FILE33
「…んぅ…ん…」
「ご主人様おはようございます」
隣を見ると、ルナが居た。
「…ん、おはよう………」
俺は目をこすりながら、ルナに挨拶をし、ベットから、降りた。
「…しかし、俺はあのまま寝てたんだな」
「ええ、マッサージが終わったあとに声をかけたのですが、お眠りになっていたので、そのままにしました」
俺は、ルナにマッサージをさせた状態で寝てしまっていたらしい。
「そっか、タブン、ルナのマッサージが気持ちよすぎて眠たくなって、寝たんだと思うわ。それに、マッサージのおかげで身体の調子はかなりいいしな」
俺がそういうと、ルナは顔を綻ばせた。
「そうですか。それなら、マッサージをしたかいがあります」
≪クッ・・・ヵ、ヵワイイ・・・///≫
俺は、顔には出さないように勤めて、済ました表情を作った。
「あ、あぁ。ま、またマッサージ頼むわ」
「はい!」
ルナは笑顔で返事をした。
「それじゃぁ、飯でも食べに行くか」
「分かりました。しかし、ご主人様その前にお召し物をお着替えになった方がいいかと…それと、昨晩は入浴をされてませんので、少し体を拭くなりした方がいいかと思います」
俺はルナに言われて初めて自分の格好に気がついた。
「そっか、昨日あのまま寝たんだったな。だけど、どうしよう…制服の換えなんて持ってないしな…」
「でしたら、魔力をコントロールするための魔服を編んではどうでしょうか?」
「ん?魔服?」
俺は聞きなれない言葉に疑問を浮かべた。
「私の服のことですよ」
ルナの返答により俺の疑問は解消された。
「あ~、ソレのことか」
「ええ」
「よし、やってみたい。スマンがルナ、やり方教えてください」
俺はお願いをするからということで、ルナに向かって頭を下げつつ、お願いをした。
しかし、ルナの反応は俺が想像していたものではなかった。
「!!!! ちょ!ちょっと!待ってください!ご主人様!頭なんて下げないでください」
俺が頭を下げると、ルナは慌てる。なぜ、慌てるのか気になり訊ねる。
「ん?なんで、そんな慌てる必要がある?お願いなんだから、頭を下げるのは当たり前だろ?」
俺がそんなことを言うと、ルナは答えた。
「確かに、人間のあいだでは、誠意を込めて頭を下げることは常識ですが、使い魔とマスターの間では違うのです。使い魔がマスターに頭を下げさせたなんて、使い魔失格なんです。だから、頭をあげてください」
俺はよく分からなかったが、ルナが嫌がっているのでやめる事にした。
「分かったよ、ルナにソコまで嫌がられたらやめるしかないよ」
「ご主人様ありがとうございます」
「気にするな。で、ソレより、魔服の作り方教えてくれよ」
「分かりました」
俺はルナ指導のもとで、魔服を作っていた。
ルナいわく、魔服を作るには、頭の中で超極細の糸を想像して、それで布が出来るのを思い浮かべて、次に布が服になる想像をして終わりのようだ。
ようは、全てイメージってことらしい。
だが、イメージをしても魔力を精密にコントロールしないとできないようだ。なぜかというと、糸が魔力で出来ているからだ。魔力は圧縮すると目に見えるようになるようだ。その魔力を細く長くするためには魔力を精密にコントロールできないとできないらしい。
以上のことを踏まえて、俺は魔力をコントロールしていた。
「むぅぅぅ~……あー!ダメだ。これじゃぁ太い過ぎる」
俺が作った魔力糸は普通に細いが、ルナが見本で出してくれたものに比べると太いのだ。
ルナが出した糸は全く見えないくらいの細さなのだ。触らしてもらうとかすかに感触があって、わかるくらいの細さだった。
「いえ、ご主人様。ご主人様が作った糸も十分細いですので、十分ですので、これから布にする工程にうつ…」
ルナの言葉をさえぎるようにドアがノックされる。
「はーい!」
「ジャンヌです」
「どうぞ」
「失礼します カガリ様本日の学園はどうなさいますか?」
一瞬ジャンヌが言ったことの意味が分からなかった。
「スマン、もう一度言ってくれ」
「ですから、本日の学園はどうなさいますか?昨日のこともありますので、本日はお休みでもいい、と国王さまも仰っておりますが…それから、朝食はどういたしましょうか?」
俺はジャンヌに言われて、壁際においてある時計を見た。
時間はすでに8時半前。学園は8時40分からHRなので、あと10分ちょっとで遅刻になる。それに気がついた俺は急いで用意をする。
「ジャンヌ!朝食は今日はいい!ルナ!今すぐ俺の服作ってくれ!作ったら二人とも部屋から出て!」
俺は二人に指示を出す。
ルナはすぐに指示通りに服を完成させたので受け取った。
ルナは俺に服を渡すとすぐに部屋から出て行く。
出て行くのを確認してから大急ぎで着替え始める俺。
今まで以上に早い着替えを済ませ、ルナを部屋に呼んで空間魔法で大急ぎで学園に向かった。