プロローグ
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君は、歴史の授業は好きかな?オレははっきり言うと大っ嫌いだ。丸暗記をしなければならないあの授業は、オレの記憶力の無さを鮮明にさせてしまう。そして何よりも、そんな歴史が実際にあったのかという実感がわかない。なんで皆はこんな事を信じて居るのだろうとオレは思っていた。
捻くれたガキだった。
中学生になって歴史の教科書が配られた時、オレは本を後ろから開いた。
古いことから教えて行く歴史の教科書の一番後ろのページには、ごく最近の事が書かれてあって、大震災や、母から聞いたことのある総理大臣の名前がそこには記されていたんだ。だけど、そのページを境に、それよりも昔のことは全くと言っていい程、現実味が湧かなかった。
だってそうだろう?見たことも、聞いたこともない事を信じる事なんて、普通は出来やしない。
いや、できるか……。人は疑う事を必要としないだけの理由を与えれば、いとも容易く信じ込んでしまう。
『十年前、地球に隕石が落下した』。
もちろん、こんなのは嘘だ。だけど、「そう言う歴史が実際にあった」と言えば歴史に詳しくない子供達は、間違いなく信じてしまう。実際見ていない物、体験していない物。それなのにどうして皆はそれを歴史と割り切って信じてしまうのか。
オレがこの世は嘘だらけだと知らされたのは、中学のその時よりも少し越し年月が経って後の事だ。授業で聞き流していた歴史とは全く違うことが、この世界では起こっていて、オレ達の歴史は、上辺だけが綺麗な歴史だった事を、無理やり気付かされた。
歴史をキチンと習わなくて良かったと本当に思っている。習っていたら、きっと真実を信じきれなくなっていたから……。君たちもオレがどんな事を経験したのかなんて、きっと信じることができないだろう。
この物語は、オレの人生を百八十度では足りないほど、めちゃくちゃに掻き回された出来事の物語。その出来事がどれぐらい昔なのかは……ここでは伏せておくことにしよう。