第31話 エルマのパーティ
エルマはパーティをギルドに集めた。
魔術師のジェナが口を開く
「いきなり何事ー。てかなんでこの人いるのー」
「教会のことで話があるから」
「この前潰したじゃん」
「問題が起きたの。これから国王に会いに行く」
アゼルが眉間にシワを寄せて俺を睨んだ。
「そいつの問題でしょう。どうして王が出てくるんですか?」
「ソーリッジ王国が教会に支配されているからです」
俺が言うとアゼルは更に眉間にシワを寄せ、首を大きくふった。
「ありえない! 現に今日国王同士が親睦の宣言をしていたじゃないですか」
「国王の家系が完全に変わっていておかしいと思って、ソーリッジ王国の城まで転移してきたんです。そしたら、昔と完全に変わっていて」
「それは昔転移してみたことがあるということか?」
「ええ」
アゼルは思案顔をする。
「しかし、それでもわからない。なぜお前は国王の家系を知っている?」
「あの、俺昔の姫と、ステイシーと幼馴染なんです」
「ステイシー? ……どこかで聞いたことがある。天才姫ステイシー。ヘンリー王の生まれ変わりとまで言われたあのステイシー姫?」
「ええ。城の中に転移してこっそりあっていたんです」
アゼルが鼻で笑う。
「ふん。嘘を付くな。田舎の13に満たなかったお前が転移できたとして姫と交流があったと?」
俺はエルマを見た。エルマは俺をみて、アゼルをみて、肯いた。
「ほんとうに……ですか?」
「ちなみにハル、魔王と竜族女王とも交流がある。この指輪見てよ、竜族につけられたんだって、腹立たしい。足は魔王につけられたって言うし。それに魔族に魔術を竜族に剣術を教わってきたの。もしかしたら、いま、私達の中で一番強いかもよ」
「それはない」
俺はエルマに言ったが彼女は真剣な顔をしている。
「え? ほんとに?」
ジェナが俺の足を触った。エルマが驚く。
「あ、こら!」
「どおりで魔力が前と変わっていたはずだー。へーこれが魔族の技術。すごーい。ねえ今度裸になって全部見せてよ」
「だめ!!!!」
エルマは叫んだ。
「でもーすんごくきれいな魔力だよー。きになるー」
「あーそれは生来のものらしくてですね。足のせいじゃないんですよ」
「へー。ますますきになるなー」
ジェナはそう言ってすり寄ってきた。
エルマが俺の腕を引いて引き剥がす。
「剣術を竜族から教わってきたというのは本当か?」
巨体のタンクの男が初めて口を開いた。
「えー、アーノルドが自分から話すの初めて聞いたかもー」
ジェナはそう言って目を見開いている。
彼女だけではない。パーティメンバー全員が驚いた顔をしている。
「あ、げふん、ん、気になってな」
アーノルドは咳き込んでそういった。
「本当ですよ。死ぬかと思いました」
「ぜひ今度お手合わせ願いたい!」
アーノルドがほとんど顔がつくんじゃないかってほど近づいてきた
「……え、ええ。いいですよ」
「……俺も頼む」
アゼルが腕組みをして目をそらしながら言った。
「へー。アゼルがねー。へー」
「うるさい! ジェナ!」
「あはは」
「とにかく!」
エルマはテーブルを叩いた。
「王に無理矢理にでもあって話を聞く! いい? もし、あのソーリッジの新しい王族が教会の人間たちだったら」
エルマは目を剣呑なものに変えた。
「ソーリッジ王国をまるごと叩き潰す」




