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戦闘準備

俺自身のためにも成し遂げようと心に誓った。よく考えれば俺が自発的に誰かのために動こうと思ったのはこれが二度目だ。常に何かに流されながら生きてきた。あの日何かを変えようとしたように、今回も何か変わるのではないか。頭の片隅には微かな希望がよぎった。


出発は3日後、それまでにある程度の装備と経験を積んでおくように、とだけ国王から伝えられた。


どうやらここはファンタジー色が強いだけでゲーム要素はないらしい。レベル上げだとか、経験値だとかそういった面倒なものは一切ない。純粋な能力主義の世界だ。


「それにしても、人がほとんどいないこの街でどうやって装備整えろって言うんだ。兵士から奪えとでも言いたいのかあの王様は?」


この街は本当に薄汚い。大国を築き上げてもこんなにもあっけなく廃れてしまうのか。いや、それほどまでに敵の力が強大と言うことか。

この世界に来てから兵士以外の人間を見ていない。どこかへ逃げていってしまったのか。それとも…。


かつて中心街であったはずの大通りには多くの兵士たちがたむろしていた。守るべき場所を失った彼らのその目にもうすでに光は宿っていなかった。その中に、見覚えのある顔も何人かいた。確かあれは、俺を王の待つ小屋まで連こ…連れて行った奴らか。あいつらなら何か知っているかもしれない。


「おいお前ら、俺が国王から言われたこと、全部聞いてるよな。武器を揃えたいんだが、どこに行けばいいか教えてくれないか?」


すると兵士達は揃って腰を上げ、敬礼をした。

するとそのうちの一人が奥にいる兵士に声を掛けた。あいつは確か、先頭を切っていた兵士達のリーダー格だ。鎧の作りからも他の一兵卒とは違うことが伺える。まぁ、相変わらず鎧が錆びているのだけは頂けないが。


リーダー格は鮮やかな青の長髪をなびかせながらゆっくりと向かってくる。


「話は聞かせていただきました救世主様。ご紹介が遅れました。私めはオリヴィエ・イスファールと申します。王国では四大騎士団の一つ空の騎士団の団長を務めさせていただいておりました。とは言っても元、ですがね。」


「その救世主様ってやつやめないか。堅苦しいのは苦手なんだ。三坂海斗、いや、カイトでいい。」


「承知致しましたカイト様。どうぞこちらに、ご案内します。」


俺は兵士たちに連れていかれるがまま、細い路地へ向かった。

まっすぐ路地を進んでいくとそこは行き止まりだった。


「おい、どう言うことだよ、まさか俺をはめたのか?」


オリヴィエは失笑した。


「カイト様、我々がそんなことをするわけがありません。我が国を救うために一致団結しなければならないのですから。しかしですねカイト様、あまり人を信じすぎるのもよくないかと。この世界は狂っています。こんな狂った世界だからこそ、常に自分の行動は自分の意思で決めていただきたいのです。私以外の三騎士団長は仲間を信じすぎたために命を落としました。そう、あの忌々しき悪魔達によって…。」


そう言うとオリヴィエは静かに地面に剣を突き刺し、言い放った。


「偽りの門よ、我の名に従い今その真の姿を表せ。」


するととてつもない地響きと共に背後の壁がいきなり動き始め真っ二つに割れた。そして地下への階段が現れたのだ。

「い…今のは?」


「いわゆる魔法というやつです。習うより慣れましょう。さぁ、行きましょうかカイト様。ここが我々が奴らに対抗するために作り上げた施設です。」


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