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俺の幼馴染達が最強すぎて俺にはどうすることもできないのだが  作者: 嵐山 紙切
第5章 ソーリッジ王国

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第40話 巨大な石2

 巨大な石は確かに存在した。紫色のアメジストのような見た目。巨大な結晶というよりは大きないくつかの結晶が固まってできたものといったほうがいい。もし魔物の魔石だとしたら星を一つ飲み込める大きさだろう。魔石かどうかはわからない。ただおぞましい魔力が出ているのが、今の俺にはわかる。


「これは、カマエルの魔力。吐き気がする」


 カミラは口を押さえて石を見上げた。

 石には鎖が巻き付いていて、何枚もの紙が貼り付けてある。紙には魔法陣のようなものが描かれていて、その部分だけがかろうじて魔力を抑えているような状況。


「なんとなく剥がしちゃいけない気がするな、あの紙」

「私もそう思う」


 カミラは肯いてそういうと、石に触れようとした。


「危ない!」


 分厚い眼鏡をかけた青年が叫んだ。彼はずっと地面に置いた大きな木の板の上で計算式を書き連ねていた男で、伝令係によると魔法検査官であるとこのとのことだった。


「触れてはいけません。これはミスリルにオートマタを作る時に使われたと思われる『賢者の水』を浸したものだと思われます」

「『賢者の水』ってなんだ。有名なのか?」


 俺がこっそりカミラに尋ねると、彼女は肯いた。


「あなたも飲んだでしょ」

「あの虫が浮いてたやつか」

「ちょっと!!! ハルになんてもの飲ませたの!」


 エルマは叫んで俺を抱き、腹を擦った。


「ミスリルは魔法耐性が最強だと言われていますが、それは攻撃魔法に対する防御という意味で、実はエンチャントが可能なのです。希少物質なのであまり知られていませんが。攻撃魔法のエンチャントは弾かれますが、回復や防御、使用者を呪うエンチャントなどは可能です」

「そうなのか。知らなかった」


 カミラは感心したように何度も頷いていた。


「それで、このミスリルには何がかけられている」

「ちょっとまってくださいね。今それを計算してます、あれがこうなって、うーん。どうも何か概念的なものをこの世界に引き止めるものの一つのようなのですが、何に使われているかはとんと検討が……」

「概念?」


 エルマは石を見上げた。カミラはぶつぶつとつぶやいてから言った。


「あの男じゃない? 転移者ユキハル。何度殺しても死ななかったでしょ」

「この石が有る限り倒せない、逆に言えば」

「壊せば倒せる」


 カミラは言ったが、その後すぐに思案顔をしてしまった。


「でもどうやって?」


 青年は眼鏡をくいっとあげると言った。


「一つは物理的に破壊する方法です。まあこれは置いておきましょう。

 一つはエンチャントされている魔法の反対魔法をぶつける方法です。エンチャントされると一部の耐魔法効果が失われるので。これは魔族魔法がかけられているので逆の魔法を使えばいいでしょう」


 彼はカミラを見ていうと、エルマに視線を移して、


「そして最後の一つは、――」


 バツンとひどい音がして、その声は途絶えた。いやそれだけではない、彼の頭は体から引きちぎられて近くの木に突き刺さった、バリスタの矢とともに。



 クローゼットが現れる。



「やあ、全くやってくれるよホント」


 ユキハルが頭をかきながら現れた。


「神出鬼没だなお前」

「お前に言われたくないよヘンリーくん」


 やつは石を見上げた。


「まさかこんなものを隠していたとはな、カマエルの野郎」

「知らなかったのか」

「ああ、全く」


 エルマたちが身構えたが、ユキハルは両手を振った。


「ここには戦いに来たんじゃない。ただ確認しに来ただけだ。お前らもとっとと帰れ、あ、このセリフ前も言ったな」


 ははは、とやつは笑うが目は焦点が合っていない。エルマは剣を握り締めて叫んだ。


「殺してやる」

「だから言ってるだろ、殺せないって。それに君、疲れてるの丸見えなんだけど。その状態で戦えると思ってるの? そっちの君も、さっき僕との戦いから逃げたばかりじゃないか。切り札だったんだろ、あれ。だからさ一時休戦ってことで。俺も忙しいんでね。もし戦いたいって言うなら」


 やつの目の焦点が合う。真っ黒な瞳が俺たちを捉える。


「全力でかかってこいよ」


 あはは、じゃあね。そう言ってユキハルはクローゼットの中に入っていった。バリスタは俺達の方を向いていて、今にも発射されそうだった。


「戻ろう。騎士たちも疲弊してる」


 悔しげな表情をした二人は肯いた。

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