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俺の幼馴染達が最強すぎて俺にはどうすることもできないのだが  作者: 嵐山 紙切
第5章 ソーリッジ王国

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第34話 オートマタ

 元国王の証言により、教会の位置と数が判明した。全部で13あった。一つずつ潰していくしか無いので、Sランク冒険者であるエルマ達パーティ、もしくはカミラが必ず戦闘に参加することを条件とした。

 一度目の戦闘はエルマのパーティがついていった。

 二度目の戦闘時、初めてカミラが姿を表した。


「やあ、人間諸君。魔王だ」

「ビビらせるの止めなよ」


 カミラはくすりと笑うとあれが教会か、とつぶやいてすぐに魔法を発動、教会の上部に球体が現れ、触れた部分が一瞬で灰になった。


「ほら、かかれ」

 カミラは騎士団長を差し押さえて騎士たちにまで命令した。


 おそらく消失した部分が指揮系統の中心だったのだろう、烏合の衆と化した奴隷兵士たちを一掃するのに時間はかからなかった。

 そんなふうにして、国内の教会は一層され、舞台はソーリッジに移った。


 ◇


「全部消えたな」


 男は王の椅子に座りそういった。ソーリッジ王国の城、教会の中心にある会議室。


 テーブルについているのはほとんどが獣人だがそこには何人かの人間もいる。ヘンリーが奴隷兵士になる前、ソーリッジがまだ教会になる前に王の側近だった者たちだ。

 王の椅子に座った男は魔族でも、竜族でも、ましてや獣人でもない、人間。


 それも日本人である。


 彼の膝には顔に痣のある女性が座り、男の首に腕を回している。


「質問です。このあとどうしますか。奴隷兵士を増やす、オートマタを起動させる。どっちがいい。選択しろ」

 男はある人物を見据えた。





「ステイシー」





 ステイシーはうつむいていたが、名前を呼ばれるとはっと顔を上げた。


「……オートマタを起動します」

「さすが天才ステイシー回答が早いね。みんなこうだと助かるんだけど」


 機械音が鳴る。着信音だ。男はスマートフォンを取り出して耳に当てる。


「あ? 早くねえよ。ステイシーが選択したんだ。オートマタは使う。切るぞカマエル」


 男はスマホをポケットに入れると、会議室内を見渡した。


「じゃあ、あの残虐装置オートマタを起動しよう」


 男は上を向いて、なにか考えている様子だったが、すぐに視線を戻した。


「これでいい。各教会にオートマタが配置された」


 膝の上に乗る女の頭を撫でると、男はいった。


「あのトカゲ魔族に感謝しないとな、あんなものをくれてさ」


 ◇


 奴隷兵士はソーリッジ中心に近づくに連れ力を増していった。教会は本当にソーリッジという国を奴隷にしたようだ。おそらく元冒険者だろう、魔法を使うものも現れた。


 カミラとエルマ達パーティは共闘して教会を潰すようになっていった。すでにどちらか片方だけでの戦闘では兵が疲弊するようになっていた。


 息が漏れる。


 すべての奴隷兵士を倒したあと、俺達は地面にへたり込んだ。

 疲労はピークに達していた。連日の戦闘は過酷を極めた。

 予想していたよりも数が多い。そして、強い。

 ただの奴隷兵士ではない、元騎士、元A級冒険者と思われる奴隷兵士が混ざってきていた。


 息を切らして顔を上げると、空間が歪んでいるように見えた。

 疲れから来ているのだと最初は思った。


「何だあれは……」


 カミラがつぶやいた。

 皆が見えているのか?


 空間の歪みが大きくなると、そこに扉が現れた。いや、扉というかあれはクローゼットだ。

 クローゼットが開く。


「なに!」


 カミラは立ち上がると、魔法攻撃を始めた。しかし魔法を当てようともびくともせず前進してくる。

 数体の奴隷兵士。いや違う。あの腕や足には見覚えがある。カミラが魔法商品店で俺を驚かせた物体。


「オートマタ?」

「そんなものありえない!」


 カミラは叫び、魔法を当て続けたが、オートマタは前進を続ける。彼らの体はミスリルで作られているようだ。俺が討伐を夢想したミスリルゴーレムのように、魔法は通じない。


 オートマタは全部で10体現れ、横一列に並んだ。


「諸君、討伐ご苦労だった」


 オートマタの一人が男の声で話し始めた。

 若く、底の方に黒い粘着質な気味悪さのある声だった。

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