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俺の幼馴染達が最強すぎて俺にはどうすることもできないのだが  作者: 嵐山 紙切
第6章 一斉攻撃

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第42話 カミラ戦

 魔族の中にも政治というものは有る。


 曰く、カマエル派かカミラ派か。魔族たちは2つに決裂した。

 しかし、カマエル派が敵対したわけではなかった。彼らは傍観者にまわった。要するに、カマエル派というより日和見あるいはカミラについていくことに価値を見いだせない者たちだ。

 殺された魔王の部下たちは皆カミラの元へついた。計30000の軍勢が今、巨大な石のある場所を見下ろしている。石の周りには数万の奴隷兵士とオートマタが配置されている。 


「オートマタは私が処理する。おまえたちは奴隷兵士をやれ! いいな!」


 カミラが叫ぶと咆哮が返ってきた。


「ハルを奴隷なんかにした罰だ。復讐してやる!!!!!!!」




 彼らは崖を駆け下りる。先陣を切るのは体の硬い種族、頭が蜂の形をした魔王の配下だった者たちだ。彼らは身体強化魔法を自身にかけると猛進、先頭の奴隷兵士たちを肉塊に変えた。

 魔法が放物線を描いて飛び、奴隷兵士たちを破壊していく。オートマタへの道が開いた。


 カミラは地面をかける。腰にぶら下がった数本のアンプルの内一つを口に含んだ。それはハルの血液。純粋な魔力の宝庫。

 天族魔法に必要なものだ。

 カミラは羽を広げ、魔法剣を出す。羽までも魔法剣と化し、的確にオートマタの関節を捕らえていく。


「続け!!!!」


 カミラの配下たちが叫び、オートマタとの先頭が始まる。

 オートマタは、強い。エルマやカミラの実力が凄まじいばかりに霞んでいたが、Aランク冒険者を量産しているようなものだ。徐々に魔族たちは切り裂かれていく。


「一体に付き5人以上で対応しろ!」


 カミラは叫ぶと、石の元にたどり着いた。

 アンプルをもう一つ飲み込む。


「手を貸して、ハル」


 天族魔法。

 それは天使にのみ赦された魔法にして、魔族を壊滅させる禁断の魔法。元は堕天使を殺すために編み出された魔法だ。カミラは禁書を読み、その魔法を体得した。

 カミラは知っていたのだ、自身がカマエルという堕天使の娘だということに。


「この戦いが終わったら、私も魔王を退かないとね」


 天族魔法によって、巨大な紫色の石、ミスリルは徐々にその色を白く変えていく。


「なにしやがる! クソ、カマエルの野郎、嘘をついたな!」



 やつが現れた。ユキハルだ。

 クローゼットを開け放つと、右手をあげる。バリスタだ。

 まずい、いまは天族魔法に集中しないと。

 バリスタが弦を引く、矢がつがえられる。

 発射される。

 ここまでか。


「お姉ちゃん!」


 真っ黒な翼が目の前を覆う。

 彼女は防御魔法を何重にも重ね、バリスタの矢を、防いだ。

 竜族の秘宝が防げなかった矢を防いだのだ。


「リリス! 来ちゃだめだって言ったでしょ」

「絶対ピンチになるってわかってた。お姉ちゃんが何をしようとしてるか私馬鹿だからわかんないけどでもピンチになるってわかってたから」


 カミラは一瞬魔法をと切らせ、リリスにアンプルを一つ投げた。


「ハルの血。飲んで!」

「ありがとう」


 バリスタの矢は絶え間なく飛んでくる。リリスは防御魔法を続ける。額から脂汗が浮く。顔は更に白くなり、目は充血している。それはカミラも一緒だ。


「畜生、テメーらふざけやがって!!!」


 ひゅっと息を吸って、ユキハルは胸を抑えた。


「だめだ、やめろ!」


 そう言い残して、彼はクローゼットの中に入っていった。

 オートマタたちは叫び声もあげない。ただ淡々と魔族たちを殺し、魔族たちに殺されていく。

 天族魔法によって徐々に白くなっていった石はついに完全に真っ白になった。

 ひびが入る。

 パキン。

 音がなって、石は塵となった。

 瞬間、オートマタたちは動きを止めて、次々と倒れ込んでいった。

 カミラは息も絶え絶えで、すぐに倒れ込みそうだったが、腕を掲げて言った。


「勝鬨を上げろ!!!」


 カミラの部下たちは鬨の声をあげ、地面が震えた。


「お姉ちゃん!」


 へたり込むカミラにリリスは駆け寄った。


「お姉ちゃんお姉ちゃん」


 リリスはカミラに抱きついた。


「ごめんね、リリス。私はリリスの本当のお姉ちゃんじゃないんだ。父上は私の父上じゃなかったんだ」

「そんなの関係ない! お姉ちゃんはお姉ちゃんだもん!」

「リリス……」


 カミラはリリスを抱きしめた。

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