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まずは武器だな。流石に丸腰で依頼をやるってのもあれだしな。
トールのとこで適当に剣でも買おう。
「ちょっとトールさんとこいって剣でも買おうと思うんだけどいいかな？」
シェリーたちに聞いてみる。
「別になくてもいいんじゃないですか？」
「主様ならいつものあるじゃないですか。」
「トールさんって誰ですの？」
「木剣じゃカッコつかないだろ？一応用意しておかなきゃ。トールさんってのは俺がお世話になってる鍛冶職人。」
そりゃ今もってるやつにいつもみたいに魔法かけて切りつけるのもありだが、ミストがいるからな。流石に手の内は見せたくないっていうかいつもみたいにやるわけにはいかない。
仮りでもいいから武器がほしい。
「マスター、見栄張りたいだけなんじゃないですか？」
「はん！？んなわけないやろ！！」
「必死なとこがそれっぽいですわ。」
「んなわけなかろう、はっはっは。」
そんなことはちょっとしか思ってないよ？ただ初依頼で金属の武器っていいじゃん？
「いいじゃん別に。ちょっとくらい見栄張ったって…。」
「ほら、やっぱりそうじゃないですか。」
「主様…。」
「リードは結構カッコつけなとこがありますわね。」
聞こえないふりをしてトールの店に足をすすめる。
「いらっしゃ…。あれリード君じゃないか。そちらの方はもしかして…？」
「お邪魔しますよっと、あぁこれ？姫様。」
「雑ですわ！」
簡単に説明。朝なのに客がちらほらいる。繁盛してる証拠だな。
滅茶苦茶不機嫌なレイがいるが無視。
「やっぱり。…なんで一緒にいるんだい？」
「いいからいいから。今日はちょっと剣を一本買いに来たんだけど。」
あー、レイ連れて歩くとこうなるか。ちょっと考えてなかったな。…流石に噂とかにはならんよな？
「…何か事情があるなら深くは訊かないけど。剣をかい？リード君なら自分でいいの作れると思うんだけど。」
「まぁそっちも事情があって…。あまりいいのじゃなくていいから初心者用のを一本売ってくれない？」
「それならちょっと待ってね。」
そう言って樽に入ってる初心者用の剣を取り出しにトールが行く。
そうそう、そんな感じの剣がいいな。あまりにもいい剣だとミストが怪しがるからな。
「これとかどうかな？」
子供用に作ってあるであろう、ショートソードを手渡してくる。長さが木剣を同じくらいでちょうどいい感じだ。
試しに振ってみると予想以上にしっくりくる。
「流石トールさん、これいくら？」
「お金なんて取れないよ、今までのことを考えればね。」
「またリードは隠れてこそこそやってるんですわね。」
レイが嫌味を言ってくる。別にこそこそしてねぇし！堂々とやってるわけでもないけど。
「マジで？遠慮なくもらっちゃうよ？」
「どうぞどうぞ、訓練にでも使ってくれればいいから。」
やっぱり人助けはするもんだな。些細なことだけど自分に帰ってくるわ。
「ありがとうございます。」
セットでついてきた鞘に剣をしまい腰に下げる。これでちょっとは格好付いたかな？
「はいはい、かっこいいですよ。マスター。」
「主様似合ってますよ。」
「そう？えへへ、やっぱり？」
「うわぁ…。少し気持ち悪いですわ。」
「褒めてくれてもええんじゃよ？」
投げやりなシェリー、素直な銀、ストレートなレイ。こんな仲間をもって俺は幸せ者やな。
「よく似合ってますよ。」
「ほらほら、店の人がこう言うんだから間違いねぇよ。」
「マスター、社交辞令って知ってますか？」
「シェリーとレイは俺のテンション下げたいのかな？銀だけだよ…。」
そういって銀の頭を撫でる。
