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俺の幼馴染達が最強すぎて俺にはどうすることもできないのだが  作者: 嵐山 紙切
第6章 一斉攻撃

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第45話 虚偽の記述

「なぜ死なない! ステイシーの話ではあの石は不死身するためのものだと!」


「いくつか勘違いしているようだから我が説明しよう」


 ミカエルは地面におりて、エルマの元へとよった。パーティメンバーは後ずさった。


「まず、3つの石は一人の人物にスキルを与えるためにある。このユキハルという男の場合そのスキルは《万物生成》。ただしカマエルが調整をしていたようだが」


 ミカエルはカマエルを見上げた。


「次に転移者には必ず何らかのスキルが付与される。そのスキルは転移させた者、召喚した者が選ぶ権利を持つ。負のスキルを付与させた例もあるが、ユキハルが付与されたのは《不死身》だが、完全な不死身ではない」

「何! そんなバカな!」


 カマエルは叫んだ。


「お前に渡した『天使経典』には虚偽の記述がたくさんあるんだよ。我がつけた、ね。お前は初めから危険過ぎた。攻撃的なんだよ、天使のくせに」


 ミカエルはエルマの頭に手を触れた。


「ユキハルには《20年不死身》のスキルが付与されている。だから殺すことはできない。まあ、今となってはただの死なない人間になりさがっているがな」


 ミカエルは眉根を寄せた。


「これは深い迷宮だ。少し整理しよう……よし」


 ミカエルは立ち上がるとユキハルを見た。ユキハルは何度も能力を発現させようとしていたが、何も起きない。


「クソ、クソおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」

「この天秤がわかるか?」


 ミカエルは尋ねたが、ユキハルは答えない。


「魂の天秤だ。普通の人間であれば本来、生きている間、中立になっていなければならない」


 ミカエルはユキハルに近づいた。ユキハルは何度も右手を突き出したが効果がない。


「お前の魂はこうだ」


 天秤が片方にぐんと傾いた。


「お前はこの世界にいてはいけない。元の世界に戻れ」


 ユキハルの顔が絶望に染まっていく。


「嫌だ……嫌だ嫌だ!!! あんな腐った世界に戻りたくない!! 止めてくれ! カマエルなんとかしろ」

「ああ、忘れていた」


 カマエルは今にも逃げ出そうとしていたが、ミカエルが剣を投げると胸に突き刺さり、そのまま消失した。


「死んではいない。別の場所にいる。まあ苦痛の地獄だが」


 ミカエルはユキハルに向き直った。


「さて、では君を元の世界に帰そう」


 ユキハルは逃げようとしたが、体が自由に動かないようだった。地面には先程俺たちの足元にあった魔法陣が描かれている。


「やめろ……やめろ! 誰か助けてくれ! ナオミ! ナオミ!」

「うるさいやつだ。とっとと戻れ」


 ミカエルは右手の人差指でユキハルの心臓をついた。

 バシュン、と音がして、ユキハルは消えた。

 なんともあっけない最期だった。


「さて、これで我の仕事は終わった」

「待ってください」


 俺は叫んだ。


「エルマを、エルマを元に戻してはくれないのですか?」


 ミカエルは首を振った。


「それは自分で出てこなければならない呪いなんだ。さっき迷路をできるだけ整理しておいた。声をかけ続けるんだな。そうしたら戻ってくるかもしれない」


 ミカエルはそれだけ言って、消えた。

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