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「ふむ、君は楽器も使えるのかね?」

「まぁ、一応…。」

さて、一瞬どっきりしたけどここまでは許容範囲。ここからだ…。

「…とりあえず、魔物避けの演奏でもしましょうか?」

「魔物避けが出来るのかい?…あれはレベルの低い魔物にしか効かないだろう。今回の討伐対象はゴブリンだからそれが逃げてしまっては元も子もないぞ。」

早速地雷を踏み抜いた。なるほど、魔物避けの演奏は演奏に魔力を乗せて魔物の気をこっちに気がつかれないようにさせてるんだが、確かにそれじゃダメだよな。

意図的にゴブリンだけ演奏で呼び出せそうな気もするけど、流石に音鳴らしたらミストに気がつかれるしな。

「まさか本当に魔物避けが出来るのかい?今までの成功例は?」

この地雷が連鎖していく感じ。某フリーゲームを思い出すぜ…。

「なーんて、師匠がやってたのを真似しみようと思っただけですよ。」

ははは、と乾いた笑いが出る。ついでにギターをジャカジャカ鳴らしておどけた感じにする。

「…、まぁいいが。それならパーティーでの詩人の役割も師匠に教えてもらってわかってるかい?」

「あー、そういうとこは師匠。全然教えてくれませんでした。主に普通の演奏とかでしたね。」

架空の師匠をでっちあげてミストに教えてもらえるように誘導する。

「ほう、見たところいい楽器を使ってると思うがそれも師匠のやつかな?」

なんだろ。このミストの穴があったらつついてくる感じ。油断ならねぇな。

「そうなんですよー、師匠が楽器の一つも扱えないなんて詩人失格だって言いましてね。それで持たせてくれたんですよ。」

このまま架空の師匠の人物像が出来てしまいそうだ。

「そんなことよりも詩人のパーティーでの役割を教えてくださいよ。このままじゃ俺棒立ちすることになっちゃいますよ。」

「まぁ、棒立ちでも問題はないと思うが…。詩人の主な役割は演奏や歌によって仲間を支援することだな。…さっきの魔物避けもそうだが。」

「ふむふむ、他には?」

「本当に何も教えてくれなかったのだな…。仲間の士気を高めたり、歌に魔力を込めて聞いている者の能力をあげたり下げたりするらしい。…実際俺は使えないからわからんが仲間の詩人はそう言ってた。」

「なるほどなるほど。」

大体わかった。…つまりネトゲと変わらんってことだな。味方に強化の演奏、敵に弱体化の演奏って感じか。

歌もうまく使えばいつもの戦闘でも使えるかもしれんな。楽器は両手がふさがるから使いにくいとしても。

歌なら別に両手が空く、しかも歌いながら魔法とかも使えるな。俺ならではだけど。

そう考えたら一気にやれることが増える気がするな。歌で相手の注意を逸らしつつ魔法で仕留めるとか歌で相手を惑わしてやり過ごすとか。

もしかしたら口笛でもいけるかもしれん。これは試してみる価値アリだな。

「まーた、悪い顔してる。」

「この顔のどこが悪いんですかー?シェリーさんも大概悪い顔してますからね!」

「美しいの間違いじゃない?…こんなこと言う口はこれですか!」

そういって俺の頬を両手で掴んでムニムニしてくる。…ミストの前だと保護者って立場だから調子に乗りやがって。

「仲がいいんですね、二人はどういう関係なんです?」

「恋人です。」

「ちひゃいましゅ。」

間髪いれずに答えるシャリーに間髪いれずに否定の言葉を被せる。しかし、掴まれてるのでうまく言えない。

「ふっ、兄弟にしては似ていないから。…姫様に縁があるってことはどこかの偉いさんってとこかな?その護衛って感じかな?」

「みゃあ、…そんなとこです。」

変な声が出るのでシェリーの手を振りほどきなんとも言えない返しでやり過ごしていく。

「あぁ、せっかくリード君の頬を堪能してたのに…。」

いつものシェリーの呼び方だと流石に変なので今は君付けにしてもらってるがこれは違和感ありまくり。

「まぁ、そんなことは置いといて。…ミストさんについて教えてもらえませんか?」

「俺かい?なんでまた?」

「クランに入るにしてもそのクランの中心人物の事は知っておきたいですからね。」

これは我ながらうまい言葉だと思った。クランに入るってことを仄めかせつつミストを持ち上げる、完璧だ。

「そうだね、改めて。俺はミスト=マクロ。クラン【漆黒の炎】でクランマスターをしている精霊術師だ。」

「リード=ニア=アトラスです。一応詩人見習いしてます。あとこっちはシェリー、そして銀牙。」

そう言ってシェリーと銀も紹介する。しかし、ミストは少し驚いた顔をして。

「アトラス?…なるほど、そういう事か。」

「なんです?」

「いや、なんでもない。」

そう言ってミストは少し考えるように手を顎の辺りに持っていく。そして一人で納得したように。

「やはり、レヴには感謝しないといけないな。」

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