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夜のほとりで待ち合わせ 15


それでも全人類が引きこもらない理由は、どれだけ辛くてもひとと関わっていたいからだ。

損をして、涙を流して、血を滲ませ、傷付いて、・・・・・・それでもひとは外へ出て自分以外を求める。何故ならどうしようもなくさみしがりやだから。

その時どれだけ辛くても。

その時どれだけ悲しくても。

絶望に身動きが取れなくなっても。いつかはさみしさの方が上回る。だからさみしがりやのひとびとは、何度打ちのめされようが再びこの世界に飛び出るのだ。再び、なにかを愛するために。

そしてひとはまた誰かと出会う。出会いに『運命』を名付けるのはいつだって出会ったあとの話だ。出会い自体に運命はない。

それでもあとから名前を付けるのは、なにかを特別にしたいからだ。さみしがりやのひとびとはそうやって特別を作って、その偶然をあたたかいなにかが精巧に生み出した宝物のように愛でる。

それは自分のためであるし、そして知っているからでもある。

自分との出会いを、自分の存在を誰かの『特別』にしてもらうこと。

その満ち溢れる幸せを知っている。

だからこそひとは自分の『特別』な相手にその気持ちをあげたくて、単に偶然から生じたひととひととの接点に名前を付けるのだ。

・・・・・・ミユキにとってその特別をあげた相手は彼だった。

彼しかいない。彼がいい。

まだ彼は、この世界に居るだろうか。

居たとして―――ミユキは、要るのだろうか。

ありがとう。さよなら、ミユキ。

そんな風に言って。満たされたように微笑った彼。

終わらせたくないものばかり終わっていく。形に残れば僥倖で、それどころか持っていたものを喪うばかりで。

やってられるか。ふざけんじゃねえよ。

ばいばい、世界。滅んじまえ。


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