表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

私のにしては読んで貰えてるっぽいやつ

聖女様は神の愛子です 〜聖女以外割とどうなろうと気にしない神様のいる国〜

作者: 大貞ハル
掲載日:2021/05/18

聖女ユークンダ = リュンガーはもともと子爵家の生まれで権力欲もなく慎ましい女性であった。

聖女の力に覚醒してからは、日々神への祈りを怠らず、暇を見つけては人々を癒して歩いていた。


それは病気や怪我を聖女の力で治すこともそうだが、人々と寄り添い悩みや問題を解決したりと多岐にわたっていた。


王家はそんな彼女を取り込むために王太子との婚約を結ばせたが、それが良く無かったのだろう。


「聖女さま、国王陛下が御呼びです。謁見の間までご足労願えませんでしょうか」


ユークンダの世話係をしているローゼマリー = シュトラウスが声をかけた。彼女は公爵家の令嬢で家の権力はユークンダよりも遥かに上だったが、常に一緒に動き回っているうちに1番の理解者になってくれていた。当然ではあるが彼女が自ら全てやっているわけではなく、実際には侍女頭の様な位置づけである。


「ありがとうございます。すぐに伺いますわ」


ユークンダは割とのんびりした女性で、物怖じしなかった。

むしろ、ローゼマリーの方が不安そうな顔をしていた。ユークンダと一緒にいることで度々王太子と顔を合わせるはめになり、目をつけられている気がしていたためだ。


ユークンダはローゼマリーに身嗜みのチェックをしてもらうと、一緒に神殿の自分の部屋を出た。

神殿は王城と呼ばれているエリアの中にあり、謁見の間までは少し歩く。


途中でユークンダを目にした人たちが探る様な視線をしている気がしたが、それはいつもの事だ。

どうしても、聖女が特別なものと考えたくない人たちも居るのだ。

ユークンダ的にはそう言った人たちに頑張ってもらい、もっと気軽に聖女活動がしたいとすら思っていたので気にしなかった。


謁見の間の大扉の前には警備の騎士が通路を挟む様に2列で並んでいた。


ローゼマリーは謁見の間に入れない様で、騎士の列の後ろに付いて頭を下げ見送ってくれる。

一番先頭の騎士が観音開きの大扉を開いてくれたので、そのまま中に入る。


謁見の間はちょっとしたホールだ。天井が高く、奥に広い。

突き当たりが数段高くなっていて玉座がある。

玉座の前から入り口に向かって赤い絨毯が敷いてあるので、そのまんなかを途中まで歩いていく。


部屋の左右には重鎮と思われる貴族たちが並び、壇上には宰相だけが向かって右側に立っていた。

ユークンダが控えると国王の入場が知らされた。

許可を得て頭を上げると、国王と王妃が玉座に着いていた。

王太子は居ない。


宰相が何か言おうと一歩踏み出したのを国王が手を挙げて制した。


「余が自ら話そう」


宰相が元の位置に戻るのを確認して国王が話し始めた。


「先日、王太子と宰相の息子、大神官の息子、騎士団長の息子ら、それに高位貴族数人、大神官を含む聖職者たちが死んだ」


あまりの事に息を飲むユークンダ。


「何か心当たりがあるなら申せ」


国王が発言の許可を出したのを確認してユークンダが発言する。


「何かの流行病でしょうか。言い訳の様になってしまい申し訳ないのですが、一応、王都には災を軽減する結界が張られていますが、完全な物ではありません。多少の苦難は必要という事なのでしょう。ですが、その様に大勢が急死すると言うのは…」


言い淀んでいると激昂した宰相が怒鳴り声を上げる。自分の息子も被害にあったのであれば逆恨みしても仕方がない、と思っていたが、剣を抜いて襲いかかってきたのには流石のユークンダも驚いた。

本来謁見の間に刃物を持ち込む事自体許されない。


だが、ユークンダに届く距離まで進む前に宰相は崩れ落ち死んだ。


ユークンダは驚いて駆け寄り手当てしようとしているが、手遅れであった。


「すまなかったな。其方への疑いは晴れた」

「はあ、いえ、ありがとうございます…?」


混乱しつつ頭を下げるユークンダに王宮魔道士の1人が説明した。


「ここにいらっしゃる国王陛下、神官長、そして我々魔道士は貴方が何もしていない事を確認しました。つまり、今回の事件は全て神の御心に依る物ではないかと結論づけました」


「つまり、其方に害を為そうとした人間が神罰を受けた、という事だ」




その日の謁見はそれで終わった。


ローゼマリーに相談すると、どうやらユークンダを冤罪で貶めた上でローゼマリーを王太子妃にしようという陰謀があったらしい。もしも父親であるシュトラウス公爵が協力して死んでいたらと思うと何重もの意味で恐ろしいし、同時に凄く安心した、と語った。公爵は娘を溺愛していて、以前から派閥争いなどに利用しないと公言していたのも功を奏したのだろう。


王家はユークンダを取り込む事を諦め、支援する代わりにメインの活動場所を王都周辺にするように頼むにとどまるのであった。



それからのユークンダとローゼマリーは王宮を離れ、聖女活動に精を出した。

2人とも聡明な貴族令嬢であることもあり、聖女の力だけでは太刀打ちできない様な様々な問題も解決し、王都は平和で活気あふれる都市になる。


いずれは国中を回ろうと計画する2人だった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ