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大歓声の中シェリーがティスカ公の横から一歩進み出る。

「初めまして皆様、今回公爵一家と迷宮に潜る事になりました。魔法使いのシェリーです。」

誰だこいつ、いつものと口調は変わらないけど柔らかさが違う。柔軟剤使ったか…?

「この人はとある縁からの知り合いでな、助っ人を頼んだところ快く承諾してくれた。」

「公爵様の頼み事ですから、断れませんわ。」

「こやつめ、はっはっは。」

実際は俺が承諾したし、嫌々でしぶしぶだったしな。

「とまぁ、今回の助っ人は女の人だが。実力は俺が保証する。…何かやるか?」

「え?」

「デモンストレーション的なのやるか?」

ティスカ公の無茶振りだー!これはシェリー、どうする?

「はぁ、じゃあティスカ公でもボコボコにしましょうか?」

「という具合で俺でもボコボコにされそうなくらい強いので心配はいらないぞ。はっはっは。」

うまい切り返しだ。ティスカ公もこれには苦笑い。民衆からも笑いが飛んできている。

「さ、さぁ。次にいこう。次はな、今回初の試みである。一般人を連れて迷宮に潜る、ということをしようと思っている。」

民衆から笑い声が消えて、どよめきの声があがる。

「そうだ、その反応は尤もである。ただ、俺はお前たちを守るためにいると言っても過言ではない。ならば迷宮に連れてった一般人くらい守れないなんてことはあってはいけないはずだ。」

ここにきてカリスマいっぱいの公爵が語りだす。このモードの時はかっこいいこと言うんだけどな。

「もちろん、危険だ。だが、その役目を負ってくれた一般人を紹介しよう。リード、出番だ。」

俺の出番か。まぁ村人1になりきればいいだろう。

銀をつれて舞台の上にあがる。またそこかしらからどよめきの声があがる。

「あれ?いつもシェリーさんと一緒にいるガキじゃねぇか。」

「またうちのお得意さんだよ!」

「犬連れてるぜ?大丈夫なのかよ…。」

「きゃー、結構好みのお・と・こ・の・こ・、ウフ。」

おー、好き勝手言ってくれてるじゃないの。ちなみに最後のは野太い声だった。察してくれ。

「どうもどうも。」

そっけない返事で舞台に立つ。どうせシェリーとかのインパクトに比べたら薄いわ。

「リードはシェリーの弟でな、今回の話をしたときもお姉ちゃんがいくならと快く承諾してくれてな。ついでに犬の銀もつれていくそうだ。」

あれ、俺そんなキャラでいく感じ?お姉ちゃん大好きっ子設定なの?

「はい!僕はお姉ちゃん大好きなので今回も一緒についていこうって決めました!銀も一緒に連れて行っていいって言ってくれた公爵様には感謝してます!」

「うわぁ…。」

「リード君、後でもう一回私に向かってお姉ちゃんって言ってくださいね。」

レイが思いっきり引いてるし、シェリーはなんか言い出すし。

ティスカ公はニヤニヤしてるし、やりすぎた感が半端ない。

「と、このようにリード君はシスコンなのでシェリーにも守らせようと思う。」

「…後で覚えておけよ。」

小声でティスカ公に脅しをかけておく。

「…さて、実はリードは冒険者に登録しておってな。ランクFの詩人だ。後で完全な一般人じゃなかったなんて苦情が来ても困るので最初に言っておこうと思ってな。ランクFなら一般人と変わらん、むしろ子供と言うことも踏まえればそれ以下のはずだ。」

根回しは完璧やな。

「ということでここでリードには一曲披露してもらおうと思う。」

「ファッ!!?何それ聞いてないけど!!」

「そりゃ言ってないしー、ほら、シェリーがやらなかった分だと思ってさ。」

「本当にいい性格してるよな、本気でやっていいのか?」

「本気はまずいだろ。それにレイから聞いていて一回俺たちも聴いてみたいと思っていたんだ、お前の演奏を。どこの言葉かわからない歌を歌うんだって?」

「…まぁ、いいけどさ。」

驚いたけどシェリーが何かやらされそうになったときに予想してた。今度は俺にくると。

実際前から村の人たちに聴かせるように歌ったりしてたからそれについては大丈夫だ、加減はわかってる。

ただ、流石にこれだけ注目されて、尚且つ舞台の上でなんてやったことないから緊張はする。

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