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元役立たずの異世界成り上がり譚  作者: 紅椿
零章――始動
1/3

プロローグ

初投稿!テンプレ作品ですが、何卒よろしくお願いします!


おはようございます!

と、特に誰に挨拶をするわけでもないが、一応挨拶しておこう。


挨拶とは、全世界の人間、それも人種問わず、誰もが対等に交わせるコミュニケーション手段の一つである。いや、もはや手段の一つではなく、唯一無二の方法とも言える。

だがしかし、僕の場合は別だ。

なぜなら―――――


「来んなよゴミ」

「今日も相変わらず気持ち悪いツラしやがって!」

「ペッ!」


罵詈雑言の嵐。吐きかけられる唾。そう、これこそが、僕が挨拶でコミュニケーションを取れない理由である。

一体どうしてこんなことになってしまったのだろうか。

別に僕の容姿はそこまで酷いわけでもない。むしろ平凡で、そこらにいる男子と同等かそれ以上といった感じだ。

性格も、自分で言ってなんだが日本人特有の謙虚さをこれでもかと持ち合わせている。それでいて、中学校の頃の先生にすら、『君は優しすぎる』と言われるほどの温厚な性格なのだ。

さて、どこにイジメを受ける要素があるのか?

それは……


「おはよう、日向くん!」

「え、あ、お、おはよう七咲」


そう、学園のアイドルと言われても過言ではない―――いや、もはや学園のアイドルだと断言すらできる美少女。

―――七咲凛の存在である。

不幸なことに、僕のような一般庶民代表みたいなやつがアイドル級美少女と幼馴染みという関係なのだ。つまりはそういうこと。

『平凡で、自分たちとさほど変わらない僕みたいなやつが、どうして七咲の幼馴染みであんなに仲がいいんだ!』という、醜い嫉妬の奔流に晒されるのである。


だがしかし、さすがにそれだけではここまで酷ないじめにはならないだろう。

ここまでいじめを激化させたのは、僕の態度にも原因がある。

いじめっ子の基本的行動原理というのは、痛めつけた相手から助けを乞われることで得られる優越感と、日々抱いている嫉妬の捌け口となる…つまりはストレス発散のため。この二つが主である。

しかし生来のお人好しとでもいうべき僕は、いじめられても、そのいじめられている状況を正当化してしまい、これが当然とばかりに黙っているので、それが気に食わなかったのだろう。

優越感が得られないので、残ったのはストレス発散のみ。

必然的に暴力の度合いは増す、というわけだ。


「堀内くん、藤嶋くん、佐伯くん、おはよう!」

「え!?あ、お、おはよう七咲!!」

「お、おはよう!」

「おはおはおはおはようごごごごごございますぅ!」


見てみろ、七咲に話しかけられただけで上がりまくりの、ある意味ピュアないじめっ子どもを。

七咲はこの通り誰にでも優しいので、僕だけに特別優しいというわけじゃないというのが幸いだ。

これで僕への態度が明らかに好意を持っていたとしたら、殴る蹴るでは済まなかったかもしれない。


おっと、そういえば僕の名前をまだ喋っていなかったね。

僕は雨宮日向。日向と書いて、ひゅうがと読む。

誰と話してるかって?それは僕にもわからない。なぜだか説明口調にならなければならない気がしたんだ。


「おいおい凛。またそんな幼馴染みに話しかけてるのか?そんなやつのことは放っておいて、俺と一緒にお昼ご飯でもどうだい?」

「え??日向くんと話してちゃだめなのかな??」

「い、いや、そういうわけではないんだけどさ」

「じゃあ話してもいいでしょ?」

「……ああ」


今七咲に話しかけたキザっぽい男は、言うなればこのクラスのリーダー的存在だ。高校二年生にして、インターハイ常連で毎年優勝候補とも謳われるこの高校のサッカー部で十番を背負い、エースストライカーとして鎮座しているのだ。加えてイケメン。しかも頭もいいときた。

これで彼にメロメロにならない女子はいないだろう。

…例外を除けばだけどね。

まさにその例外の一人である七咲に、今しがた論破されたサッカー部エース―――聖川蒼也は、親の仇を見るかの如き鋭い眼で、僕を睨みつけている。

七咲を手に入れたいがため、僕は邪魔。だが、もし僕を傷つければ、曲がりなりにも幼馴染み。七咲が怒ることは必至。

葛藤が目に見えるね。


「…覚えてろよ」


なんだか怖いことを囁かれていった……。


『キーンコーンカーンコーン、全員動くな』


なにやら機械的な声と共に、そう宣言された。

何を言って……って!?


「身体が…動かない」


一体どういうこと?いきなり集団催眠術とか金縛りにあったわけじゃあるまいし、なにしろあんな言葉一つで動けなくなるなんて俄に信じ難い。


『これより、世界を越える転移―――時空転移術を起動します』


やはりというべきか、機械的な声が響く。僕達は誰ひとりとして動けない…さらには声すら出せない現状。

されるがままにされる以外の選択肢は、もはやなかった。


『カウントダウン。三、二、一、―――起動』


突如、目前を覆い尽くすばかりの質量をもった光が飛び込んで―――――


僕たち。

本郷学院高校二年F組は、異世界へと転移した。

プロローグということで、字数少なめ。

これからは基本5000字くらいで、気分で上下します。

投稿は、やる気と精神の続く限り毎日、もしくは二日に一話…と言いたいですが、不定期になるかもしれません。そうなったら随時報告します。



※今話登場主要キャラ(まだ増えます)

雨宮日向(あまみや ひゅうが)

七咲凛(ななさき りん)

聖川蒼也(ひじりかわ そうや)


モブ

堀内(ほりうち)

藤嶋(ふじしま)

佐伯(さえき)

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