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俺の幼馴染達が最強すぎて俺にはどうすることもできないのだが  作者: 嵐山 紙切
第4章 一国の姫

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第33話 戦の前

 それからの動きは凄まじかった。国王は褒賞授与の席に戻ると、そのまま騎士団長に命令を出した。「教会」と呼ばれる集団が国を脅かしている。一掃せよ、と。

 褒賞授与式は中止となり、即刻国王は宰相たちを集め、会議を始めた。

 王はすべてを告白し、その地位を息子に譲った。


 ギルドに戻るとエルマはクエスト受付にいくなりなぐり書きでクエストを受注し、ハンコを急かした。ギルド長が出てきてそれを見ると首を振った。


「王からの命令は出された。騎士たちが動く。以前の戦闘で奴隷兵士に苦労した騎士たちもいる。真っ向勝負で叶うかどうかはわからない。勝てなければこの国が滅ぶぞ。それにこれは私からのクエストだ。賞金は払う」


 ギルド長は言葉をつまらせたが、最終的にはハンコを押した。


「冒険者諸君! 聞いてほしい。私からクエストを発注する。一人金貨5枚出そう。活躍したものにはもっと出してやってもいい。この国は教会によって侵略されている。教会の中心はソーリッジ王国だ」


 ギルド内がざわつく。

 エルマはすべての事情を明らかにした。


「冒険者諸君。君たちの生まれた村、過ごした街、大切な人が待っている場所がいつ奴隷兵士に襲われるかわからない! いつ奴隷に落とされるかわからない! 現に私は大切な人を奪われた。彼は運良く帰ってこれた」


 エルマは俺を見た。


「クエストを受けるのは自由だ。騎士も苦労する相手だ。Cランク以上のクエストだと思ってほしい。ただ、どうか頼む。私のためではない。彼のためでもない。国のために戦ってほしい。君たちにクエストを与えてくれる国民のために」


 冒険者たちは腕を突き上げ、咆哮した。


 ◇


 俺はカミラのもとに飛んだ。眷属になったためかすんなりそばに転移することができた。カミラは魔王四人の会合の席にいた。他の魔王が俺をじっと見ている。


「カミラお願いがある」

「わかっている。今その話をしていたところだ」

「私用で軍を動かすんじゃない。わかっているだろうカミラ」


 魔王の一人が言った。ゴーレムのように体が岩でできた魔族で、以上に低いしかしよく通る声だった。


「それもわかっている」


 カミラは目頭を抑える。


「すまない、ハル。私達は教会を討つために軍を出すことはできない」

「そうか」

「ただし、私はハルを助ける。私だけがついていこう」


 カミラは立ち上がり、俺のそばまでやってきた。


「それは規約違反だ! 魔王の地位を剥奪するぞ、カミラ!」


 蜂のような口をした六本足の魔王がそういう。


「構わない。そもそも私がこの地位についたのはハルを待つためだ。ハルを守るためだ」


 そう言うと、カミラは胸に手を当てた、淡く光、中から正四面体の石が出てくる。


「魔王の証を返そう。これで満足だろ」


 カミラはそれを投げる。石は地面に当たり金属音があたりに響く。


「行こうハル」

「いいのか」

「いいんだよ。ハルを守るためならなんだってしよう。もう失いたくないんだ」


 カミラが俺の腕を抱いた。


「後で迎えに来る」

 カミラの部屋に戻ると俺はそういった。

「わかった。待っている」


 俺は竜族の下へ転移した。

 しかし彼らは首を横に振った。


「ごめんね。ハル。私達は……」

「わかってる。だめなのはわかってたから」


 サヨの部屋で、彼女はそう言って俺に抱きついた。


「ごめん……ごめんね……」


 彼女は俺の服を涙で濡らした。

 俺はサヨの頭をなでた。

 サヨは俺の右手を取った。


「この指輪は絶対つけててね」

「とれないよ」

「わかってる。でも絶対外さないでね」


 俺は肯いた。

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