第19話 支援
今回は短いです。
エルマの金銭感覚がおかしいことはなんとなくわかっていたので、俺はまず村人に何がほしいか聞くことにした。それをまとめて大体の値段を算出してもらい(俺はろくに計算ができないのでメイドにやってもらった)エルマに金額を請求。
「足りなくなったら言ってね」
「わかった」
俺はそれがどれくらいの金額なのか全くわかっていなかった。
村の信頼できる人間であるダラに金貨の大量に入った袋を渡した。
「これで村の復興をしてください。冬も越せるといいのですが……」
ダラは顔を真っ青にした。
「あ……あの……あの……」
腕がガクガク震え、袋を落としてしまった。俺はすかさず受け止めて、
「足りませんでしたか?」
と尋ねた。
「多すぎます!!!!」
彼女は叫んだ。
作業をしていた村人たちがこちらを振り返った。
「え……え……どこからこれを持ってきたんですか……」
「ああ、知り合いにSランク冒険者がいてそれで」
「その方は……なんというか、こんな金額をぽんとだすなんて……どういう生活を送って……」
俺はぽかんとして彼女を眺めていた。これはそんな金額なのか。やはり俺は常識というものを知ったほうがいいな。
「とにかくこれで再建を。それと、今回のような襲撃で逃げてきた人たちも救ってあげてください」
それを聞くと、ダラは何かを決心したようにふっと息をはいて。
「わかりました」
そう言った。
◇
俺は金を稼がなければならない。そのためならミスリルゴーレムだろうがなんだろうが倒さなければならないだろう。
俺は弱い。
それはエリオットたちが殲滅されたあの日証明されている。
奴隷兵士の中で俺は最弱だったのだから。
強くならなければならない。
強く。
ミスリルゴーレムを倒すには魔法と剣術が必要だ。
魔法は今や魔王となったカミラに教授願うこととしよう。
剣術に心当たりはある。
俺は転移した。
ドラゴンの国へ。




