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俺の幼馴染達が最強すぎて俺にはどうすることもできないのだが  作者: 嵐山 紙切
第6章 一斉攻撃

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第44話 エルマ・ステイシー・ヘンリー戦

 すでにオートマタも奴隷兵士も処理されたソーリッジの石の周りにはエルマのパーティと俺、そして、魔法研究所所長のドロシーが立っている。彼女は言った。


「この石を破壊する最後の方法は、浄化です。すなわち回復スキルです。エルマ様、彼が死ぬ直前あなたのことを見たのはそういう意味だったのです。ミスリル製ですから魔法ではなく、スキルである必要があったのです」

「触れるとどうなる?」


 俺は尋ねた。


「精神を侵されます。この手の魔法だと迷宮に入り込んで二度と出てこられない場合も……」


 俺はエルマを見た。

 彼女は頷いたが、その顔は不安そうだった。


「大丈夫。必ず戻ってくるから」


 俺はエルマを抱きしめた。


「絶対だよ」


 エルマはの頬にキスをして頷いた。



 クローゼットが現れる。


「なんだ、来たのか」


 俺は尋ねたが、ユキハルはすでに満身創痍で頭を抱えながらフラフラとさまようようにしていた。


「どうしてこんなことに。クソ! カマエル! たまには助けてみろよ!」

「ああ、構わないよ」


 空に浮く魔族、カマエルがそこにはいた。


「せっかく私が何年もかけて用意してきた計画を、後も簡単に崩されてしまっては困る。だから、支柱である君を殺そうと思ってね」


 カマエルは右手を俺に向けた。真っ黒な魔法球がカマエルの目の前に現れる。


「避けて!」


 俺は転移しようとした。だが、動かない。


「地面をよく見ろ。もう誰もスキルは使えない。その円の中ではね」


 地面にはいつの間にか巨大な魔方陣が描かれていた。足が地面に張り付いたように動かない。筋肉に命令が届いていないかのように。


「お前らには死んでもらう。ユキハルという新しい魔王の礎になってもらうよ」


 その時、光が舞い降りて、カマエルの目の前に浮かんでいた魔法球が消えた。


「何!」


 やつは上空を見上げた。


「ミカエル!!!!」



 ◇



 ステイシーは大教会に来ていた。


「お待ちしておりました。ステイシー様」


 教皇は謁見の間で椅子から降りると、ステイシーに跪いた。


「教皇様が一人の娘に跪くものではありませんよ」

「しかし、私達はソーリッジが彼らの手に落ちた時、貴方様によって逃して頂いた。感謝のしようもございません」

「ではあることを教えていただきたいのですが」


 教皇は頭をあげると尋ねた。


「何でしょう」

「転移者の送還方法です。以前、あなたは私から王位を簒奪した狂王の命令によって4人の人間を異世界から転移させましたね? 元の世界への転送方法をご存知なのではありませんか?」


 教皇は目を強くつぶった。


「その節は大変申し訳ございませんでした」

「それで?」


 教皇はステイシーを見据えた。


「知っております」





 それは教会の深部に備え付けられていた一つの透明な球だった。ステイシーは教皇に向けて頷いた。彼は頷き返すと、球に触れた。

 呪文を唱える。

 球の中に霧のような白いものが浮かび、それが晴れると一人の男性の顔が浮かんだ。


「我を呼び出したのはそなたか」

「ミカエル様、緊急事態でございます」


 ミカエルと呼ばれたその男は眉根を潜めた。


「何だ」

「カマエルと呼ばれる魔族がある男を異世界から転移させ、不死身の肉体を与えました。不死身の肉体は解除できそうなのですが、元の世界に転移させる方法をお教え願いたい」


 ミカエルは顎をさすり、しばし沈黙していたが、口を開いた。


「転移方法を教えることはできない」

「なぜです!」


 教皇は叫んだ。


「まあ、待て。教えることはできないが、場所を教えて貰えれば、そこに私が顕現しよう」


 教皇は目を見張った。


 ◇


「ミカエル!!!!」


 カマエルが叫び見上げた先には右手に剣を左手に天秤を持つ天使が浮かんでいた。

 ミカエルが剣を振ると、俺達の足は地面から離れた。魔法陣が完全に消え去った。

 大天使は言った。


「女、その石を早く破壊せよ。我にはできないのでな」


 エルマを見ると、彼女は覚悟を決めたように頷き、石に触れようとした。


「さ、させるかあ!」


 ユキハルがバリスタを出現させ、矢を放ったが、その威力は以前より大幅に減衰していた。俺は足を剣に変え、その矢を叩き落とした。矢は真っ二つに折れた。


「クソ!」


 エルマが石に触れた。

 バキン。と大きな音がして、石が割れると、塵となって消えた。

 エルマが倒れる。


「エルマ!」

「エルマ様!」


 俺とジェナ達パーティはエルマに駆け寄った。彼女は目をとじて息をしていたが、その呼吸は早く、手は震えていた。


 ユキハルは咆哮した。胸をかきむしり、痛みに悶え苦しんでいるようだった。


「はあ、はあ、お前ら全員殺してやる」

「死ぬのはお前だよ」



 俺はやつの首を切り落とした。


 首が地面に落ち――


 ユキハルの手が首を掴んだ。まるで兜をかぶるように、頭を首につける。


「俺は死なないんだよ!!!」

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