FILE32
俺はいつの間にか知らない場所に居た。
その場所は、真っ白で、何も無かった。
「ここは何処だ?」
ポツリとつぶやく。
しかし、そのつぶやきに声が返ってきた。
『知りたいか?』
「えっ!?だ、だれだ!?」
俺は誰も居ないと思っていたので、声が返ってきたことに驚いていた。
『俺が誰かはお前が一番よく知っているだろ…ククク』
「どういうことだ!」
『さぁな、ソレは自分で考えるんだな』
「おい!一体どういうことなんだ!それと、とっとと姿を見せろ!」
俺はたまらず、そう叫んだ。
すると、目の前に黒い影があらわれた。
『なんだ。なにか用か』
「ここはどこだ!」
俺はすぐさま、影に向かって問いただした。
『はぁ~…まだ分からないのか…』
「どういうことだよ!」
『ここは、お前の中だ』
「中?俺の中ってなんだ」
『つまり、お前の精神の中だ』
影が言ったことに俺は驚きを隠せない。
「えっ!?精神の中?」
『そう、精神の中』
「じゃぁ、なんで俺はここに居るんだ」
『お前常にここに居る。ただ、ここで目が覚めることはほとんど無い』
「どういうことだ」
『精神の中は、全ての生き物に存在する。だが、精神の中で目覚めることはまずない。目覚めるのは、ごく一部だ。そのごく一部は精神の中に入って力、知恵などを手にいれることが出来る。ただし、力におぼれた者は精神が破壊し、ただの殺戮者となる』
「じゃぁ、俺も精神の中に入れたってことは、力とかを手に入れれるってことか?」
『まぁ、簡単に言えばそうだ』
「フム…」
俺は唸り、考えていた。
『して、お前は何をどうしたい』
考えていると、唐突に影から問いかけられてた。
「どういうことだ?俺は何をどうしたいとは?」
『言葉のとおりだ。お前はここに居る。ゆえに力が手に入る。その力をお前は何に使う』
「少し、時間をくれ」
俺は、答えが出そうに無いので、時間をもらうことにした。
『いいだろう。しかし、時間は有限だ。……そうだな、次回にお前の答えを聞くとしよう。わかったか?』
「え?…ああ」
『ここでしたいことをすればいい。だが、力を身につけるのは自分自身でだ。俺は何も口出しはしない。今回はここでの過ごし方を教えてやる』
影はそういって、話し出した。
『いいか、ここはお前の中だわかるな?』
「ああ」
『ここはお前の想像で建物が出来たり何でも出来る。ソコに人が居ると思えば、ソコに人が出てくる。また、建物があると思えば建物がある。そうだな、今お前がすごしてる世界の景色を想像してみろ』
俺は、影が言うことを疑いつつも想像してみる。
≪想像・・・学園を・・・≫
俺は学園を想像した。
『よし、目を開けてみろ』
俺は、言われた通り目を開けた。
「はっ!?」
思わず、スットンキョンな声をあげてしまった。
俺が見たものは、学園だった。
「マジかよ……」
『どうだ?驚いたか? ククク』
影は少し、笑いながら俺に言ってきた。
『どうだ これでお前の中ということはわかっただろ』
「…あぁ」
俺は頷く。
『まぁ、今はこれだけ分かっていればいいだろう』
「どういうことだ?」
『ん?ああ、気にするな』
影は話をはぐらかす。
俺はそれでも訊ねようとすると、いきなり眩暈を起こし、たって居られなくなった。
「…くっ!」
『やはりな…』
唐突に影がそんなことを言った。
「お…い、くっ…ど、どうい…うこと…だ…」
眩暈を起こし倒れたあと、徐々に頭痛を起こしていた。
『龍……お前、今、頭痛がひどいだろう…』
「あ、あ……だが、なぜだ…まる…で、ず…頭痛になることを…知っている…み、みた…い…だな…」
『はっ!知ってるに決まっているだろ、ここはお前の中!そして、俺はお前の中にいるんだからな!』
≪言われて見ればそうだ。こいつは俺の精神の中だっていうが、俺個人の精神に他人が簡単に入れるわけが無いのだから。だが、そうなるとコイツはどうやってここに入ってきたんだ…くっ!…だめだ、頭痛がどんどんひどくなっていく…≫
俺は考えようとするが、頭痛がひどくまともに考えることさえできない状態だった。
『…さて、俺はソロソロ帰るわ』
俺が頭痛で苦しんでいるのに、影はそんな発言をした。
「ま…まて!…この痛み…はどうす…れば直るん…だ!」
『しばらくガマンしていろ。そうすれば、時期に収まるし、ここから出られるさ』
影はそういうと、徐々に薄くなっていく。
『それじゃぁな!また今度会おうぜ!』
最後に、一言言って、影は完全に消えた。
≪くそっ…いつになったら、この痛みは直るんだ…!…くっ…≫
俺は心の中でぼやきならが、頭痛が治まるのを待っていた。
しばらく、頭痛に苦しんでいると、今度は睡魔が襲ってきた。
しかし、俺は、頭痛がひどいためこのまま寝てしまおうと思い、寝転び、目を閉じた。