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夢幻の灯火  作者: 辻 信二朗
第七章 荒れ狂う幻想の大地

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第七十一話 斬首

「攻略法其之壱、雷撃は紙一重で躱せ。攻略法其之弐、角を攻撃すれば動きが鈍る……か。なるほどのう。余も昔は、こうやってエイタに狩られたわけじゃな。なんだかムカついてきたわ……」


 閃龍の雷撃はこちらの動きに合わせて繰り出してくるため、ただ動いているだけでは当てられてしまうのだ。雷撃が放たれてから回避行動をとり、攻撃の隙を見定める。そして背後に回り込み、弱点である角を攻撃することが肝要である。


 大技の前兆は欲張らず、ライハは回避に徹した。回避こそが格上との勝率を上げる方法だとエイタから教わったからだ。エイタの指示通りに動いていると、戦闘開始時に比べて閃龍の動きが鈍くなってきたことが目に見えて確認できる。


「攻略法がわかると、こうも戦闘が楽になるとはのう。闇雲に攻撃しても勝てそうにないが、エイタから教わった情報を基に戦えばなんとかなりそうじゃ」


 それでも閃龍には一撃で戦況を覆す強さがあり、一瞬たりとも油断は禁物だ。


 いらちを見せ始めた閃龍は、上空に巨大な雷撃を放った。

 特級魔術《熱界雷ねつかいらい》――雷霆は空を貫き、広範囲に及ぶ上空の雲海が帯電する。

 少しして耳をつんざく雷鳴が轟き、夥しい数の熱線と共に激甚の雷が降った。


 あまりの規模に躱せる間隙は存在しないようにみえるが、ライハは落ち着いている。閃龍の思考を読み取ったことで、この魔術は予見していたことなのだ。


「攻略法其之参、閃龍の近くに雷は落ちない……か。なるほどのう、エイタが怖くなってきたわ……。ゲーム中毒者め……」


 落雷の前にライハは閃龍との距離を詰めていた。下級魔術《紫電剣しでんけん》――ライハは小太刀を帯電させて威力を上げ、全力の一撃で閃龍を斬りつけた。


「分際を弁えよ、小童。お主とは技の年季が違うのじゃ」


 そうして遂に、ライハは閃龍の首を胴体から切り離した。ね飛ばされた閃龍の首は地表に叩きつけられ、巨大な身体ごと塵となって消え失せていく。


 すると次第に空は晴れ渡り、遠くに虹が架かるのが見えた。


「ふぅ、楽勝じゃったな……ホムラに借りを返しに行こうぞ。待っておれ……」


 勝利を喜んでいる余裕はない。仲間も同様に死線をくぐっているのだから。


 ライハはアルンの南門に向かって歩みを進めたが、足に力が入らず膝を突いてしまった。身体を見ると衣服が赤く滲み、腹からポタポタと血が垂れている。


 負った傷が思い出したように痛んでいた。ライハは喀血かっけつし、その場で力なく倒れた。起き上がろうと藻掻いたが、身体が思うように動かない。


「う、動けぬ……」

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