第一話「選ばれし者」
新連載です。頑張って更新したいと思います!
ぜひ一読していただけると嬉しいです。
運命。それは誰もが避けられない、既に起こることが決まっている未来。オーロゲンを持って生まれたこの僕自身も“オーロゲンを持って生まれる“ということはまさに運命によって最初から決まっていたのだ。だから、これから起こることも全て、きっと偶然なんかじゃないんだ。
「クソ!なんで俺はネインなんだ。」一日一回は耳するその言葉。聞き飽きたと言ったら、僕は冷たい人間だと思われるだろうか。僕は、オーロゲンを持って生まれたオルグ側の人間。だから正直オーロゲンを持たずして生まれたネインの気持ちなんか知りやしない。それにオルグに同情されたって、ただの煽りでしかない。だから、僕はオルグなんだとか、ネインだとかどうだっていいんだ。普通にご飯が食べられて、お風呂に入れて、寝られれば。しかしこの気持ちもきっと、僕がオーロゲンを持った側の人間、オルグだからだろう。
「リド、お前ヴァルカナの推薦もらったんだって!?」
ふと前方から僕を憧憬するよな、高揚した声色で1人の生徒が話しかけてきた。サッカー部の元キャプテンのハル。運動神経はピカイチで、全国大会出場のレギュラー選手だ。
「いいなぁ!俺なんか、オーロゲン基準値ギリギリで、戦闘防衛学部の受験資格を満たすのにだってギリギリだったのに〜!!」
「推薦っていっても、僕も試験は受けなきゃなんだ。だからまだ受かるって確定したわけじゃないし、一緒に頑張ろうよ」
サッカーで全国大会に出場するぐらいの実力があって、そのう上キャプテンもしてて皆んなから好かれているハルに羨まれることは、僕にとってすごく自己肯定感を上げてくれることだった。それでも顔に出すのは流石に僕のイメージを変えてしまうと思い、心の中でこっそり喜んでみる。
「でもリドは何の学部が第一希望なんだ?」
「一応、理学部の錬金術応用学科V型なんだ。錬金術の試験だけなら自信あるんだけど、ヴァルカナは特殊で体力試験もあるからな、、、不安だよ。」
「確かに、、リド全然運動できないしな、、、まぁ、、なんとかなるよ!!」
ハルは、少しきまづそうに励ましてくれた。僕は、オーロゲンを利用した錬金術に限って誰よりも才能があるらしい。でもその代わり運動音痴で体力もなく、体も弱い。なんとも極端な人間なんだ。だからハルみたいに運動神経がいいのはすごく羨ましいことなのだ。それもまた運命で決まったことなのだろう。僕は運命に抗いたくないんだ。物理的にも、精神的にも。だって抗うことはすごく疲れることだから。
なるようになれ。それが僕の生き方だ。
そんなことを考えていたら貴重な10分の休み時間がなくなり、四限のチャイムが学校中に鳴り響いた。
もうすぐ僕は16歳。一月末の試験を乗り越えたら新しい学生生活が始まるのだろう。
少しの不安と期待とが入り混じっている、僕の物語。これから始まる物語の一ページ目を読むために、
僕はページを開くのだ。