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俺の幼馴染達が最強すぎて俺にはどうすることもできないのだが  作者: 嵐山 紙切
第4章 一国の姫

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第27話 建国記念の祭 2

 カミラは魔術用品店に居た。


 彼女の角は魔術か何かで隠し消えていた。翼も隠れていたがリリスと同じく白髪はそのままで、ローブをかぶっていた。


 店主は初老の小太りのおじさんで、鼻の下のひげは白髪がまじり始めていた。

 彼はカミラの魔力量に気づいているのだろう。しきりに魔力計のようなものを見ている。


 それは俺がカミラのところで使った金属製ではなく、水晶のような玉だった。玉は薄暗い店内を照らす光になっている。

 触れてもいないのに。

 どす黒い色の光だ。


 そのせいで、店主はビクビクしながら対応している。


 俺が店に入ると更にビクついた。多分リリスのせいだと思う。水晶は更に輝いて、一瞬黒さがなくなりきれいな光になったあと、割れた。


 ぎゃ、と店主は言って後ずさった。


 怪物が二人きた。

 そう思っているに違いない。


「ああ、すまない。つれが来てしまったようだ。魔力計が割れてしまったな。弁償しよう」

「は……はい。これはその申し訳ありません。感謝します」


 ヘコヘコと頭を下げながら店主は言う。


「なにしにきたんだ?」

「買い物だよ買い物。年に一度のお祭だよ。商人がたくさん来ていろんな品がでまわるからね。これなんかほら、オートマタの部品」


 カミラは金属の腕のようなものを俺に見せた。彼女が魔力を流すと腕は力こぶを作り、俺に襲いかかる!

 すんでのところで止まったが。


「ふふふ。その反応好きだよ」


 カミラはそう言って商品を店主のところに持っていき「これもだ」と伝えた。

 相当量の商品を買ったらしい。カミラは金貨をジャラジャラと異空間から取り出して店台の上においた。


「これで足りるかな」

「は、はい、今数えますので少々お待ちを」


 待っている間、カミラは俺をじっと見た。


「なに?」

「なんでここにいるの?」

「リリーを連れてきたから」

「そうじゃなくて」

「……エルマについてきたんだよ」

「ふうん」


 カミラはニヤリと笑うと、店主のところに戻った。



 嫌な予感がした。





 案の定だ。


 カミラはフードを脱いで、その美貌を周囲にさらけ出した。服も真っ黒ないつも着ている細身のもの。体の線が浮き出そうだ。服のせいで強調された胸とくびれた腰に祭りに来ていた男たちの視線が集中する。


 そしてその視線は俺に向く。嫉妬の視線として。


 カミラもリリスも俺の腕を抱いて歩く。右手にはカミラ、左手にはリリスだ。どちらも峰麗しい女性で、どうしてこんな男がと思っているのだろう。俺だってそう思う。


「ミラ、リリー、歩き辛い」

「いいじゃない。たまにはこういうのも。見せつけてやりたいのよ」


 あの女に、そう続けるような言い方だった。

 多くの人が道を開け、頬を染め、俺たちを見ている。


「ねえ、お兄ちゃんあれ食べたい」

「さっきまで散々食べてたんだろ」


 カミラが眉間にシワを寄せた。


「リリスお金なんて持ってないじゃない」

「ちょっとおじさんたちからもらって」


 リリスはきまりが悪そうに言う。


「魅了魔法を使ってたんだよ」


 俺がはっきり言ってやると、カミラがリリスを睨んだ。


「そういう使い方はやめなさいってあれほど言ったでしょ」

「だって、……食べたかったんだもん、お菓子」

「はあ」とため息をつくカミラ。

「まあ、いいわ。いい店を知っているからそこで昼食でも食べましょう」


 カミラが連れてきたのはいかにも高級店というところ。格式張った店員が扉を開け、席へと案内し、椅子を引く。カミラは適当に何かを注文していた、俺達の分も。


「リリー、あなたは落ち着きを持ちなさい、こういうところでは特にね」


 わざわざ愛称で呼んでまるで母親のようだった。

 リリスは場の緊張感からか背筋をピンと伸ばして落ち着いていた、


 料理が来るまでは。


「すっごーーーーーーーい」


 出てきたのは肉汁あふれるステーキ、薬草の香りが上品なスープ。リリスの前にはパフェとケーキが出された。


「ねえ、食べていいの? 食べていいの?」


 リリスが今にも椅子から立ち上がりそうなので、カミラは肯いた。

 俺もステーキを切り分ける。

 確かにうまい。

 エルマの家で食べるものより柔らかく、じゅわっと広がる肉汁は熟成されたスープのようだった。ソースもそれを引き立てている。


「美味しいでしょ。私好きなのよこれ」


 そんなことを言って会食を楽しめたのは一時だけ。



 俺たちは注目を集めすぎた。






 王からの表彰が終わったのだろう。

 エルマが店に乗り込んできた。

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