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俺の幼馴染達が最強すぎて俺にはどうすることもできないのだが  作者: 嵐山 紙切
第3章 ドラゴン族女王

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第20話 ドラゴンの国

 ドラゴンの国は極東に位置する島国である。

 大陸的には俺達の住んでいる場所から遠く離れた場所にあり、結界を張り外界との交流を拒んでいる、というより拒まざるを得ない。


 彼らは力が強すぎる。


 かつて彼ら彼女らが俺たちの大陸を飛び回っていた時代、戦争は今より激しく文明がいくつも消えてしまった。彼らはそれを問題視し、島国へと引きこもったのだ。

 



 俺が転移したのは海の見える高台にある巨大な城、の正門である。

 中に転移してもいいのだが、彼らの動きは恐ろしく速く、廊下を歩いていたらいつの間にか死んでいたなんてことになりかねない。実際、昔一度腕を切り落とされかけた。大事には至らなかったが。



 門の前には二人の門番が立っている。

 彼らの鎧は特殊な形と色をしている。甲冑というらしい。


 魔族の国の馬鹿な門番ではなく、この国の門番話の通じる竜族だった。というか昔と変わっていなかった。


「これはこれはお久しぶりです。お元気でしたか?」

「元気ではなかったですが、この通り生きています」

「女王陛下も寂しがって折られますよ」

「女王陛下? どうしてまたそんな高貴なお方が」


 門番たちは、はっと気づいたような顔をした。


「これは失礼を。サヨ様は女王になられたのです」

「は? では前の女王は?」

「退位されました。お歳でしたので。御存知の通りサヨ様にはお母様もお父様もおりませんでしたので、継承順位的にサヨ様が女王になられたのです」

「はー、そうでしたか」


 俺は感心の声を出した。まさかサヨが女王になるなんて。


「では謁見するには時間がかかりそうですね。剣術指南をしてほしかったのですけど」

「それなら将軍が喜んで指南してくれるでしょう」


 俺は顔をしかめた。それをみて門番たちはニヤニヤと笑っている。


「いや、将軍は……」

「呼んだか」


 俺は振り返った。くそ、この門番たち俺の後ろから将軍が来ているのを知っていたな。


 将軍は騎乗のまま兜を脱いで俺を見下ろした。武士にしては珍しく女性で真っ赤な髪が特徴的だ。耳は尖り、目はつり上がっている。人間で言う白目の部分が緑色なのは竜属特有だ。


 彼女は馬から降りると思い切り俺の背中を叩いた。俺は前向きに倒れた。


「久しぶりだなヘンリー。男前になったな」

「お久しぶりです、キヨミ将軍」


 俺は倒れたまま言った。キヨミは俺の左腕を掴むと片手で引き上げ立たせた。


「今まで何をしていた? 女王陛下も寂しがっておられるぞ」

「いや、まあ、いろいろありまして」

「立ち話も何だ、中で聞こう」


 彼女は俺の左腕を掴んだまま門の向こうへと引きずっていく。


「いや、いいです! 今度にします! サヨにも会えないし」

「何、いいじゃないか」


 ははは、と笑って、キヨミは俺を連行した。





 畳の部屋に通されて玉露と和菓子を出され、座布団に正座をさせられ、キヨミが着替えてくるのを待機する俺。和服を着た使用人はふすまを少しだけ開け正座をしたまま礼をしたあと、ふすまを完全に開け、キヨミを通した。


 彼女は男物のような真っ黒の着物を来ていたが着こなしは女性的。足を大きく開いて歩き、そのたびに、脛まで足が見える。


 その歩き方に反して彼女はしずしずと正座をして、茶碗を持ちほとんど音も立てずに玉露を、飲み干した。やっぱりそのままであった。


「それで何があったって?」




 俺は彼女にことの成り行きを説明した。彼女は俺の足を見て「そうか」と肯いていた。


「なんとなく気にはなっていたんだ。おかしな波動が感じられたからな。やはり魔族の技術か、恐ろしい」


 彼女は魔族と戦争をしていた世代ではないは彼女の親の代が戦争世代でありその頃の話をよく聞いていたらしい。


 最後に彼女はわかった、女王陛下にもお伝えしておくとだけ言うと、また俺を引きずって連行した。




 地獄の道場へ。

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