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「シェリーの緑色の髪に似合うやつがいいよな。」
朝ごはんの間に買う髪飾りについて案を出しておく。
「別に変えられるんですけどね、それでもこの姿には愛着がありますから。」
妖精の時からの緑髪を引き継いでいて、妖精のシェリーがそのまんま人族になって大人になったらこうなるって感じだからな。
元々可愛いからこそである。
「ふーむ、…まぁ色々見てつけたりして決めればいいか。」
「どれ買ってもいいんですからね。」
「…お手柔らかに。」
俺の給料の三倍とかやめてね。月に俺いくら稼いでるのかはっきりとわかってないけど。
まぁ今は余裕あるからある程度なら買ってあげれるな。
「そういえば銀は何か欲しいものないのか?いつも苦労してるからあったら買ってやるぞ?」
「我は別に…、美味しいものが食べられる現状で満足してます。」
なんと無欲な。いや結構高い肉とか食べてるし無欲じゃないのか?でも俺たちも食ってるしなぁ。
「まぁ遠慮するなって、…首に付けられるスカーフみたいなのを買うか。」
考えてみたがそれしか浮かばない。装備品とかつけたいけど、犬用なんてないだろうし。それに元の姿戻ったら大きさ的にどうなんだろ。
いやでもそれだとスカーフもダメなのか?元に戻ったらどこぞのヒャッハーな世界の人みたいに破れてしまうのか?
「確かにそれなら元に戻ったときに足とかに移動させればいいですが…。」
「あぁ、いいんだ。ならそれに決定だな。」
出来るなら買ってやろう。どうせシェリーは元の姿に戻ることなんてほぼないだろうしな。もう元の姿思い出せねぇよ。
「まぁ私は元の姿に戻るつもりはありませんからね、問題はないです。」
シェリーさんから戻るつもりはない宣言がきました。でかい髪飾りつけて元に戻ったら潰されそうだな。
城から街に行く道で結構な数の兵士やメイドたちとすれ違った。お祭りの準備は着々と進んでるらしい。
広場は朝なのに活気があった、やはり出店もフライングしてるらしくそこそこの数が商売を始めていた。
「さて、どこから見る?」
「まだ出店もそれほどないですからね。…ちゃんとした店にいきましょうか。」
その辺を見回ってる兵士に店の場所を聞くと快く教えてくれた、てかこの人俺の訓練受けてる人だわ。そのニヤニヤ顔やめろ。
「色々と教えてもらえてよかったです。いい物選んでください、ですって。」
「次の訓練はきついのやっとくか。」
シェリーが嬉しそうにそう言ったので喜んでいるんだろうけど、俺は許さんからな。
見るからに立派な店構えのアクセサリー屋が見えてきた。やはり値段が張りそうだ。
「ごめんくださーい。」
扉をあけて中を見渡すとこの時間なのにお客さんがちらほらいる。しかもいい服来てる奥様方ばっかりだ。
「何を萎縮してるんですか、ほら行きますよ。」
「子供だといえこの場所に入って行くには勇気がいりますよ、シェリーさん!」
デパートとかでよくある婦人服売り場とか下着売り場に入っていく感じに近い。
「あら、いらっしゃいませ。…今日はどのようなものをお探しですか?」
すぐに店員がくる感じもやばい、俺の苦手な店だわ。
「髪飾りが欲しいんですけど。」
「綺麗な緑の髪ですねー、それではこちらが髪飾りのコーナーになっています。」
と店員がそこに案内してくれる。シェリーと店員に任せとけばいいな。
「その色ですと、こちらなんてどうでしょうか?」
「うわー、綺麗ですね!つけてみてもいいですか?」
「どうぞ。」
高そうな緑色の宝石を真ん中にデンと乗っけて周りは金で固めました風髪飾り。
あかん、これはあかんで。高いやつや。
「どうですか?」
「リード君どうですか?」
確かに可愛い、そりゃ似合ってる。元々綺麗なロングの髪の毛にワンポイントでこれがついてたらすごくはえる。
「似合ってるけども!」
「ほら、弟さんもそう言ってますよ。」
店員さんもここぞとばかりに押してくる。
「あら、弟じゃないですよ?恋人です。」
「え?」
「これにしましょう。一目惚れしました。」
そういって髪飾りを外して店員さんに返すシェリー。
「もうちょっとよく考えた方がいいんじゃない?…これとかどうよ?」
傍にあったシェリーが選んだやつよりもワンランク下っぽいものを指差す。シェリーさんしれっと恋人とか言うのやめてって思ったけど言えない。
「…。」
「はい、それ買います。」
無言のシェリーさんの圧力。
「あっ、はい。こちらですと、金貨25枚になりますがよろしいですか?」
「たっか!!!ちょっと考え直さない??」
「ください。」
「シェリーさん!まずいですよ!」
ほぼ全財産やんけ!むしろ足りるか?宝物庫を開いて袋を取り出して金貨を数えてみる。
ちょうど25枚、残りが銀貨20枚くらいだ。…これは魔石貯金を崩すしかないか。




