表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/67

占い師のエディと村人のアレックス

ジャンプ村は、山間の陽光が淡く降り注ぐ小さな集落である。木造の集会所には、村人たちのざわめきが響き、昼の光が床に揺らめく影を刻む。


議論の初日、二人の占い師が名乗りを上げた。エディとサミー。真なる占い師はエディ、偽りはサミー。

その真実は知るのはエディとサミー、そして闇に潜むもう一人の狼だけ……他の村人達にはわからない。


議論と口論の境界は、霧のように曖昧である。

理を重ね、互いの真意を探るのが議論ならば、その声が高じ、感情が刃となるとき、口論に堕する。

傍目には、ただの騒めきに映るのみ。

されど、当人たちは自らの正義を信じ、言葉を交わす。


アレックスの眼には二人の行わっている物が口論に映っていた。


――そんな曖昧な行いは続いたまま、三日目になった。


現在、村にいるのはエディ、サミー、アレックス。そして、アンソニーとデイヴ。


サミーが集会所の中央で声を上げた。

「占い結果を報告するぜ。アレックスは黒だ。コイツが狼だ。」


その言葉に、アレックスの胸が高鳴る。陽光に照らされた彼の顔は、驚きと確信が入り混じる。

サミーの言葉が偽りだと、アレックスには一瞬でわかった。

彼は村人だ。

アレックスはエディの方へ目を向けた。


エディが立ち上がり、拳を握って宣言した。

「俺の占い結果はアンソニーが黒だ。アンソニーが狼なんだよ!」


エディの声は熱く、陽光に汗が光った。

本物の占い師はエディ。そしてその結果から、隠れていた狼はアンソニー。

アレックスは全ての結果がわかった。


デイヴが木の椅子から身を乗り出し、口を開いた。

「なるほど……サミー・アンソニー組か、エディ・アレックス組かのどっちかが狼ってことだな。」


デイヴは溜め息混じりに、眉をひそめて続けた。

「どっちのパターンでも、俺は村人確定だ……それじゃあ、今日は俺の一存で決めるぞ。まぁ、議論を続けてくれ……」


その言葉が口火となり、エディとサミーの議論が再び火花を散らし始める。


先に声を上げたのはエディ。

「お前はずっと酒に溺れたような主張ばかりしやがって! そんなスパイスは必要ねぇんだよ!」


サミーは冷静に切り返しす。

「完璧主義を気取ってるつもりか?お前の主張はつまらねぇ!」


二人の議論が再開される。


だが、アレックスにはそのやり取りが、相変わらず口論にしか映らなかった。

エディの「正しさ」も、サミーの「偽り」も、何もわからない。

何を言っていたか思い出そうとしても、「ただ言い争っていた」という記憶しか浮かばない。


デイヴが横で眉をしかめ、呆れた顔で二人の口論を見つめていた。彼もまた、口論にしか見えていないのだろう。


アレックスは全ての結果がわかった。

エディは仲間で、サミーとアンソニーが狼だ。

だが、それを伝える過程は霧に覆われている。


エディは仲間なのだ。

なのに、彼の「正しさ」の言葉は思い出せない。


このままでは、負ける。

アレックスの鼓動が高鳴る。


エディとサミーの口論は続いている。

デイヴの呆れた顔が、チラッと光に映る。


アレックスは静かに息を吸い、覚悟を決めた。

「ちょっと、聞いてくれ。」


村人たちの視線がアレックスに集まった。


「この三日間、俺が何を思っていたか……何を考えていたか説明する。俺の思う正しさも、判断の要素にしてほしい。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ