1話 運命
初投稿で誤字脱字があるかも知れません……よかったら教えて頂けたら幸いです。
「あれ? もしかして若葉!? なんでお前がこんな訳のわからない学校にいるんだよ。も、もしかして俺入学初日から登校する学校間違えたのか!? ああなんてどうしようもないバカなんだ」
朝っぱらから若葉の隣の席で騒いでいる彼、名前は堀川純と言う。若葉とは小学校からの幼馴染だ。
「うるさいわね……流石にバカのあなたでも登校する学校間違えるはずないでしょ。第一ここは離島で他の学校なんかないんだから」
今喋ったのが小林若葉今とてつもなく暇を持て余している。
何故かと言うと寮で一緒の子がうるさくて眠れなく早く学校に登校してきたからだ。
「そう言えばここ人工島だから他の学校ないんだよな、島だってことも忘れてたぜ。て、若葉なんでこんなところにいるんだ?」
「暇だから教えてあげるわ、その代わりあなたも教えなさいよ。何故ここの学校にいるかね」
何故、純が驚き若葉がやな顔をしてるか説明するとそれは先月に遡る。
それはとある学校の合格発表日、若葉は余裕の表情で人で密集している玄関前に立っていた。
「やっと合格発表の日ね……今まで頑張って来たんだもん、絶対合格しているはず」
若葉がここまで余裕そうな理由は受験を受けた学校がスポーツに長けている学校だからだ。
野球、バスケ、テニス、卓球、バトミントン、陸上、バレー……全てに力を入れている学校で若葉はこう見えて全県でテニスベスト4の実力がある。
多分それで入れると思ったのだろう。
「若葉さん、ついにこの時だね。僕楽しみすぎて足が震え始めてるよ!!」
「龍焚。足が震えてるのは緊張のせいだと思うけど遠目で見てると尿意を我慢している人のように見えるから少しは我慢してくれないかな」
「おっとこれは失礼」
神雨龍焚若葉と中学が一緒で中学の時応援団長をしていた人物。
彼自身は運動はあまり好きではないが強い部活動の応援がしたくてこの学校に入りたいと思ったのだろう。
「あなたも物好きよねー普通に行けば超頭のいい進学校に入れた実力はあるのにまさかスポーツ優先のこの学校に入るなんて、よっぽど応援好きなのよね」
「どうもありがとう。確かに応援好きだけどそれだけじゃないのも分かってるよね、人助けもとても大好きだって!」
黒縁メガネを上にあげ決めポーズを取りながら言う。
「あーあのうざいほどの人助け? 助けを呼べば学校のどこにいても来るやつでしょ、高校に入ったらほどほどにしておきなさいよ。うちにした人助け覚えてる?」
「若葉さんを助けたことは一回しかないから覚えてるに決まってるじゃないか! あの時のあれは僕の間違えだったよ」
あの時のあれとは若葉が一人でトイレに行っている時に起こったことである。
トイレで用事を済ませた後トイレットペーパーがないことに気づいた若葉は軽い気持ちで冗談半分で『龍焚助けて』と小声で言った。
まあ当然のように来ないと思った若葉は外に誰もいないことを確認しトイレットペーパーを取りに行ったその瞬間……
目の前に竜焚がいたのだ。
驚いた若葉は奇声をあげ近くにいた女子がぞろぞろとやって来た。このままでは自分を助けてくれた? 龍焚の中学校生活が終わりかねないので咄嗟に自分がいる個室に隠してあげたのだ。
『どうしたの?』と来た女子が問いかける。『あはは、ちょっとペーパーがなくてね……』と平常を保って若葉が言ったおかげてことが大きくならず無事に済んだのであった。
まあどっちが悪いか分からない話だな。
「叫んだうちも悪かったけど高校ではそう言うことしないでよね……てか助けるのはいいけど時と場所と状況を考えてから動くようにしないと、これから先退学は避けられないかもしれないわよ。そういえばあの時の状況うち以外の女子だったらどうだったのかな?」
意地悪そうな顔をして若葉が龍焚の目をしっかり見ながら言う。
「そ、そんな怖いこと言うなよ! あの事件で僕は全ての人を助けるために時と場所と状況を考えてその場にあった格好で行くようにしてるんだぞ。暴力があったところにはスタンガンを持って、水辺の場所には水着を着て、女子トイレには女装をして」
この男バカである。
「確かにそれぐらいの準備をすれば大丈夫よね。よかった学習してて、まあ頭いいから学習能力高いのも当然か」
と、若葉は笑いながら頭をかき言った。
またこの女もバカである。
「えーテステス、受験者の皆さん10秒後に合格発表をするのでお静かにして待っててください」
教頭らしい白髪の生えたおっちゃんがメガホンを持って受験者に言いかける。
その刹那がやがや祭り状態だった玄関は嵐が過ぎ去ったあとのように鈴まり帰った。
「やっと発表ねってあと10秒!? いくら何でも唐突すぎるでしょ。あーもう瞬きしたいでおこ」
ささやき声で若葉が言った。
「体が早く応援をしたいと騒いでいるよ、心臓のドキドキが止まらないっ!」
二人が一言言ってる間もカウントダウンは進んでいる3、2、1……運命の扉が今開いた。
「えーとうちの番号459、459どこだ? 沢山ありすぎて見つけられないよ」
必死に自分の番号を探している若葉の横で様々な声が聞こえて来る。
主に『やったああ』とかや『ぎゃあああああ』などの奇声がほとんどなのだが隣の眼鏡は違った。
「359番ありましたよおめでとうございます! 230番も見つけましたおめでとうございます! 他に見つけられてない人いますか?」
合格発表で自分の番号を探さずに他人の番号を探してメガネを光らせているこの男は何をしたいのだろうか。
前代未聞の超人だろう、いや狂人か?
一方の若葉は450番代の番号をやっと見つけたようだ。
「451、453、454、455、456、458、460? 458、460……」
目の前の現実を受け入れることができずひたすら『458、460』をくる返してみる。
その番号は変わることはなかった。
「そ、そんな……」
目の前が真っ白になりこの場の雰囲気に耐えれなくなり玄関から逃げるように去る。
「若葉さん見つかった? 僕は人の番号探すのに必死でまだ見つかってないけど見つからないなら僕が見つけてあげようか?」
龍焚が若葉のいたところを振り返った時にはもう姿を消し、背伸びしても見えなくなっていた。
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