第二章『前代魔王の死』:-004-
「ふぇぇ……す、すいませんでした……」
「いいよ。軽かったし……」
犬耳娘を起こした後、彼女は道中から本殿までの記憶がなくなってしまっている理由を聞いてきた。それを説明してやると、途端に泣き出しそうな顔になって謝ってくる。どうやら気絶して、運んでもらってしまったのを気にしているみたいだ。犬耳娘の太腿を堪能しながらで、オレも楽しませてもらった身だ。文句を言うのは筋違いである。
彼女の太腿は少女の体躯をしているにも関わらず、すらっとしていて、引き締まっていた。それでも太腿には必ず脂肪が付く。気絶していた時ぷにぷにぷにぷにとしつこく揉んで堪能していたのだが、全然起きなかったと言うか爆睡していた。今も彼女の垂れた涎で湿ったあとが肩にある。その後、こんな少女の太腿を堪能する事に少し背徳感を感じてしまったのは言うまでもない。
「でも、主のお手を煩わせてしまいましたし……。他の使い魔や眷属たちに合わせる顔がありません……」
俯いてしまっていてその顔はよく見えないが、きっと本当に残念そうな顔をしているのだろう。そんなに気にする程のことではないと思うのだけれど……。
「でも、どうして急に倒れちまったんだ?」
「あっ……そ、それは……」
犬耳の内側が赤くなっている。気にするなとは言ったが、二度目は流石にやめて欲しい。しかし、オレは彼女が倒れる前、オレは何か恥ずかしい事を言った記憶は無いのだが。
「眷属に名前を付けると言うのは……本来、自分と対等の地位を与えると言う意味で……その……」
「そうだったのか。でもそれっていい事じゃないか。魔王と対等だぜ」
へー、じゃあ彼女は第二の魔王ってことになるのか。オレが倒れた後に出現する第二の魔王か。無限ループ系のRPGによくありそうに仕様だな。
「お、恐れ多いです……。そ、それに……」
「それに?」
「い、いえ、何でもないです……」
歯切れの悪いやつだ。気になるじゃないか。
「それに、なんだよ?」
「そ、それより!今は祠に向かいましょう!!」
話を逸らされた気がする。だが犬耳娘の言うことはもっともで、いつ勇者が襲ってくるか分からない今、同じ場所にとどまり続けるのは危険だ。襲われた場所からかなりの距離があるが、魔法が使える勇者に何らかの特殊な移動方法が無いとは限らない辺り不安は残っている。
「そうだな、じゃあ、案内してくれ」
「……はい!」
二日に一回のペースで更新できればもういいかな……。