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霊能者のオズボーンと狼のカステロ

そよぐ風が響き、木々の間を抜ける光が集会所の木目を浮かび上がらせる山間の小さな村、サバス村。

そこに再び狼がやってきた。名はカステロ。

彼はこの村には占い師がいない。霊能者、狩人、村人のみ――この村は純粋な議論だけで狼を探すしかない村だと、何故か知っていた。


「また、狼が忍び込んだようですね。皆で探しましょう〜」


霊能者のオズボーンがニヤニヤした笑みを浮かべ、陽光がそのよれたネクタイを照らした。ボタンをズレたシャツ、右手に持った酒瓶、ふざけた統制役が議論を始める。そよぐ風が彼の声を集会所に響かせた。


(なんだ、アイツ……何食ってやがる……? アレ、コウモリか……?)

カステロが冷たい目でオズボーンを観察し、陽光の下で内心呟いた。静かな息を隠しながら。


「スルメ美味しいですねぇ……今日は楽したいので『飛び火』でやりま〜す。それじゃあ、仮指定は……君と、君〜!」

オズボーンが震える指で二人を指し、陽光がそのスルメを黒く光らせた。今日のオズボーンはスルメを食べてながらだ。しかし集会所の緊張を掻き立てる宣言だ。


(アレは、スルメなのか……!? あんな黒いスルメ食って大丈夫なのか……? いや、そんな事はどうでもいい……『飛び火』だと……? また、わからん単語が出てきやがった……)

カステロが冷静に呟き、陽光が彼の冷たい目を映した。そよぐ風がその思考をそっと包む。


「おっ、仮指定は俺か。それじゃあ、やらせてもらいますか。」

ボーディンが笑みを浮かべ、陽光がその勢いある目を輝かせた。


「いやぁ、仮指定されたか……怖いねぇ……」

アピスが腕を組み、陽光の下に呟いた。集会所にその声がそっと響く。


「ボーディンの方が勢いがあるねぇ。」

カステロが即座に口を開き、陽光が彼の冷たい目を穏やかに隠した。


(まだ、『飛び火』ってのが何かはわかってはいない……ただ、確実に言える事が一つだけある……それは、油断さえしなければ切り抜けられるという事だ……どうせ『飛び火』ってのも、俺を捉える為の策なのだろう……!?)

カステロは冷静さを保つ。そよぐ風が彼の静かな息を運んだ。


「アピス、質問だ。何故、怖いと感じた? 吊られるのが怖いのか?」

ボーディンが笑みを浮かべ、陽光がその目を鋭く照らした。集会所の空気が揺れる。


「あぁ、そうだ。勿論、吊られるのは怖いよ……ただ、それだけじゃない。お前がまともに判断出来ずに俺を狼と誤解したまま突き進む可能性……それに何よりお前が狼である可能性も怖い。」

アピスが腕を組み直し、陽光の下で真剣に応えた。その声は集会所に響き渡る。


「ふむ。ボーディンの切り口はいいが……アピスの返事はもっともだな。」

カステロが言葉を発する。陽光が彼の冷たい目を隠した。これは『感想』ではない。『村を騙す罠』なのだ。


「逆にボーディンに問わせてもらうよ。お前は何故、俺の怖いという感情を、『吊られるのが怖い』と決めつけた? 答えた通り、人間の感情ってのは複雑だ。お前が俺の怖いって感情にイメージ操作をしたんじゃないかと感じたぜ。」

アピスが大きく手を広げ、陽光がその真剣な眼差しを照らした。そよぐ風がその声を集会所に掻き立てる。


「ふむ。では答えさせてもらおう。答えはお前の口から聞きたかったからだ。お前の言う通り、人間の感情は複雑だ。だが、俺にその感情の複雑さを全て想像しろっていうのか?」

ボーディンが淡々と応え、陽光がその落ち着いた目を映した。


「ふむ。続けてくれ。」

アピスが真剣な眼差しでボーディンを見つめ、静かな緊張感が走る。


「俺は吊られるのが怖いのかと予想した……ただ、それだけだ。実際にお前の怖いという感情にはそれが入ってだろう。ここを『吊られるのが怖いが、40%。俺のご判断が怖いが、30%。俺が狼である可能性が、30%と感情を予想するが、その感情の割合が違うと思う』なんて、あの一言から予想しろってか? それは無理な話だ。」

ボーディンは淡々と続ける。陽光がその顔に落ち着いた影を刻んだ。そよぐ風が集会所の静けさを揺さぶる。


「なるほど、あくまで大まかな予想で言ったという事だな。」

アピスが頷き、陽光がその目を穏やかに照らした。


「ボーディンの返事はもっともだな……」

カステロはあくまで冷静に対応する。そよぐ風がその言葉をそっと運ぶ。


「このパーセンテージについて、もっと深掘りしてみるかい?」

ボーディンが問い、陽光がその目を鋭く照らした。


「いや、そこまで深掘りはやめておこう。俺自身だってハッキリ数値化出来ない。俺は『飛び火』をしたい。」

アピスが答え、陽光がその真剣な眼差しを映した。集会所の緊張を高まる。


(『飛び火』……とうとう来やがったか……? どうなる……俺は捉えられているのか……!?*)

カステロが静かに息を飲む。陽光は彼の冷たい目を隠しす。高鳴る鼓動を抑えつける。


「そうだな。俺も、アピスはとりあえず、村人だと思うよ。これ以上パーセンテージの深掘りなんかよりも『飛び火』した方がいいだろ。俺は、クルフェトスを指名する。アピス側に加担しすぎだ。」

ボーディンがクルフェトスを指差す。陽光がその手を鋭く照らした。ざわめきが起こる集会所。


カステロはここで『飛び火』の意味を理解した。


「俺は、カステロを指名だ。最初はボーディンに加担しているように見えたが、その後はどっちつかずな意見だったように見えた。そこを話し合って欲しい。」

アピスがカステロを指差し、陽光がその真剣な目を輝かせた。集会所のざわめきは更に高まる。


カステロは捉えられた。


(なるほどね、なるほどね……飛び火のシステムも理解出来たぞ……仮指定の二人が互いに村と認識し合った場合、戦うのをやめて、新たに疑ってる奴を指名すればいいんだな!?)


カステロの胸は高鳴る。陽光がその冷たい目を燃やすように照らした。興奮と戦いの喜びがそよぐ風に運ばれる。


「それでは、次はクルフェトスとカステロで議論して下さ〜い。ボーディンとアピスの『飛び火』のタイミングにも違和感はありませんね〜。」

オズボーンがニヤニヤした笑みを浮かべて、酒瓶を傾けながら宣言した。ボタンずれのシャツ、よれたネクタイ、黒いスルメを食べながら、しかしその瞳の奥には、鋭い何かがハッキリと映っている。

彼のふざけた声が集会所に響く。


カステロは心に決めた。

(必ずこの男を騙してやる)

陽光が彼の冷たい目を照らし、そよぐ風がその決意を運んだ。


「さぁ、やろうか。何故、アピスに加担した? アピスの正当性を感じたか、ボーディンに正当性を感じなかったのか、その確認からしようか。」


カステロはクルフェトスに向かって言い放つ。鋭い声が響く。

集会所に新たな戦いが始まった。

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― 新着の感想 ―
オズボーン、前回と同じようにめちゃめちゃ頼れる霊能者さんですね!!! やっぱり、仮指定制度があると村全体がやるべきことが的確にわかるのがメリットなのかなって思います。 あとは、飛び火もあるから指定外の…
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