第二章『前代魔王の死』:-000-
今日は忙しいので予約投稿さんに頼ってみました
(2015/02/11(水)の分)
昔々、遥か昔の出来事です。
ある日突然、魔王が人間界を支配しようと沢山の魔族軍を我々人間界に差し向けました。
たった一夜の奇襲で多くの人が死に、悲しみました。
その時の人間界で最も栄えている国がありました。
その国は魔王討伐の為、無謀にも魔界へ進軍したのです。結果は全敗。なんとか逃げ帰ってきた兵も酷く怯え、二度と剣を握ることが出来ませんでした。
その国には、もう兵が残っておらず、国の王様は他国から兵を集め初めました。
貧しくも栄えても居ない国がありました。
その国は多くの聖職者がおり、希望を信じる者が集まる街でした。
その国でも対魔王の徴兵が行われました。神の教えを守る平和を愛す者達は、剣を握ることに抵抗を持ち、途方に暮れる者も多かったそうです。
しかし、ある聖職者が「国のために戦う事は何も悪いことではない。今こそ神の為に戦うのだ」と言い、自ら剣を握り、自ら徴兵を受け入れ、軍へと志願し、魔族と立ち向かっていきました。
その男に続いて、国の男たちも戦いに向かい、多くの犠牲を出してしまいました。
戦争の最中、魔族軍はその聖職者の国を狙い――
滅ぼしました。
栄えた国を落とせば支配できるというのに、魔族は貧しくも栄えても居ない国を滅ぼしたのです。理由は誰も知りません。実は余興だったのかもしれません。魔族が魔王の命令を聞かず勝手に行った(おこな)事だという噂もあります。
滅ぼされた街には、かつてあったステンドグラスのような賑やかさも消え、赤一色の血の色と、生臭い匂いで溢れていました。
その街に残された、最初に武器を握った勇気ある聖職者の息子が「勇者」として天界に選ばれたのです。
しかし、その勇者は神の為に戦うには多くの血を見すぎていました。
運命を呪い、魔王を憎み、復讐の為に魔王を殺す。
そう、誓ってしまったのです。
七年後、勇者は四つの武器を『引き連れ』、魔王に一騎打ちを申し込みました。
仲間たちに止められた物の、魔王はそれを承諾しました。
三日三晩の戦いの末、勇者は捨て身の一撃を行い魔王に深手を追わせました。しかし、あと少しというところで魔王の眷属が魔王を逃してしまったのです。
勇者は自分の無力さを恨み、死に際に魔法を使い来世に希望を送りました。
「来世こそ、魔王を抹殺する」
恨み、憎しみ、怒りが混ざり合った、そんな血塗られた希望です。
これは魔族しか知らないことですが、我らの魔王も勇者が死んだ後、深手の治療が間に合わず、お亡くなりになられました。