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俺の幼馴染達が最強すぎて俺にはどうすることもできないのだが  作者: 嵐山 紙切
第3章 ドラゴン族女王

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第21話 修行

 俺が道場で修業をしたのは一度きりだ。

 すぐに逃げ出した。


 俺と違いサヨは逃げ出さなかった。


 当時、彼女は次期女王としての使命感と、生来の才能でメキメキと頭角を現し、年上だろうが男だろうが勝ってしまうくらいに成長していた。



 で、修行の話なんだが、俺は人間のくせにキヨミのせいで竜族たちと同じ修行をかせられていた。

 やれ滝を登れだ、100メートルを3秒で走れだ、挙句の果てに飛べとまで言いやがった。なので、俺にとってこの道場はトラウマでしかない。


 道場と言ってもその修業内容から屋外であり、実際に剣技を学ぶのは崖の上だったりする。


「さっきの話からすると基礎体力は申し分なさそうだな」


 キヨミはそう言うと俺に剣を突き出した。

 俺が今まで使ってきた剣ではない、刀だ。木刀ではあるが。

 叩き潰すことを目的とするのではない、今までと戦い方も違ってくる。


「じゃあ始めるか」


 そう言うと、彼女は地面を蹴った。

 いや、俺はそれを意識できていない。

 気がつけば俺の体は後方に吹っ飛び、崖のギリギリでようやく止まった。胸部に異常な痛み。


「なんだ、受けないとだめだろ」

「む、無理です。速すぎます」

「お前には《空間転移》があるんだからなんとかなるだろ」


 スキルを抑え込まれていた奴隷時代とは戦法も変わってくるか。

 俺は集中する。


「行くぞ!」


 キヨミが目の前に漸近する。

 転移……クソ、かすった。

 そう考える暇もない。

 キヨミは俺を即座に補足して剣を振り上げた。

 顎にヒットする。

 俺は意識を失った。





 すぐに意識を取り戻す。体中水浸しだ。多分キヨミが俺に水をかけたのだろう。


「起きろ。まだ始まって半刻も経っていないぞ」


『ちょっと、随分いじめられてるみたいじゃない? その女殺してあげようか?』


 声が聞こえる。

 カミラだ。


『言ってなかったけどね、私はハルを眷属にしたの。この前血を吸った時にさ。眷属にする能力は15歳のときに発現したんだ。ハルの言葉が遠くでも聞こえるんだよ。全部聞いてたんだ。で、死にそうだったりすると反応があってね、今気づいたってわけ。あ、これ念話だから考えるだけで話できるよ』

『キヨミは殺すなよ』

『あれは冗談。ねえハルの足だけどさ、それ特別仕様なんだよ。ハルの魔力を増幅してくれる。形も変わるのは知ってるよね。そこら辺を駆使したら対等に戦えるんじゃないかな』



「おい、大丈夫か?」キヨミの声が聞こえると、カミラの念話はブツリと切れた。

「大丈夫です。続きお願いします」


 俺は立ち上がると右足に意識を集中した。魔力の増幅。

 俺の魔力がどのくらいなのかははっきり言ってわからない。測定できる機会を完全に奪われたから。それでもなんとなく右足から体全体に流れを感じる。


「波動に乱れがあるぞ。それで戦えるのか?」

「わかりません。でもやってみます」


 俺は木刀を構えた。


「男だねぇ」


 キヨミが消えた。

 体にまとった魔力が反応する。

 俺の右足が力強く地面を蹴る。

 浮く、前方に宙返りする。

 木刀が俺の体の下を通り抜ける。

 鼻先がかする。


「おお! よく避けたな」


 言いながらも追撃が来る。

 集中。

 攻撃などできやしない。

 防御に集中。

 宙返りの着地、後、目の前に切っ先が現れる。

 木刀を振って凌ぐ。

 力が強い、

 凌ぎきれない、

 右足に頼るしかない。

 右肘を膝で蹴り上げる。

 切っ先が頬をかすめる。


 皮膚が裂ける。血が飛び散る。

 これが真剣だったらと思うとゾッとする。


「止め!!」


 声が聞こえた。


 集中が途切れた。俺の目の前でキヨミが膝をついて頭を垂れている。俺にじゃない。誰に?

 俺は彼女の敬意が向いている方向をみる。


「サヨ」

「久しぶり、ハル」


 多くの従者を引き連れてサヨが立っていた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 気長に待ってます
[一言] 完結もせず中途半端な物語よな
2020/01/20 20:27 退会済み
管理
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