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「さて、次はどうするか。まだ時間あるし適当に見て回るか?」

「お財布も潤いましたしね。」

「…やっぱやめとくか。」

毎度のことながら何かしら買ってしまうので、今回もあれよこれよと買ってしまいそうだ。

「えー、何か見ましょうよー。」

「今入った金使うつもりですやん。」

「相変わらず仲がいいね。」

受付のお姉さんにそう言われる。否定するつもりはないがこの場面だと俺がただの財布じゃねぇか。

「そういえば、迷宮に潜る助っ人は決まったのかしらね。」

「あー、そういえばまだ決まってないんですっけ?」

「何故か今回は決まってるのかわからないんですって、毎回少し前には決まっているのにね。」

ここにいるんすよ、目の前に。どうせ開会式で分かることだし言ってもいいんだけど、面倒事は避けようか。

「ふーん、…やっぱり名誉な事なんですか?」

「そりゃあねー、相当な実力者って公爵様から認めてもらうようなものだからね。」

「そうなんすか。」

ミストの意見だけだと偏った意見になりそうだったので聞いてみたが同じような答えが返ってくる。

まぁ俺には関係のない話だな。正直ティスカ公の戦いを見てみたい気持ちはあるが別に共闘するってわけでもないしな。

シェリーがいれば十分だろう。

「まぁ、また来ますね。」

「今度は依頼も受けてってねー。」

テンプレのような挨拶を交わしてギルドを後にする。

「やっぱりティスカ公ってここじゃ英雄みたいな感じなんだな。」

「当たり前じゃないですか?マスターっていろいろと疎いですよね。」

だって俺田舎もんだもん、あれこれ語呂いいな。田舎もんだもん、…今度から使っていこう。

「まぁそんなことより、広場に向かっていくか。どうせ、向こうにいかなくちゃいけないんだし。」

「そうですね、そして出店もみましょうか。」

銀もワン、と返事をする。やっぱりこいつら俺の金なくすつもりだ。

まぁ使い道ないからいいんだけどね。

お金のうまい使い方って何かあるか…?正直今不自由なく暮らしてるし。

いや、いつまでも城にいるってわけにもいかないだろうし、…まずは旅のするお金くらいは貯めときゃなきゃな。

でも結局出店を見てたら食べたくなって買っちゃうし、銀とシェリーも遠慮なく言ってくるのですぐに財布を開いてしまうのであった。


「…ずいぶんと楽しんでいますのね。」

「…食うか?」

広場で買い食いをしながらいたらレイがちょうどこっちに来たらしく、俺の方に寄ってきた。

「確かに美味しそうですけども!両手に持つなんてちょっと行儀が悪いんじゃなくて?」

「あぁ、こっちは銀の分な。」

「ってことは今の方は…。」

「あっ、そういや俺の食いかけだったわ。…そこの店だし買ったら?」

「…やめときますわ。」

銀に串焼きをあげつつ自分も串焼きを頬張る。いっつも肉食ってる感じだけど銀が欲しがるから仕方ないのだ。

「もう開会式が始まるんですか?」

「いえ、まだですわ。一応様子を見ておこうと思って。」

シェリーが果実を片手にレイに話しかけてる。そして何故かその場でくるりとレイに後ろ姿を見せる。

「え?…あれ、そのブローチ綺麗ですわね。どうしたんですの?」

「ふふふ、マスターに買ってもらいました。」

レイの方を振り向き笑顔でそう言った。自慢したいだけかよ。

「え?買ってもらったって、それを?え?」

「そうですよ、マスターに、買ってもらって、つけて、貰いました。」

なんでそんなこと言うんですかね。

「…。」

「ふふふ。」

あれ、なんでこんな雰囲気に?確かにシェリーが自慢なんてあんまりしないけどそれにしたって空気が重くなりすぎじゃない?

「…リード。」

「あっ、はい。」

「迷宮でわたくしが活躍しましたら何か買ってくれませんか?」

何故か睨み合ってるシェリーとレイ。そのままで俺に話しかけてくるから怖いんだけど。

「え?でもシェリーのでお金が…。」

「安くてもいいんですの!…そうだ、材料はこちらで用意するので作ってもらえませんか?…髪飾りを。」

ハッとした表情のシェリー、そして勝ち誇ったようなレイ。…まぁ確かに俺が作ったほうが出来はいいのが出来る気がする。

「でも俺髪飾りなんて作ったことないぞ?」

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