンダーは目を閉じたまま、穏やかに答える。

「皆の声に集中したいんだ。目を瞑った方が集中出来るからね。」


その声は、まるで朝の光に溶け込むように柔らかく、村人たちの耳に自然に響いた。集会所の空気が一瞬和らぎ、村人たちは納得した様子でワンダーを見つめる。もちろん、ワンダーにはその視線が見えない。彼の閉じた瞼は、まるで村の不信を拒絶する盾のようだった。


「……随分変わったやり方ですね?」

マーヴィンは、さらなる仕掛けを投げかける。声には、探るような鋭さが隠れている。


「これが僕のやり方なんだ。」

ワンダーは、目を閉じたまま、静かに答えた。その口調には、まるで揺らぎがない。マーヴィンの追求は、まるで霧に溶けるように途切れた。


ワンダーは心の中で静かに思う。

(確かに僕は狼だ……でも、僕は皆を『騙す』なんて事はしない……僕は皆に信じて貰う事を信念に行動している……)

彼の心は、まるで朝の霧のように曖昧で、しかしどこか純粋な執着に満ちていた。ワンダーにとって、村を欺くことは目的ではない。彼には別の目的があった。


ジェマーソンが口を開き、議論に新たな火種を投じる。


ワンダーはその言葉に応えるように、静かに、しかし確実に言う。

「そうだね。皆は皆のペースでじっくり考えればいいよ。それぞれ自分のペースがあるんだから。発想のアイディアが浮かばない人はパストリアスのアイディアを参考にすればいいよ。」


ワンダーの声は、まるで朝の光のように穏やかで、村人たちの心にそっと寄り添う。彼は再び心の中で考える。

(僕は誰よりも皆と『仲良くなりたい』んだ……その結果、この村が崩壊しようとも、一時の『友情』を皆と築ければそれで満足なんだ。)

その思いは、まるで霧の向こうに隠された刃のように、純粋でありながら破壊的だった。


一方、マーヴィンは静かに内心で舌打ちする。

(厄介な相手だねぇ……多分、相手は『騙す』の意識はないだろうな……そんな相手に尻尾を引き出す為の駆け引きを仕掛ければ、こっちが揚げ足を取ろうとしている悪者に見られかねない……まぁ、軽率な仕掛けはこっちが不利になるかな?)

彼の目は、ワンダーの閉じた瞼をじっと見つめる。マーヴィンは、ワンダーの「純粋さ」が、村人たちの心を掴む危険性を察していた。

軽率な攻撃は、逆にマーヴィンを悪者に見せかねない。朝の光がマーヴィンの顔に落ち、彼の眉間に微かな影を刻む。


そして、マーヴィンは慎重に言葉を発する。

「パストリアスが何故声をあげてるかを考えてあげよう。それは皆が声を出さないからだ。皆がしっかりした声を出せば、パストリアスだって安心して皆に託す事が出来る。その気持ちを汲み取ってあげよう。」


彼の声は、まるで集会所の空気を整えるように穏やかだったが、その裏には、ワンダーを牽制する計算が隠れている。

占い師の真偽が決め打ちされるのは二日後だ。だが、初日から、マーヴィンとワンダーの戦いは始まっていた――どちらが村の信頼を勝ち取るかの、静かな、しかし執拗な戦いが。

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― 新着の感想 ―
普通に人狼やってたらおそらく霊能のせいで見落とすような占い同士のやり取りをしっかり見れるのって小説の魅力ですよね! 「最終的に崩壊しても一時的に友情を築きたい」って考え方、すごい独特ですよね。マドンナ…
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