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「んー、メリットがあんまりなぁ。それにシェリーのこともあるしなぁ。」

思ったことを口にする。

「…なるほど、なら俺一人と君たちで依頼を受けるのはどうかな?…君は冒険者なのかな?」

ミストがシェリーに話しかける。

「いえ、違います。…保護者ってとこでしょうか?」

全力で否定したいとこだがここはそうした方がよさそうだ。どうやらミストはゴミとしてじゃなくて人としてシェリーは認識してるらしい。

後ろで男どもがなんでとか今日は俺らに付き合ってくれるって言ったじゃないですか、とか色々言われてるがミストはうまく流してるみたいだ。

まだ依頼を受けるなんて一言もいってないのにな。

「じゃあ、君と俺の二人で依頼を受けるのはどうかな?」

「いえいえ、私も行きますよ?それに銀ちゃんも。」

「その犬もかい?それはちょっと…。」

「まった、まず俺は依頼を受けるなんて一言も言ってないんだが。」

このままじゃ話が勝手に決まりそうだ。それに今は犬みたいにしっぽ振ってるだけだけど瞬殺されんぞ。

「まあまあ、君にとっても悪い話じゃないんだからさ。」

ぐいぐいくるなこの人。

「わかった。じゃあ俺とリード君とシェリーさんとそのワンちゃんで行こう。それなら文句はないだろ?」

「そこじゃないんだよなぁ。…ミストさん、あなたの職業は?」

「俺かい?俺は精霊術師だけど?」

うお、思わぬところで遭遇した。これは是非とも行きたい。行って色々とスキルを盗みたい。

だけどここでいきなり行きたいとか言うのは不自然だな。もうちょい渋っておくか。

「んー、精霊術師かー。俺は詩人だから後衛になっちゃうけど前衛は誰がするの?」

「そこは俺がするよ、軽い依頼だし。別にできないことはないからね。」

もうちょいだな。もうちょい引き伸ばそう。

「んー、どうしようかなぁ。」

「わかった。今回の報酬はすべて君に渡そう。それならどうだい?」

ここまでやるのか。まぁ渋ったのは俺だけど、これ以上は無理そうだな。

「…わかった。ミストさん、あんたと俺たちで依頼を受けてその報酬は全部俺がもらう。…それでいいかな?」

「よし、やっと頷いてくれたね。それで行こう。」

「俺がいうのもなんですが、ちょっと必死になりすぎじゃないですか?」

ミストにとっては俺はただのガキのはずだ。そのガキにここまでするのかとの疑問が残る。

「さっきも言ったけど詩人は貴重なんだ。…それにこれを逃したらいけない気がしてね。」

詩人って一体何するんだ。自慢じゃないが俺は詩人のこと一切しらないぞ。我流にも程があるぞ。

「ではさっそく依頼を見てみよう。」

そう言って依頼が貼ってあるらしいボードの方にミストは席を立つ。ミストの後ろにいる男達に思いっきり睨まれてるので居心地が悪い。

とりあえずミストのとこに行って一緒に依頼を見てみよう。

「ふむ…。これなんてどうかな?」

色々と貼ってあるな。迷子の犬を探して欲しい、迷宮のガイドを頼む、ドラゴンのウロコがほしい、畑を土魔法で耕して欲しい、などなど。

完全に便利屋って感じだな。まぁ概ね予想していた通りだ。

そのなかの一つである、畑を荒らしているゴブリンを退治して欲しい、と書いてある依頼書を手にとってミストが言う。

「ちょっと見せてもらえますか?」

そういって紙を見せてもらう。場所は街のすぐ傍の森だ。報酬は銀貨10枚。ゴブリン程度だと妥当なのか?わからん。

「いいんじゃないですか?でもこうゆうのって公爵が処理するんじゃないの?」

「手に負えない場合はうちの騎士が出ますがこれ程度なら冒険者に回しますわ。若手の育成も兼ねてますわね。」

いつの間にか後ろにレイたちがいる。まぁあの席にそのままいるなんて嫌だろうしな。絶対じろじろ見られる。

「それならよかった。早速受けよう。」

そういってミストは依頼書を受付に持っていく、受付け嬢がその紙を受け取る。

「この依頼を受けます。」

「はい、確かに。では証拠に魔石かその魔物の一部をもってきてくださいね。」

簡単にやりとりが交わされる。なるほど、簡単だな。依頼主に会わなくてもギルドが処理してくれるんだな。もちろん会わないといけないのもあるだろうけど。

「はい、これで依頼を受けたことになる。一週間の間に達成しなければ失敗、一週間以内に報告が出来れば継続かもしくはそこで打ち切られることになる。」

簡単に説明をされる。このあたりは聞いといて損はないのでありがたい。

「それだけですか?」

「それだけだな。一週間報告がないなら死んでるか逃げたかで失敗。簡単だろ?」

確かに、シンプルでわかりやすい。

「それでどうするんだい?俺としてはこのまま行くつもりだったんだけど。」

元々あのゴロツキ共と適当な依頼をこなすつもりだったんだろう。服装もそのままいける感じだしな。

「あー、流石に今からって訳には。…レイ。」

「なんですの?」

レイにこっちこっちと呼ぶ。耳を貸せと合図して耳打ちをする。

「昼からの訓練なしでいいか?この依頼昼からにしたいんだけど。」

「まぁ一日くらいならいいですわ。…教官にも言っておきますわ。」

少し顔が赤いレイがそう言ってくれた。許可は取れた。

「昼からでどうですか?俺もちょっと準備があるので。」

「そうだな、色々と準備することがあるだろう。なら昼にこの冒険者ギルドに集合するってことで。…逃げないでくれよ?」

「約束は守りますって。…じゃあまた昼にここで。」

シェリー達に行くぞと合図をして扉から出て行く。

後ろではゴロツキ共が絡んでるがそれをうまく受け流すであろうミストの姿が見える。

さて、急にやることが増えたな。まずどうするか。

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